かと言って、いつも僕が、ウソを吐いているわけでもない。
対家人は、のぞくとして、
言動にウソをちりばめていると、周りの者に要らぬ混乱を惹き起こしてしまうから、どこかで踏みとどまっている。
思うに、根っからの正直者でもある僕は、
幼い児には、
❶自分を良く見せたり、❷取り繕う、❸他者を悪く表現する、このどれか三つをしたいがために、事実と違ったことを言ったり、言うべきことを黙してやり過ごすことはしないように、と教えるだろう。
これらで、一度ウソをつくと、次から次へと虚偽を重ねることになって、自分を窮地に追い込みかねない。
知らないことをは知らない、と平然と言う、これがいちばん。
事実と違うことを言うばかりでなく、
言うべき時に沈黙するのも、またウソであることは、家人からの教え。
で、先日。
お隣の庭を何気に見下ろしていた家人が、あらま、と呟いた。
どうも、我が家の庭から、種が隣地へこぼれたらしく、身の丈1mほどのオルレヤの一群が、いまや、盛んに白い花をつけている。
これはいかん、とお思いになったのか、自分の庭のオルレヤを、早速抜きはじめていらっしゃる。
こっちから侵入したことの証拠隠滅を図り、そして、このまま黙し続ける。
これは明らかに、不正直、つまり、ウソの行ないではあるんだが、
まぁ、いいか。
繁殖力が旺盛でやっかいとはいえ、それなりに美しく、花市場で売っているくらいだから、
と、僕は、共犯を決め込んでいます。
では。