堅守,のカラクリ (FC大阪戦レビュウ❷)

あらかじめ断っておけば。

山雅の、パスの駆使度合いは、

せいぜいリーグの中位、であることを忘れてはいけない。

次々節、ホームで福島(リーグトップ)と対戦したら、それがハッキリするだろうが、

相手のサッカーをどうやってはぐらかし、ボールを前へ運ぶのか?、が大命題であって、はじめにパスがありき、ではないはずだから、

そこを見落とすと、スタイルばかりをあげつらう狭隘な議論になる。

持てる武器をすべて使って相手ゴールに迫る、それでいい。

その中で、ボールを手中にすれば、主人公になれる可能性は、より高い(だろう)。

(もちろん、これ、観ている側の論理なんで、やっているプレイヤーはどう感じているか?、は正直わかりませんが)

さて、今節の対戦。

ロングボール、ロングフィードを多用したのは、ひたすら、

大阪の前線に仕事をさせない、それを無力化する狙いだった、と診ます。

つまり、FC大阪の〈堅守〉(リーグ最少失点) の源は、

前線のプレイヤーが、活発に動くことで、相手の攻撃を押し込む、

あるいは、その前進(の速度)を削いでいることに由来(=依存) する、という事実! に着目したのだ。

大阪センターバックの優秀性に異論はないが、

そこで、相手攻撃をすべてストップしている、という訳でもなくて、

#10に顕著だったように、あれだけ、アジリティ(俊敏)と、俺がなんとかしてやる的な気概あるプレイをしてくれれば、守備態勢を採るのにも(時間と心理的)余裕が生まれるだろう。

だから、山雅のやりたかったのは、

大阪の前線に、思うような仕事をさせないことによって、相手の守備力を減衰させることだった、と……。

そして、相手守備に、時間的余裕を与えないため、

ロングなボールを、クロスカウンターの武器として使ったのが、ミソ。

34分の浅川による 2点目のシーンが、その象徴で、

あれは、直前に山雅によるショートコーナーがあって、

そのクリアボールを、大阪プレイヤーが、ロングカウンターを仕掛けるべく、猛然ダッシュする。

すると、ゴールキーパーの大内が、敢然と駆け上がると、相手がボールをモノにする寸前のタイミングで、前線に蹴り込んだボールが、浅川に渡ったのだった。

1点目も、大内のロングフィードが起点になっているから、

この日の、萬年的MVPは、大内 一生でよろしい、かと。

チノ氏は、最終ラインのコントロールの功によって、野々村 鷹人を、推していたので、

当夜の山雅の攻撃性サッカーを、守備陣がキチンと支えた事実は、重く大きく、グッジョブでした。

……、以上、堅守は攻撃性に、攻撃は頭脳的守備に、といった連動性の話でした。

では。

総力戦でつかんだ勝利 (2024.7.14 FC大阪戦レビュウ❶)

2 – 0 の勝利。

シュートを 相手の倍、20本は浴びせることができたので、

前半のアウェイ対戦の復習 (復讐ではない)を、ひとまずキチンと終えた、としておきましょう

しかも、ほぼ、僕の期待したサッカーだったから、評価は高い。

ロングスロウを織り交ぜ、(正攻法が多かったが) コーナーキック(セットプレイ)にも、時間をかけて丁寧に。

今節、基底からの組立てより、もっぱらロングボール (ロングフィード)を多用したのは、FC大阪のスカウティングにもとづくんでしょうが、

これは、レビュウ❷で触れるとして

勝因として大きかったのは、

ひとつ。

24分、浅川先制点のシーンで顕著なんですが、

チャンスには、ペナルティーエリアに 4~ 5人が侵入していた攻撃性を、終始貫いたこと。

ふたつ。

先制して、2点目(34分)までの約10分、それと、後半開始からしばらく。

この時間帯は、FC大阪に攻撃のリズムが生まれ、流れが相手に傾く。

ここで、球際への寄せ、挟み込んでの奪取、スカシたクリアなどを駆使してそのリズムを消沈させることに成功。

執拗なマークは、たとえ、ボールを再奪取されても、攻撃の腰をおることはできた。

つまりは、

体力(走力)はもちろんとして、ゲームの勘どころを察知する頭の回転が止まらなかったということでしょうか。

なんと、ありがたいことに、ゲーム中だけは降雨なし。

と天候も味方につけての、総力戦でつかんだ勝利でありました。

では。

なんでもあり,なんだから。 (兼 FC大阪戦プレビュウ❸)

何人ものロングスロワーを試す山雅ならば、

勝つためには、持てるものをすべて動員する思想でやっているはず。

そこで、日頃感じる、素人の提案を少々。

❶レンタル終了 1名、レンタル開始が 1名で、計ふたり減。

他人の財布の中身も知らないでいて、補強補強~と騒ぐほど、僕は厚顔でもないが、

そもそも現有の所帯だと、(怪我は茶飯のことだから) チームトレーニングに支障があるだろう。
いつも飯田CB2を引っ張り出してくるわけにもいかないだろうし。

ただ、そう思う一方で。

戦術にミートしないのかは知らぬが、いまだ十分に活かされていない戦力がありそうな気もする。

個人的には、(何故か) 今季は特に、4を含む数字を背負ったプレイヤーの活躍が〈鍵〉だと思っていて、高橋などは、もっと実戦で観たいところ。

❷大阪戦では、セットプレイがポイント。

ならば。

相手ゴールから30mあたりで獲たセットプレイは、ズラッと並ぶであろう大阪守備ラインの裏をかくような、

サイド奥にボールを出して、マイナスの折り返しを入れる、そんな策もつかったらどうか。

上図では、赤く示した動線(ボール&プレイヤーの)がそれで、フツーだと、緑点線のハイボールを常田らが折り返している。

相手が設定した防御線に、律儀につき合うルールやマナーがあるわけでもないし、得点率のデータが高いからやっているのか?

あるいは、やられたら、それがいちばん怖いからやり返している?

(こういう場合、最近の山雅が守備ラインを高く保つのには賛成、かなり勇気が要るとは思うけど)

❸かりにサイドから仕掛けるのなら。

フリーであれば、外からただちにクロス投入も否定しないが、

上図の赤斜線で塗ったスペースを使って、ここへ侵入してから、マイナス気味にゴール正面へとボールを運ぶようなことをしないと、中央を固めた相手守備は、なかなか崩せない。

(讃岐戦、相手のオウンゴールを誘った安永のプレイが、ほぼそれに匹敵する)

(山雅の)攻撃サッカーが、おそらくは相手のアタマに刷り込まれているので、

サイド攻撃はタッチラインへ追い散らしたいだろうし、かつ、真ん中こそスペースを消しにかかるだろう、たいていの相手は。

沼津戦の2得点の時は、

沼津ディフェンスがボールホルダーに引き寄せられて、結果、赤斜線のスペースをケアしていなかったことが大きい。

外側から強引にミドルと、ペナルティーエリアの外縁方向へ斜めに侵入する手法、これは両方使ってこそ、双方に効果が生ずるにではあるまいか?

……以上、まさに、釈迦に説法のおはなし。

では。

自己の課題を乗り越えろ (FC大阪戦プレビュウ❷)

前稿で、FC大阪(の特徴)を、ざっと診た。

さらに。

そこに、リーグ最少の失点数 13 を、足さねばならぬ。

これは、山雅(27)のちょうど半分だ。

その母数となる被シュートは、(少ない方から) 5番目。

メディア的な常套表現をすれば、

堅守、カウンター速攻に優れ、セットプレイに強みあり……そんなうたい文句でいいか。

では、そこと、どうやる?

チームは、それなりの策をもって臨戦する、とは思いますが、

論点は……、

ボール運びにおいて、カウンター攻撃の餌食にならずに、いかに、相手陣地奥へと侵入するか?

❷反則数リーグ3位の大阪の厳しさによって、こっちのセットプレイが増す。(要は、アクチュアルプレーイングタイムが短くなる)

ならば、このリスタートの(手続き)時間と、セットプレイそのものを、いかに、狡知かつ聡明に、利用できるか?
(☞ ゲーム運びの局面)

……に絞られるように思います。

なぜなら、それが、現状、真っ先に克服すべき課題でもあるから。

で、萬年の推奨戦法は、

ファーストディフェンスが生命線である山雅でなので、

相手の強みを逆手にとった〈クロスカウンター〉(ボクシング用語)しかない。

相手が繰り出したカウンターをかいくぐり、あるいは、交わして、速攻で侵入していく、これです。(カウンターのカウンター、とでも)

予想範囲内で運用するパスワークは、

おそらく、今回の相手には、さほど脅威にならない。

もちろん、その先。

サイドから行ってどうやって中に入るのか、

中央を縦のキラーパスで、だれが裏を獲るのか、などはあろうが、

どうやったって、相手の得意技カウンターに曝されないで済むと思うのは、幻想。

ならば、やらせておいて反転するや、

その頭上、足もと、最もいいのは、空いたスペースへの奔り込みを繰り出す。

これが、ボール保持とシュート数(攻撃の終点)が、必ずしも一致しない山雅の皮肉を克服するための、ヒントになるかは別として、

現状の山雅を、いつか見た山雅の郷愁からのみ評価するギャラリーにも、受けがいいではありませんか?

では、アルウィンで。

やはり,ワンチャンスだった (FC大阪戦プレビュウ❶)

前節にケリをつけ、次に進むための総括から、はじめよう。

八戸のゴールは、〈やはりワンチャンス〉であった、と。

シュート数、山雅 17本 (枠内 3 )、八戸 10本 (同 1)

つまり。

山雅の攻撃を、圧迫と奪取(タックル、クリア) によって寸断し続け、

終盤、ついには、ゲームをとおし枠に飛ばした唯一のシュートで、勝ち切ってしまう。

ゲームをどちらが握っていたのかは、両者の視座によって、異論も出るだろうが、

肝心の勝者がいづれかであったのか?……からすれば、

ゲームは、八戸のものだった、という結論で良い。

さて。

今節の相手、FC大阪。

❶前回対戦の振り返り
前半戦は、雨中のアウェイ。

9枚のイエローと、2枚のレッドが提示された。
(佐相のレッドは、突っかけられた相手ゴールキーパーの演技賞、と診るが)

雨とピッチの状態から(だろう)、山雅はパス仕立てのサッカーを棄てた割り切りのゲーム。

その結果として、ゲームは、相手の土俵に乗っかった様相を呈し、

たとえば、シュート数、クロスともに、倍を打たれているから、

スコアレスドローは、山雅にとっては、ある意味、救済だったのかも知れない。

❷前節八戸戦からの学び
乱暴な話になってしまうが、前節を、大阪戦の予習とみなしても、そう外れてもいない。

システムの相違(3バック ☞ 4バック)はあるけれど、

FC大阪は、八戸同様、カウンター攻撃が十八番のサッカーで、かつ、八戸よりかは、前進(攻撃)において強力。

左サイドの駆け上がりが、特長。

さらに、全得点の40%を、セットプレイからあげている。

これは、鋭いカウンターによって敵陣に侵入すると、

攻撃の多くが、ワンタッチやクリアによって、ボールが。相手ゴールラインを割っていることが察せられる。

コーナーキックは、リーグ3位。 (山雅はリーグトップ)

さぁ、こんな大阪の男たちと、どう戦う?

では。