やたらと動ずることなかれ (2025.3.1奈良クラブ戦レビュウ❶)

(佐相のフィードがアシストといっても、実質は)

#10菊井 悠介の、個人技によるドリブルとゴールで、先制。

が、70分過ぎに立て続けに被弾し、1 – 2 の逆転負け。

ゲーム後、斜め前のおじさんが、

― 点を獲ったら、あとはガッチリ守ればいいじゃんよう、と独り言。

敗戦の落胆と勝ちが観たい気持ちはお察しするが、

今の山雅はそういうサッカーを追求していないので、なんとも慰めのしようもなかった。

ボール保持はおそらく、奈良に 60%くらいで傾き、シュートもこっちを上まわったと思う。

が、ゲーム様相の本質は、おのおのが採用したサッカーの出来、に在った。

奈良が、ボールを握ることで、相手の出足をいなしながら、サイドから中へと並走を仕掛けてゴールをめざした。(受け身で逃げておいて、トドメの一刺し型)

対し、山雅は。

おそらくは今季テーマの、自分たちがイニシアティブを獲るサッカーを完遂しようと図る。
(ボール保持の有無にかかわらず、みずからが先に局面を動かす型)

で、自分流を貫くことにおいては奈良が幾分か上回った、そんなゲームのように診ます。

今節も、主義の追求でいうと、

70分過ぎまでは、我がチームは持ち堪えていたわけで、

満を持しての 2枚替え(サイドバックとトップの一角)直後に失点とは、

結果として皮肉な成り行きであり、そこが〈巧さ〉の不足ともいえる。

ともかく。

一度決めたからには、やたらと思想がブレてはならず、この道を究めてみるべきですが、

このサッカーをやるには、かなり持続的に体力を消耗するはず。

僕から観ると、忙し過ぎるシーンも多い。

筆者は、自分がヘタレの資質なので、

1月以来ホームグランドが使えずに、ほぼふた月間、

宿暮らしと日々出張出稽古に明け暮れしていれば、
(たとえ、チームは、それを言わずにいても)

プレイヤーに疲労の蓄積は在るはず、と同情する。

ゆえに、60分を回ると、やってるサッカーがサッカーなものですから、

頭脳と身体ともに、動き出しの速度と執拗さがガクンと低下するのは、ここ2ゲームで顕著。

あと、アウェイ 1ゲーム(宮崎戦)を、なんと凌ぐしかないとして、

ゲーム中の修正とは別の次元で、

基準に据えたいサッカーについては、

目先の勝敗に浮足立つことなく、

容易に軸をブラすことは、禁物。

じっくり構えましょうよ、大仏のように。

いや、アルプスのように、か。

では。

記憶と記録,を仕分けしておく (ホーム観客数で)

― 記録に残るよりも、記憶に残るプレイヤーになりたい。

こう語ったのは、新庄 剛志氏(現北海道日本ハムファイターズ監督)だった、と思う。

なかなか洒落た表現ではないか。

本人がこう言うなら、記録云々で語れなくもなるしね。

でも。

今回は、記録を少々引っ張りだしておこう。

なぜなら。

我々の記憶が、データ(記録)にまさってしまい、ややもすると見当ハズレの評価

が散見されるから。

山雅のホーム開幕が、長野戦に当っていることは、

厳密に言うと、2025年観客入場数を、おそらくは下落させるほうに働く。

相手がどうあろうと、

開幕となれば、観戦者は、(天候を度外視して)相当に見込めるので、

それと、信州なんとかの、本来ふたつの山が、ひとつのピークになってしまうから。

クラブ売上における、入場料収入比率の突出して高い山雅にとっては、

だから、あまりオイシイ話ではない。

……ま、これも今回が最後、と思って迎えるしかない。

ところで。

これからの参考値になればと、山雅のホーム、アルウインの入場者数の変遷を、参戦リーグ別でくくった簡単なデータを、見ておきましょう。

日本フットボールリーグ(JFL)  ☞   33ゲーム 平均  6,361人

J1リーグ                        ☞    34ゲーム 平均  17,120人

J2リーグ          ☞  166ゲーム   平均  10,379人

J3リーグ         ☞     55ゲーム   平均    8,356人

〈おまけ〉
J1昇格プレーオフ(2016年 対岡山戦)    ☞   12,200人

J2昇格プレーオフ(2024年   対福島戦)    ☞    12,604人

註☞2020季などは、新型インフルエンザ流行による、入場制限が実施された。ただし、無観客ゲームはデータからのぞく。

……となっている。

年間の総観客数は、

トップリーグ時代は、290,000人。

2部の頃は、悠々200,000の中盤くらい。

3部3年目(2024年)は、160,000人。

2部当時から、100,000人の低落は、ひたすら、クラブ収益にとって痛い。

客単価が2,500円として、2億5,000万円の減収……か。

(もともとトップリーグは、観戦環境が別基次元なので、度外視)

この観点からも、早々に 2部に返り咲くべきではあるけれど、

僕からすると、

天候、年中や家族行事、線としての戦績、その他諸々の要因が介在しても、

なおかつ、アルウインに足を向ける人間が、(たとえ平均であっても)、

ひとつ上のリーグ時代より、ゲームあたり 2,000人程度の減少に過ぎないのは、

山雅、集客努力において、なかなか健闘しているのでは?、と思います。
(満足はしていないはず)

もちろん。これは、

足を向けるファン&サポーター、関心を寄せる人々の〈健闘〉でもありましょう。

で、この 2,000人のリカバリーが、

単にチームの戦績が良けりゃあ、昇格したらね、と言って済ますのか?、

あるいは、

自分にできることは何かないか?、と発想してみるのか?

読者は、いかに思われるや。

では。

自分たちを信じて闘え (奈良クラブ戦プレビュウ)

― あら?、下川 陽太は、奈良に居るんじゃなかったの?

いまごろになって、

そういう家人なので、

― 次の宮崎で対戦できますよ、といなしておく。

下川の抜けた分を、奈良として取り返してないようにも感じるが、

ただし.

なんたって、10回山雅とやって(所属チームは違う)、7得点を挙げている、

岡田 優希はご健在なんだから、ゆめゆめ油断などできませぬ。

(☜ 岡田の次に山雅からゴールを獲っているのが、沼津の川又なのかね?)

さて。

リーグ初戦にして、ここにはこう対処したら(少なくとも)負けることはない、

と証明されてしまったチームがあって、

それは、福島ユナイテッドなんですが、それを暴露したのが奈良クラブだった(追いついて 2 – 2のドロー)。

ゆえに、そのスカウティングと実行力は大したもの、と思っていたら、

前節の対讃岐戦をみると、なんだかギクシャクした窮屈なサッカーをやっているから、意外や意外。

思うに。

これ、あまりにも相手を意識し過ぎて、自分の強みを忘れたのであるまいか?

とにかく。

奈良クラブとは、

相手を相当研究して、極めて対応的なサッカーをやってくる主義なんだろう、とひとまづは押さえておく。

すると、おそらく。

沼津戦を参考に、

こっちの中盤(ボランチ)に自由に仕事をさせないことと、(中盤を飛ばしてでも)サイドの空いたスペース奧を獲ること、このふたつをやってくるでしょうから、

相当にむづかしいゲームになります。

対して。

奈良は、沼津と(昨季実績で)ほぼ同じ反則数を犯すサッカーをするから、

そこを〈巧く〉衝きながら。

欲と慢心をばじっと戒めて、前節にみられた後半のペースダウンと疲弊を回避しつつ、

自分のほうへと、ゲームの進行を引き寄せては、効果的に駆けずりまわる。

― これで行きましょう、山雅。

やってもらいたいことの具体は、沼津戦レビュウで述べていますので。

では。

このまま進め(条件つき) (沼津戦レビュウ ❷)

なんといっても、目にみえた、いちばんの進化は、

早川氏が、セットアップのジャケット姿で采配をしたこと。

いやいや、これなんかは、〈新化〉と言うべきか。

と、軟な話は差し置くとして……、

ゲーム中にあった、いちばんシンボリックな進化の光景は、

前半22分頃だったか、(DAZN画面では拾えていないけれど)

沼津が押し込んでいた状況下、山雅がなんとかクリアしたボールが、相手ゴールキーパーへと到達したその瞬間、

山雅の最終ラインを含む陣形全体が、グッと前方へとひた走る。

この時、沼津の最前線は、遅れをとってそのまま居残る格好となった。

山雅と沼津の切り換えのスピード感は、4倍速くらい山雅のほうにあって、

迅速なファイティングポーズ、これは、あきらかな新味。

強烈、かつ細かな落とし込みを感じさせる。

布陣的には、センターバック 2枚と、ボランチ2枚、ここはしっかり作っておいて、特に、#10 菊井が自由度を有して動くから、

4 – 4 – 2、4 – 3 – 3、4 – 2 – 4、と流動的にやるのは、

相手のマークに狂いを生じさせる意味でもいいが、

要は、沼津でいえば、#8のようなセンターフォワードを欠いてシーズンインしている山雅なんで、そこを今後、どう覚悟するのか、打開するのか、にかかわる。

たとえば。

終盤になってやり続けた、ボール蹴り上げの裏面狙い作戦ですが、

あれが、果たして、浅川 隼人の投入が、活きるための戦法であったかどうか?

右から菊井が入れたクロスに、頭で反応したのは前田 陸王でしたが、やはり、あそこは、浅川を狙ってもらいたいし、そういったシーンを多く創出すべき。

ロングシュートが枠外、ってのを観ると、菊井はやはりアシストで活きる。

野々村 鷹人が、パスを、前線右の 佐相(あるいは凱光)へ、(サイドバックを飛ばして)ダイレクトに入れるようになったのも、目につく変化。

これを筆頭に、パスの出しどころの逡巡、ためらいといったムダや、陳腐さが消えて、同時に、❸前方向を選択しようという姿勢がめだつ。

……進化、のいくつかを拾ってみましたが、これを大切に究めていく。

として、すると、どうしても、運動量が増すわけで、

沼津戦で起きた、終盤へかけてのガス欠からくる、陣形のルーズが生じてしまう。

互いの距離が延びて、ボールを先に相手が拾うことで苦しい局面が生まれる。

ここを、交代カードの使い方を含めて、どうやって克服するのか?

次節以降の注視点だと思います。

では。

いま,春が来て (2025.2.23沼津戦レビュウ❶)

ゲーム結果は、1 – 1 のドロー。

同じ引分けであっても、

先制してのドローと、同点に持ち込んでのドローとでは、

心象がけっこう違うから、それに左右されると、ゲームの評価をし損なうからご注意。

……総括すれば、

力量の違い(山雅の優位)はあるにせよ、それにあぐらもかかず、ボールを追いかけまわしての、

ほぼワンサイド。

沼津式サッカーを、ほぼ完璧に封じ込めた。

失点?

あれは、事故に等しいから、ゴールまで持っていった相手#20を褒めてオシマイ。

そこをどうこう言ったところで無意味、ってもんでして。

我らが開幕。

ということで気負っていたとも思えませんが、

村越のゴール後、ベンチメンバーも繰り出しての、ゴール裏でのセレブレーションは、チームの雰囲気の良さを感じさせて、グッド!!

村越、龍平といった、ホームグロウン世代が、ああいった落ち着きを魅せるプレイを続けると、

チーム全体の自信、自分自身への信頼、そんなものが自然と醸し出されてくる。

で、愛鷹からの帰途。

名残り雪の歌詞がなんとなく想い出され、

いま、春が来て、君は綺麗になった、のキレイの部分を、

〈賢く〉(カシコク)に置き換えて、我がチームに進呈すべきゲーム。

山雅よ、去年よりずっと、かしこく、なったね、と。

❶沼津が反則の多いサッカー(昨季は、リーグで7番目に多い)であることを前提に、

ファールに見舞われた時の痛がり方を〈統一〉することで、

沼津の速いボールの持ち出しと繋ぎを寸断し、時間の流れをこっちへ手繰り寄せる。

被ファールは、10数回あったので、6~7分に1度は、こっちのペースでゲームを止められたことになる。

同様に。

相手の裏抜け狙いには、最終ラインを制御してオフサイドを獲る。

❷先制ゴールに象徴されるように、

スローインひとつにも、隙のない(相手の虚を衝き)心配り。

かつ、コーナーキックごとに図っていた意思統一。
(ゴールにはならなかったが、3本は野々村の頭にヒットしていた)

もちろん、チームに、狡猾なサッカーを求める筆者のおもわくが、

多分にゲームに投影されてあるにせよ、です。

では。