緩急つけてサボらずに (新潟戦プレビュウ)


*エンブレムの中心、これサッカーボールのシルエット、とはじめて気づく。

アルビレックスとの対戦成績はここまで、2勝1分4敗。(リーグ戦、ルヴァン杯のみ)

勝ったり引分けに持ち込めるようになったのは、ほんの3年前からのこと。

しかも、まだビッグスワンでは、勝ったことがない。

となれば、今節の目標は……、ひとつ、ビッグスワンでの初勝利。

そして、2021シーズン、新潟に初黒星をつけるチームは山雅、のふたつ。

引き分けふたつを挟むとは言え、10連勝すればよほどの事態が無い限り、今後昇格レースの主人公になるアルビレックス。

となれば、山雅の現在地をたしかめるグッドチャンス、と思います。

【ゲームにおいてチャレンジせよ】
新潟のスタイルは、ひたすらボールを手中にして速く攻め立て、ペナルティエリアにボールを運んだら、かなり高い確率でゴールを仕留める、というもの。

平均ボール支配は、60%超。
ゲームあたり攻撃回数はリーグ19位ながら、ゴール数は1位、という数値がそれを物語る。
得点は、まづはセットプレイから 29.0%、次に、クロスから 26%、このふたつで半分超。

こうなればもう、せめぎ合いの様相はほぼ歴然なんだけれど。

相手がボールを持って、こちらはひたすらそのボール奪取を狙い、奪ったら反転攻撃、これしかない、と見せかけておいて……、

山雅の平均ボール保持は、49%。
待ち構えることに専念するスタイルでもないので、練度からすると相手より劣るかも知れないが、ボールを握る時間を最大化する……、といったチャレンジを仕込むくらいはして良い。
まぁ、そんなに甘くないだろうが。

要は、端からもたせる、とか規定してしまうとかえって墓穴を掘りますよ、ってこと。
失敗例が、前節の大宮アルディージャ(2 – 3 で逆転負け)であって、ボール支配は大宮 30 : 新潟  70 という数字だった。

【狡猾に 執拗に】
❶ポイントは、(守備として) どこでボールを獲るか?

❷獲ったら、(攻撃では)どうやってやって相手ゴールに迫るか?、ということ。

今季、失点を脅威的に改善している新潟。
観た感じでは、最終ラインをトコトン強化したというよりも、ボールを持つことで相手の攻撃回数を減じているのが真相ではないか。

であるなら、攻撃では、単純にロングボールを使い、最終ラインの裏を衝くか、あるいは競り合っておいてそのセカンドボールを手に入れるか、まづはこれでしょう。
これがハマれば、新潟の陣形を間延びさせ、守備と攻撃のラインを分断できるわけですから。
ここのところは、横山や河合の突っかけが活きてくる部分です。

前線におけるディフェンスでは、4 – 2 – 3 – 1の新潟の、2のところ。

少なくともボランチひとりが最終ラインとボールをやり取りするので、そこをサンドする形で追いたてておいて、サイドへ回させ、ロングボールを蹴らせ、それを回収。

【左サイド対決か】
ゲームにおけるいちばんの競合地点は、サイド。

こちらの左サイドでいかに多く侵入し、そして、新潟の左サイドをどれだけ封じ込めるか。

外山-下川ライン、浜崎 – 大野ライン、これに、前 貴之を起点に、河合と鈴木によるポジション移動を絡めて、中盤を作る、そんな格好で相手エリアを進みたい。

我らがテンポとリズム感、そこの時間でゴールを奪え

相手の左サイドについて言えば、新潟のすばしこいタレント(本間や高木)は、一度ボールを渡しておいてから、かならず続けて顔を出す。
しつこいんです。
そこのところ眼を離さずに、自由にやらせない。
ここらは橋内のスピードとアジリティが効くはず。

さて、コーナーキックの守備は、双方ゾーンとマンツーマンの混合形。
チャンスあれば、思いっきり手の込んだ策略だっていいんでは?

ゲーム展開にもよるが、ファールはこちらにどうしても多くなりそう。
となれば、つまらいない位置でのファールは避ける。

ゲームのキーパーソンは、(攻撃)外山と阪野でありましょうし、(守備)大野と阪野、と言えましょうか。

昨季第39節(3 – 1 で新潟に勝利) の感触、これをトヨ君が憶えていて、それを再現できることを期待します。

では。

谷奥 健四郎を祝す (秋田 vs 長崎)

第12節の結果を、ざっとみていて、
ブラウブリッツ秋田が、アウェイ長崎戦を、 2 – 1 でモノにしたのを知る。

しかも逆転勝利なのか。

結果、順位的には山雅の上、8位 (勝ち点18) で健闘している。

このゲーム、右センターバックとして 90分間プレイした谷奥 健四郎が、1アシスト1ゴールの活躍を魅せた。
もちろん、MVPです。

山雅での鍛錬と苦闘が、こういう格好で報われた、と勝手に思い込む萬年ではあるが、まことに嬉しいニュース。

こうなると、8月9日山の日のアウェイ秋田戦は、参戦を本気に考えないといけないな。

他方、ゲーム直前の5月3日、吉田監督の解任と、松田新監督就任を発表したVファーレン。
監督不在の対戦だったとは言え、辛い敗戦だったろう。

昨季の戦力をほぼ温存することに成功したものの、それまで、4勝2分5敗と、たしかに負けが先行していたとは言え、監督交代のカンフル剤はちょっと尚早では?……、と思ってしまう。

ま、蚊帳の外からは計り知れないような、内部事情がきっと在ったんでしょう。

あるいは、昨季3位までやれたという成功の残像と、なにがなんでもトップリーグ昇格という切迫目標のはざまでの決断だったか。

でも、人心とチーム戦略の刷新を図りたいのであれば、前監督をアシスタントコーチとして依然残すというのは、どうなんだろう?

また、監督更迭のニュースでは、プレイヤー(連名)の声明も挟み込んであって、
みずからの不甲斐なさを謝し、心を入れ替えて精進します、みたいな文面。

人事異動の案件に、なにも現場のプレイヤーを引っ張り出してエキスキューズしなくとも、と思う。

放送終了後30分までに、といった人を急かすような親会社のやり方。

そんな万事即決の気風が、クラブ運営にも浸透しているのかも知れない。

では。

天気,暗雲強風なれど (2012.5.5相模原戦レビュウ)

その荒天を味方につけるように、2 – 1 で勝利。

3連勝は、よくやった。

が、(直近3ゲームの対戦相手のメンツからしても)、勝ち負けをイーヴン (4勝4分4敗) に戻したことにこそ価値がある。

【ゲーム評あれこれ】
❶風下にまわった前半、というのは秋田戦と同様だった。
けれど、あの時とはチョッと様相が違っていて、特に、満を持していくべき後半、なにか中だるみ、となる。

ゲームを通じ、みずからのパスがずれるなどして、リズムをなかなか創れないことが大きな要因だった。

観ていて、あぁ、レビュウのタイトルは、〈ゲーム低調なれど〉かな?、と思案していました。

❷交代により、3トップのようにして、前線に強度を加えたことで新風が注入され、阪野 豊史による 2点目が生まれる。

この失点によって、相模原ディフェンスがかなり気落ちしたのが見て取れた。

だから、もっと老獪に攻めたてていれば、3、4点目が可能だったはずで、そこをまともに打ち急ぐ場面が多かった。
この辺、タメを作れない部分は、したたかさを欠く。


❸北ゴール裏の同志チノさんと意見が一致したこと。
横山 歩夢には、前田 大然の上をいく上手さ有り、がそれ。

相模原後藤 圭太のオウンだったとは言え、あれ、実質的には横山のゴールのようなものだから、その走りを継続せよ。

萬年、#32に希望を託したく、けれど今季ユニフォームは審美的にご勘弁。

で、2013年版蔵田 岬平のやつを着込んで参戦だった。
これが効いたもの、と勝手に独り決めです。

【もっと狡猾に、とは】
❹上の❷に関連して。
ボールが左右に動き、人が湧きあがってくる攻撃。
たとえば、前半40分頃の攻勢。

ボールを手中にしてリズムに乗れると、多くの場合、シュートか、その一歩手前まで持っていけるようになって、連携と練度が上がってきたことは喜ばしい。

ただ、注意すべきは、緩慢のない一定のリズムに終始した場合、ボールロストから一気にカウンターを喰うこと。

どこかに相手の意表を衝いた時間的なギャップを挟まないと、堅く固めた守備網を破るのも難しい。

それを、フェイクを何回も入れたカットインで演っているのが、たとえば、本間 至恩(新潟の)なんですが、相手を釣り出すような工夫をもっと入れましょう。

そういう意味で、後半アディショナルタイム、ボールを受けた田中パウロ淳一が、いったん下がっておいてから打った、バーを叩いたあのシュート。
ああいったタメ、余裕です。

しかし、ゴールにならなくとも喝采を得られるとは……。
パウロ独特の雰囲気は、チームにとって貴重です。

賢さの事例として、相模原FW藤本 淳吾のプレイをひとつ。
前半、強風を背にしたロングボールが中途半端に長くなったシーン。
コントロールできないと悟ると、それを、山雅ゴールラインに蹴り出してしまう。
むしろ、逆風下の相手ゴールキックにすることでリセットする、という意図。
学びたいスマートネスでした。

さてと、ようやくとひとつの長いトンネルを抜けた。
次節は、その国境の向こう、新潟平野に乗り込んでの決戦か。

では。

さらなる高みの開幕 (SC相模原戦プレビュウ)

まづ、明日の予報が降水確率60%で、多少うんざりなのですが、このゲーム、今季ひとつのターニングポイントとなる予感もしています。

過去2戦、ポラロイドカメラのプリント紙、ミルク色の海から、被写体の輪郭と色彩が浮かび上がってくるみたいに、山雅の到達点がだんだんと見えてきた、そんな感が強い。

もちろん、水面下では苦しいやりくりがあるんでしょうけれど、各タレントが与えられた持ち場で、個々の力を発揮しつつあるのは嬉しいもの。

ですから、今節のテーマは、対戦相手の出方に関係なく、リーグ戦における起承転結のうち、〈承〉の部分、つまり、連携を深め、チームのクオリティを増すステージのはじまり、とも言えましょう。

周囲の方々には、快進撃のアルビレックスに土をつける最初のチームが山雅でしょう、などと傲慢な予告もしていることもあって、ここは複数得点を追求したいところ。

SC相模原については、初昇格のチーム、3バックシステムの採用、要所にヴェテランを配し、最後まで戦いを捨てずにやり抜くチーム、そんなイメージしかない。

さらに、前節ホームの対琉球戦は大敗(1 – 5)。

となれば、同類愛憐れむの情も湧いてきて、ゲーム模様のチェックさえしておらず、まったくもっての怠慢をおゆるしいただくしかありません。

まぁ、今回は、そういうゲームの楽しみもあるさ、とのノリで、アルウィンに向かうこととしましょうか。

では、アルウィンで。

ESLの挫折に 学んだこと。

日本ではそれほどのニュースにならなかった、ヨーロッパ スーパーリーグ(ESL)の、あえなき挫折を横目にみて、考えさせられたことです。

ESLとは、欧州の、〈いわゆる〉ビッグクラブ15チームが、リーグ戦(ホーム&アウェイの28試合)をたたかい、プレーオフで年間チャンピョンを決する、という構想。

各チームは、いままでどおり国内リーグに参加しながら、ESLに参戦する。

各国リーグはおおよそ週末開催なので、ESLのゲームは、週の半ばに組まれる。
リーグにおける昇降格はない。

去る4月18日、リーグ創設に参加する、オリジナルの12クラブが公表された。

2018/2019シーズンの、これら12クラブの収入(推定)を、1ユーロ=129円のレートで、日本円で示そう。(ただし、ACミランはひとつ前のシーズン)

❶FCバルセロナ             1,084億円
❷レアルマドリッド          976億円
マンチェスターU           917億円
マンチェスターC           787億円
リヴァプール                780億円
トテナムホットスパ        672億円
チェルシー                    661億円
❽ユベントス                    593億円
アーセナル                    574億円
❿アトレチコマドリッド      474億円
⓫インテルナショナル        470億円
⓬ACミラン                      267億円

各クラブがどうやって、これだけの資金を集めているかはさまざまだけれど、この原資で、優秀な指導者やタレントを集めまくれば、やっぱりそれなりの戦績を残せるだろう。

ちなみに、2018年度のJ1 クラブ18の、営業収益合計は、855億円。
その上位三つが、神戸 96億円、浦和 75億円、鹿島 73億円だった。

J1リーグの総合計よりも、マンチェスターシティの収入が多かったということ。

ところが、リーグ立ち上げが発表されると、それぞれのファンサポーターから反対の声が猛然と沸き起こる。

チームの現場、指導者やプレイヤーからも疑問の声が漏れだしてくるわ、くるわ。

なかでも、イングランドは、首相までもが、抗議する事態に。

欧州サッカー界の元締めである、UEFA(ヨーロッパサッカー協会)、さらにはFIFA(国際サッカー連盟)も 反対を表明。

参加クラブはヨーロッパチャンピョンズリーグから、所属プレイヤーはワールドカップの国家代表から締め出すぞ、とまで言い出す始末。

結果、プレミアリーグ傘下の6チーム番号赤字が、真っ先に、リーグからの離脱を表明。

その後、ドミノ式に、4クラブが追うように離反。

残ったのがふたつでは、もう無残。

このお話は、発表後、なんと48時間で、瓦解してしまったのです。

〈教 訓〉(どうでもいいこと順に)
お金は大切
でなけりゃ、きちんとしたクラブ経営は成立しないし、それなりの戦力も集まらない。
ただ、今回の稚拙なリーグ構想と公表をみていると、収入は相当ありながらも、どうやら、薄氷を踏むような危うい経営となっているフシがある。

ゆえに、UEFAにピンハネされることのないような興行(放映権など)収入を、是非とも手にしたい、という焦りを感じます。

②莫大な資金ありきのサッカーが、もしもファンサポーターをないがしろにした世界を志向すれば、かならずや、その反発と離反を招く。

今回のは、ファンサポーターに支持されないクラブ行動の、まったく良い事例。

本来、フットボールは上流階級のお楽しみでもありませんから、強欲の者が強欲の者に叛旗をひるがえすようなストーリイは、唾棄の対象。

そもそも大衆は、ヒーローの心変わりを望まないものなんです。

では。