
註: 2019年7月10日対エスパルス戦
サブタイトルは、― 負け方も大事です― がよろしいかと。
今場所の、その好調ぶりはむしろ、星を落としたふたつの取り組み内容で確信された。
どこぞの誰かなど、負けが決まった途端、もう、これだから、ダメ!、とまるで場所が終了しかのように、ひどく慨嘆しているので、
― いやいや、そういったイチかバチかの評価、ではいけませんよ。
かえって、負け方の良さをみないと。……と、たしなめていた萬年。
実際、あきらかに相手の気魄が上回っていた敗戦もあったが、それでも、なんとか堪え凌ごうとする姿勢が顕著であって、決して場所を棄てていない姿勢が、据わった目つきにもうかがわれる。
逆に言えば、勝った取り組みで、相手の反攻に手こずりながらも前に出るしぶとさ、が目立った。
それこそ、イチかバチかで突進することばかりではない相撲、を手に入れたかのように。
そう、オール オア ナッシング の考え方ではリーグ戦は戦えません。
それは、サッカーもまったく同じ。
ということで、今回は、被ゴール、つまり〈失点〉からさかのぼって、今季のヒントを探り出そうという魂胆。
❶2021季、山雅の総失点数は、71。
これ、Jリーグ参戦後の、ワーストだった。
2016年(32失点)、2018年(34失点)と比べると、つまりは、倍加。
守備というのは、アイデアというより、決め事の忠実な実践に負うところが大きいと思うが、その決め事が乏しかったのか、あるいは、それを守る姿勢に乏しかったのか?
おそらくは、前者だった、と踏んでいるけれど、たとえば、誰が誰をマークする、といった単純なことも曖昧だったろうし、簡単に相手をフリーにさせる残念なシーンが、やたらと在った。
守備陣の中心であった常田なんかはその象徴で、その上背(187㎝)が売りだが、守備に関しては、その優位性が活きていない。
おそらくは、今季が彼の正念場。
特に、対人マークの甘さを克服できないと、ポジションを失いかねない。
❷失点の形態は、ワースト1位が、クロスを投入されたことから、で、28% (20失点)。
2位に、セットプレイからが、27% (19失点) 。
セットプレイからの失点は、2020季が 25%だったから、割合としてはそれほど増加していない。
2020年は 13失点、昨季は、19失点なので、被ゴール量として目立つだけ。
いちばん着目すべきは、第1位のクロスからの被弾、これ。
2020年は、失点中11.5% (6点)だったから、ほぼ3倍に増えてしまっているんです。
サイドを割られて、そこからのクロスを阻止できずに、ペナルティエリアでシュートを打たれている。
セットプレイのうちの、コーナーキックにしても、
おそらくは、サイドを深くえぐられてゴールラインに逃げざるを得なかったり、または、クロスをクリアしたりなどから、おおくを与えたのではないか。
ならば、今季は、相手のサイド侵攻をいかに食い止めるのか?、が鍵。
ところが、問題はそんなに簡単には、解消しない。
❶今度は、山雅によるゲーム当りクロス回数をみると、16本 (リーグ6位)。
2020季は、これが、13本 (リーグ16位)だった。
リーグ全体のクロス数の増減は知らないけれど、山雅自体は、前年に増してクロス回数をこなし、クロスを多用するチームになった。
❷クロスからの得点は、昨季は、総得点中の11%(4得点)で、これは、パターンにおける第3位 (第2位のショートパスからと同率)。
同じ数字を、2020季にみると、第2位で 21%(9得点) なんですな。
つまり、前年よりもクロスは多く蹴り込んだけれど、成立したゴールは半分だった、というわけ。
……、以上を乱暴にいうと、それなりに上げてたクロスはゴールにまで結びつかず、しかも、もう一方では、けっこうサイドを割られて失点を重ねた。
難題であるといった理由は、ここです。
サイドバックというポジションは一般的に、相手のサイドバックをいかに低い位置に抑え込んでおくと同時に、こっちはより高い位置への侵入するのがミッションになる。
山雅の昨季は、けっこうサイドを割られた、と同時に、けっこうクロスを投入しているから、このバランスをどうやってやりくりして、こちらが、より相手サイドを押し込み続けるのか?、
もちろん、クロスを投入するのはサイドバックの専担事項でない。
また、いくらクロスを入れても、それに合わせるべき中のプレイクオリティもあるので、すべてをサイドバックがどうしろこうしろ、ということでもない。
ただ、クロスによって得点機会を創り出した、というチーム内の2021ランキングの上位は、下川 陽太、外山 凌、(鈴木 国友) 田中パウロが ベスト4だったから、サイドの制圧に関しては、まづは、彼ら3名の貢献を期待しないわけにはいかないでしょう。
では。