驚きを,もっと (2024.3.2琉球戦レビュウ❸)

ゲームからの点描を、いくつか。

❶PKによる失点のもとになった、ファール判定。
あれをファール認定されたら、ディフェンダーは、ペナルティーエリアでボディーチャージにいけない。

常田 克人は、あの時、

相手FWに並走してそのままゴールラインへ押し出してしまうことを、選択すべきだった。

おそらくレフェリーからは、手を使って相手をプッシュして倒した、と見えたんだろうが、

限りなくシュミレーションな、派手な転倒をしてみせると通用してしまうのが、なんとも辛いですな。

でも、その常田が、アディショナルタイム、同点弾のアシストをする。

常田は、そういうプレイヤーなんで、彼の持ち味(=強み) をより多く活かして使うべき。

❷菊井 悠介不在の中、魅せたのは。
左から、山口、浅川、村越が、スリートップで並び、

その下に、安藤が配置されたようにみえた。

つまり、いつもは菊井がやっているポジションに。

この4人はかなり流動的に動くが、とくかくも、安藤の守備範囲の広さには、チョット驚かされた。

開始早々、浅川のシュートをヘディングでつなぎ、お膳立てしたり。
中盤まで降りて、相手ボランチ(インサイドハーフ)を抑止したり、と。

83分、安藤に代わって投入されたのは、住田 将(ボランチ)だったことからも、安藤の役割はかなり大きかった。

❸交代策は、けっこう面白い。
62分、山口に代わり、佐相 壱明が投入された。

すると、村越が左にまわり、佐相は、右アウトサイドへ。

こうなると、佐相は、右サイドバック馬渡、ボランチ的安藤との、気心の知れたプレイヤーと絡むことになる。

こういうのを観たかったから、僕には、得心がいった。

……84分、決定的なピンチを、相手FWを阻止しようとして懸命に戻ったのは、佐相であったり、

安藤に代わった住田が、同点弾の発端となったロングボールを入れたり、

スリーバックにしておいて、右サイドを高く上がっていた(終盤投入の)野々村が、その同点ゴールを決めた……。

つまり、この日の交代カードは、結果として上手く切られた、ってことです。

で、今後、まだ切られていないカード(プレイヤー)の顔見世が、楽しみに。

では。

過去と訣別せよ (2024.3.2琉球戦レビュウ❷)

息子の家では、86分に逆転されたところで、DAZN画面を消したらしい。

聞けば、家族が誕生日を祝っていたので、雰囲気が落ち込むことをおそれたため。

たしかに、それはわかる。

わかるけれど、あとすこし我慢したら、それなりの安堵と明るさが戻ったろうに!……は余談。

琉球戦(の結果を含め)から、つくづく思う。

今年のチームは、進行中の出来上がりを観る限り、

過去シーズンと比べて云々していたんでは、適切な批評にならない。

たとえば、〈走り方〉。

じっと守備をしてカウンター攻撃に賭けるチームであった頃の、ボール奪取したら、即反転ダッシュの、あの光景。

走れ―っ、走れ―っ、の声が大きく飛んでいた観戦を良し、とするならば、

今は、やたら走らないことを前提にして、相手を崩す攻撃を志向しているから、とても満足感はない、と思う。

指揮官は、頭を使ってサッカーをやる、をチーム戦術と個の技量の両方で求めているのだ。

でなければ、高橋 祥平、山本 康裕、馬渡 和彰といった熟練者を、90分間ピッチに立たすことはないだろうし、

安永 玲央が、時間のタメを使いながら、局面を自分らに優位にするため、ペースダウンをチームメイトに要求していたシーンが生まれるはずもない。

でも、むやみに走らないけれど、攻撃時には、ペナルティーエリアに効果的に侵入している。
その時は、そこに居る、ってこと。(浅川 隼人の動きを見よ)

あるいは、こうも言える。
相手をやたらと走らせるサッカーをしたいのだ、と。

だから、山雅をみて、

3部リーグに染まったサッカーをしていると評する者のアタマを、僕は疑ってしまう。

どこが?

きっと、3部を観続けた当のご本人の眼力が、すっかり3部馴れしてるんでしょう。

昨日、仕事から帰宅すると、DAZN画面には、ys横浜とFC大阪のゲームが流れていた。

― 次は、ys横浜と当たるから、と家人は予習に余念がない。素晴らしい!!

― でも、下川 陽太の奈良は、長野とやっているんじゃあない?、この時間。

で、チャンネルを変えて、数分眺めてみると、

それが、ボールが双方にいったり来たり、だから攻守が忙しく交替するサッカー。

こういうのを、よく言えば、機敏で激しく、飽きさせない、というのか?

僕には、攻撃が組み立たらない、単一テンポで、無味退屈なサッカーに感じられてしまった。

……言いたいことは、

攻守共に、単なる過去との比較で語ると、山雅の良さをとらえ切れないこと。

それと、3部から抜けたいのであれば、(もしもあるとして)3部式サッカーをやってたら、とても無理な話。

☞ プレイヤー個についての感想は、レビュウ❸で。

では。

顔では勝ってる? (2024.3.2 琉球戦レビュウ❶)

先制し、その後、逆転されるものの、後半アディショナルタイムに同点に持ち込んで、

2 – 2 のドロー。

ゲーム終了のドサクサにまぎれて、

― 山雅、顔では勝ってるからいいのよ、とは家人。

これだって、山雅愛の、立派ないち表現なんだから、問題発言でもないが、その根底には、

各プレイヤーの風貌、体幹、プレイぶりから発散される、個の充実があるはずだ。

5週間、遠い松本の我が家を離れて旅暮し。

アウェイ2連戦で、勝ち点 4 を積んだのだから、これはもう、立派な帰還でありましょう。

ホンネを申せば、

あれほどの、各個の技量、チームの練度とスタイルの深みにおける歴然たる優位からすると、

3 – 0 で勝てれば、とは思います。

琉球からすれば、ああいう格好での得点しかなかったでしょう。

けれども、チーム山雅には、随所にみごたえある内容で魅せてもらいました。
(細かいことは、レビュウ❷で)

野々村のヘディングシュートで同点に追いついた瞬間、

たいして狂喜するでもなく、チーム全体が、センターサークルに素早く戻っていく姿。

ああいうところに、チームとして出来つつあるなの感と、

勝つのが当然、のような雰囲気が出ているのに、なんとも期待が高まるわけでして、

さて、ホーム開幕戦。

今度は、ファン&サポーターのほうが、チームの期待(10,000人のアルウィン)に、応えてみせないとなりません。

では。

コネくって,どん! に克て(FC琉球戦プレビュウ)

FC琉球にとって、

昨季は、3部に舞い戻っての 1年目だった。
外から診るに、チームの衣更えが少々上手くいかなかったような趣き(順位 17位)。

2部ではなかなか持たせてもらえなかったボールが持てるようになって、攻撃はそれなりにサマになったが、守備はイマイチ、そんな感じか。

第1節、対奈良クラブ戦(3/24)。

DAZNで前半20分くらいまでと、ハイライトを、かいつまんで観てみたら、
勝ったものの(2 – 1)、スタイルの表出においては、奈良のほうが優っている。

下川 陽太が、左右両方のサイドをこなし、彼からの、ドンピシャのクロスから頭で1得点、さらに、同様なシーンでは、バーを叩いた。
☞ 山雅で、あれほど上質なクロスは観てないや。(小声)

他方、琉球の2得点は、両方、ほとんど奈良側の守備におけるミスに近い。

でも、相手のミスを誘えるのも、ひとつの武器には違いないから、そこに琉球のスキの無さをみる。

相手ゴール前30mあたりではパスを多用し、食いつく相手ディフェンスをサイドへ寄せておいて、そこから反対のサイドへクロス。

あるいは、相手の陣形を前傾にして引きつけ、その最終ライン裏へ、すかさずロングボールを投入する。

つまり、琉球の特徴は、

ひとつ。
ボールを細かく(パスを連続して)こねくっておいてから、機をみて、ドン!、と空いたスペースへ入れ、そこへプレイヤーが侵入するスタイル。

ふたつめ
3バックを採る最終ラインと、その前の前線との間に、わりとスペースが空く。
陣形が、縦方向に、ふたつに割れる格好。

守備ラインからは、けっこう鋭く長いグラウンダーパスが、前線へ走るんです。

で、攻撃陣にボールが入ると、そこから、細かいパスワークで相手守備の間隙を狙ってシュートまで持ち込む。

……ってことになれば、山雅のやることは、(自分流サッカーの貫徹はもちろんとして)

❶あくまで縦にコンパクトな態勢で、相手を押し込み、波状的に厚い攻撃をおこなう。
最終ラインを狙って投入されるロングボールの処理には、手当をしながら。

❷特に、琉球の中盤に空くであろうスペースを、こっちに有利に活用する。
ボランチとサイドプレイヤーでもって、そこを衝きながら、連携でボールを前へ運ぶ。
相手を前へひきつける目的以外には、ボールは後方へ下げない。
要は、相手に、備える時間を与えない。

おそらくは、山雅の右サイドを最警戒してくる琉球に対し、

敢えて馬渡を左へ配し、右には、佐相なり藤谷を入れることで、両サイドともに、こちらの優位を狙う策を打っても面白い!!、とは思うんですが、

いやいや、琉球左サイドバックの藤春を、右の馬渡で抑止してしまうのか?

前節、前線のどこにでも顔を出す、という動きで魅せたのは、安藤 、滝 、樋口 。

なかでも、安藤は馬渡との連携が良く、村越への交代は、僕的には ?、だった。

欲を言えば、相模原で二季一緒にやっていた佐相との絡みも観たい。

……前節から、どれくらいメンツをいじってくるのか?、そこに注目です。

では。

第1節を シンボリックに眺めると。

たしかに。

始まったばかりで、残りは 37試合、の長丁場ではないか。

でも、3部リーグの初戦は、観ようによっては、各チームの面影が、けっこう、浮き彫りになった、と思う。

❶反則の数 (jリーグ公式による)
ベスト5(少ない)と、ワースト5(多い)にひろうと、

ベスト☞ 北Q、山雅、琉球、讃岐、(福島、相模原)

ワースト☞ 盛岡、宮崎、奈良、鳥取、今治

註:()は同数、次項も同じ。

❷コーナーキックの本数(同)
ベスト5 ☞ 北Q、金沢、(大阪、沼津)、(今治、山雅)、八戸

ワースト5 ☞ ys横浜、宮崎、相模原、(盛岡、大宮、長野、奈良、鳥取)

❸シュートの本数(同)
ベスト5 ☞ 沼津、北Q、(八戸、今治)、(福島、岐阜、讃岐)
ワースト5 ☞ 鳥取、相模原、(ys横浜、琉球)、(長野、大阪)

❶は、ボールをどれだけ握れていたのか?(ボール保持と決してイコールではない)、❷と❸は、どれだけ相手ゴールに迫り、シュートまで持ち込んだのか?、の指標。

スタッツはもちろん、対戦相手のスタイルと、チームの出来に、おおきく左右される。

けれど、それらを前提にして、おおざっぱに、勝敗は別として、自流のサッカーが表現できたのは、

リーグ突入時点では……、

北九州、今治のふたつが、断然、

次に、堅調にかなり優位を保ったのが、山雅、富山。

また次に、沼津、長野、八戸、福島が、より地味だがチームの味を出せた

……そんな評価だろうか。

繰り返すが、勝敗は考慮していないので、最終的に勝利に結びつけられる腕力とは、また違う。

言葉を変えれば、

この8チームが、今時点で、チーム編成と仕上がりにおいて、相当なメドを見い出している、といえる。

不気味なのは、大したスタッツでもないのに、それなりのゲームをつくれる富山。

今季も、こことは、むづかしい対戦になるでしょうね。

では。