パーフェクトなゲーム (2022.6.11 藤枝戦レビュウ)

(時候の憶え:6/12 馬鈴薯が開花する)

2 – 0 。

この一戦、雷雨の完勝、と記憶しましょう。

どこが完勝なのか?

ひとつは、強く、速く、ひたすら前へを、忠実に実践してみせた点で。

ふたつ。
藤枝myfcという攻撃大好きチームに、そのサッカーをほとんどやらせなかった、という意味で。

シーズン最高、とは言わないが、今でき得る最大限の、山雅スタイルの具現でありました。

前半10~30分は、藤枝に主導権を握られたものの、ほかの時間帯は、ホームチームが、ほとんどゲームの流れを制していた。

ボール支配は、藤枝が、60~70%だったのではないか?、と思いますが、そうさせておきながら、ゲーム自体は、こちらが握ってしまうところに価値がある。

中途半端にボールを保持せず、相手に持たせておいて奪取反転を狙うのが、山雅にとっては居心地は良い、というか、手馴れた感が深まっていますね。

4 – 4 – 2 の陣形から入って、それがやがて、1 – 4 – 5 (2 – 3 – 5)へと可変しながら、リジットに連動して手簿網を形作っている。

― こういう光景が、ふたたび確かに戻ってきた、そんな気がします。

前半、藤枝のミドルシュート(枠内) が目立ったものの、ビクトルが危なげなく、これを処理。

ペナルティエリア内から被弾したシュートは、ゲームを通じて5本でしたが、どれも枠内を捉えさせずに封じたんですから、パスで崩して、という藤枝スタイルは、結局、不発に終わった。

クロスや、セットプレイで入れられるボールは、すべてこっちが先手で対応したことも、特筆もの。

レフェリーの笛は、ひどく不正確で、いただけなかった。

プレイヤーの動作に、多分にダマされてしまうので、とるべきファールをとらず。
他方、シュミレーション的なものを、ファールと認定してしまったりで。

けれど、そのために、相手に多くセットプレイが与えられ、それがかえって、藤枝流のゲーム進攻を阻害したのは、皮肉な現象でありました。

それにしても、鈴木 惇という名手を抱えているからこそなのか、マットウなボール投入ばかりのセットプレイでしたね、藤枝は。

意表を衝くセットプレイをさかんに考えている山雅からすれば対応しやすいんでしょう、こういうのは。

鈴木を引っ込めた74分が、藤枝にとって事実上の終戦だった、と思います。

もちろん、相手にそのサッカーをやらせないだけでは、勝利は引き寄せられないわけですから、山雅の攻撃に、ひとつのランクアップが生じているのが得点に結びついた、と言えます。

このゲームでは、サイド侵入とクロスの質、これが良かった。

前 貴之のボレーシュートは残念ながら未遂に終わりましたが、クロスを上げたのは、田中パウロだったわけですから、先発起用に応える働き。

残る課題は、決定機をモノにすることか。

……、こう観てくると、先発メンバーのパフォーマンスは最高の出来でありました。

それが証拠に、いつもより、交代が10分程度後ろ倒しになったのもうなずけます。

背景に、適正、かつ、熾烈なポジション争いがきっとあるだろうこと。

それと、浜崎 琢磨もトレーニングマッチ(対新潟)で復帰しているようなんで、選択肢が豊かになりつつあること、を喜ぶとしましょうか。

では。

己を偽るな (藤枝myfc戦 プレビュウ 後編)

で、今回は、孫子でいう、〈己(おのれ)を知る〉の部分でございます。

❶ココロの浮き沈みは 無しで。
そもそも、精神論はあまり好きではありません。
が、それがプレー態度を左右しているのならば、言っておきましょう。

なんとかダービー、とか盛んに煽られると力みが入ったり、あるいは、相手が最下位で現在6連敗中だと、なんとなくタカをくくってみたり。

これらは、どちらとも、平常心を失って舞い上がった気分に他ならない。

たかだか13,000人で大騒ぎとは、聞いて呆れるし、はづかしい。

静岡(磐田vs清水)の場合、どちらかのホームスタジアムではとても間に合わず、エコパスタでやって、結果  30,000人超入るのだ。
……と、指揮官が思っているかどうかは知りませんが、まったく、井の中の蛙にだけはなりたくない。

たしかに、上のカテゴリーを経験したクラブではあるけれど、やらかしてしまったゆえの、我れらが現在地。

みづからを変えつつはあるが、まだまだ途上の話。

しかも、何が起こるかわからないサッカーのゲームとなれば、自分と謙虚を見失えば、プレイにも変調が生じるに違いない。

まぁ、メディアは煽るのが仕事ですから大目にみるとしても、周囲のファン&サポーターが、浮足立ってしまうのが、むしろ厄介です。

❷自分を突き詰めよ
強く、速く、ひたすら前へ、の信念とスタイル。

これを、見栄え、見た眼の良さを狙わずに、愚直、かつ、狡智に繰り返す。

変な錯覚は捨て去り、自己の磨きつつあるスタイルに忠実であること、それがすなわち、自分を知ること。

前へ、というのは反転攻撃ばかりではなく、守備に関しても攻撃的にやる、ということのはず。(指揮官もそうおっしゃっているかと)

むざむざとラインを下げた挙句、あれよあれよと懐に飛び込まれ、スペースをパスで交わされて、あえなく失点。

そんなシーンだけは、ご免です。

a) ボール保持に長けている相手、と認めたうえで、そのどこを衝くのか?
b) 攻撃態勢を採っている相手を、どのスペースを侵すことでひっくり返すのか?

とにかく、その部分を突き詰めてやるしかありません。

僕のイメージは、先の天皇杯二回戦における、先制点(by 田中パウロ)。

相手ディフェンダーのトラップミスを見逃さず、山本 龍平がボールを奪い取って持ち上がると、前走する田中にパスを通した、あのシーン。

ああいった奪取と、すばやい反転をいつでも発動できる動き。

ですから、、ボールホルダーを追いかけ、追い込むありさまが、どんなに他人様(観衆やTVファン)に無様に映ろうと、やり抜く。

相手に比べ、こっちが尖がっているのは、攻撃される回数の少なさくらい、と割り切ってしまえば、徹底するべきことへも着手できる、ってもんだ。

このところ目立つ、コーナーキック献上の多さ。
これ、見方によっては、クロス阻止を最優先している結果でもあるわけですが、
藤枝の場合、こちらにサイド(からのクロス)を意識させておいて、実は、パスで中央突破してくるんじゃあないか?

となれば、中盤の中央で、こっちがボールを(奪って)抑えて、即縦に速く相手ゴールに迫るやり方に活路を。

で、アルウィンの責任はたぶん、1,000人そこそこの観衆でプレイするのが日常なチームに対し、90分にわたって、断然アウェイの圧力をかけ続けることに尽きるのでは?

だから、ファン&サポーターも、自分にできる共闘を準備するのみ。

では、たとえ雨模様でも、アルウィンで。

彼を見据えよ (藤枝myfc戦 プレビュウ 前篇)

現監督の何が好きか?、というと、戦術で語るところだ。

だから、ガイナーレ鳥取戦のゲーム後インタビュウをよく読めば、それがそのまま、藤枝戦のプレビュウになってしまうんですよね、これが。

〈彼を知り己を知れば 百戦殆(あやう)からず〉

『孫子』(謀攻篇)は、論じられてから 2,500年の月日を経ても、いまだ有用な兵法書。

で、今回は、〈彼を知る〉の プレビュウ前篇。

チーム数の多さからなんだろうが、Jクラブはだいたいが毎季プレイヤーの半数近くを入れ替え続けている (稀な例外は、2021季の札幌くらい)。
(おまけに、監督も使いまわし)

だから、藤枝が例外という訳でもない。

けれど、15人が出入りした中、ヴェテラン(枝村、那須川、谷澤、森島) が引退するなどして、かなり強烈にチームをスクラップ&ビルドして、今季に臨んでいる感がある。

とは言え、1990年前後生れのヴェテラン(鈴木、岩渕、押谷) が要所に配され、彼らがチームの軸になって牽引、そこに、若手が活き活きと絡む、という構図だろうか?
もちろん、岩間 雄大も在籍だ。

ボールを持って、パスを多用(リーグ2位)して、相手陣内の奧、ペナルティエリアへと侵入(回数でリーグ1位)し、ゲーム平均15本(リーグ4位)のシュートを浴びせ、手堅く、枠内へと飛ばしてくる(リーグ1位)。

ドリブル回数は、リーグ2位。

でもって、クロスは、ゲーム平均18本(リーグ3位)。

これだけでもう、攻撃大好きサッカーが歴然、ではありませんか。

中盤でのショートパスが多いから、攻撃は、インサイドハーフ(鈴木、水野)のところが起点となって、左右サイドをえぐって侵入、しかも、折り返して、ゴール前のスペースを、小刻みなパスワークで割ってくる、そんな格好なんでしょう。

せめてもの救いは、プレイスキッカーの名手鈴木を擁しているわりには、コーナーキック、直接フリーキックが比較的少ない、ということか。

そもそもが、コーナーキック狙いではないのかも知れん。
あるいは、ファールされる前の、ボール離れが速い?

当方の指揮官はこれを、「湧き出てくる回数が圧倒的」な攻撃、と表現なさっている。

前節藤枝と対戦した福島は、前々節までの失点がたったの 3、それが、このゲームで一挙に 6失点。

堅守、なんて看板が一瞬で吹っ飛んでしまうような攻撃力に曝された。

ところが面白いことに、藤枝は、ボール支配60%であった前半に3得点していて、しかも、ボール支配が逆転した(福島が60%強)後半にも、3得点している。

これは、5点を失った福島が、ラスト30分で攻撃に転じたこと、それと、藤枝が大量点をバックに防御的になった(手を緩めた) ?ことによるかも知れないな。

が、とにかく、先制して相手を意気消沈させてしまえば、それこそ藤枝の思うツボ、ということを示している。

……、とまぁ、恐ろしいこと尽くしなんですが、では、これに対して、山雅はどうする?、は後編で。

では。

脱皮 or 変身 ? (リーグ11節消化)

〈現時点での皮算用〉
リーグ戦も、ほぼ3分の1 を終えた。

現在、第3位 (順位)、勝ち点 22。

上手くスタートして、手堅くここまでやって来られたのではないか?、と安堵しきり。

指揮官が、鳥取戦を、今季最低最悪の出来、と評しているらしいが、そういう言葉が、11回目にようやく出てくる、ってのは、救いのある闘いをして来ている、ということだろう。

このペースでいけば、どこかが突出して独走しない限りは、昇格を射程に入れて進める。
(ゲーム平均勝ち点2 が昇格ライン、と診てます)

さて、前半戦の、残る対戦は、6つ。

その中には、勝ち点3 以内で競っている、いわき、藤枝、福島、富山とのゲームがあり、かつまた、地力有する 石丸愛媛もかぁ……。

(いつのまにやら、6/11に戦う藤枝が、すぐ下4位、勝ち点2 差まで詰めてきた)

推奨勝ち点ペースからいうと、6ゲームで、せいぜい落とせる(敗戦)のは、ひとつ……か。

これ、けっこう厳しい。

だから、これからの梅雨期6月は、ひとつの正念場、と思って暮らしましょう。

〈なんとか 格好はついて来た〉
昨季の憂愁、迷いからまったく抜け出た、とまでは言わないが、

ルーキー、準新卒、ユース育ちなどの若年層を戦力化することにおいては結果を出せている、と評価しよう。

こうなるには地道な10年近い育成と我慢があったわけで、鳥取戦では、ホームグロウンのプレイヤーが、ようやく4人、ピッチに立てた。

特に、ディフェンス陣については、ここ2年、過渡期(世代出し入れ) の苦悩にあったけれど、なんとか最下辺からは 脱却かな?

そこへもって来て、中堅(25~28歳)が、きっちりと率先力を発揮、プラス、30歳超えの習熟と経験を、場面場面で注入していく……、そういうチーム像が浮かび上がった。

なんとかして、これが結実したところを観たい。

現監督の就任満一年の節目、これを、チームの脱皮と呼ぼうが、変身と言おうがかまわないが、明確なひとつの成果だ。

プレイヤーには苛酷なんだろうけれど、より厳しいポジション獲りが展開されることを望む。

そういった競争や環境を、遠慮せずにチームに課せる指導者であること、これが、現監督の、際立つ存在感を醸している。

それゆえに、名波氏は相当に孤独だろう、とは察するけれど。

では。

シンプルと淡泊 沈着と緩慢 (2022.6.5 鳥取戦レビュウ)

今日6日は、絵文字遊びのとおりで、雨の日で……。

0 – 0 スコアレスドロー。
勝てた試合だったよなぁ……、とゲーム後感も湿りがち。

だから、梅雨のはしりが余計堪えるのかも知れない。

〈単純に、先に向かって切り替える〉
今節みたいなゲームは、決定的シーンを 3度まで外したのが、引き分けに終わった原因のすべて、と考えてしまおう。

仏の顔も三度まで (撫でたら、そりゃあ腹を立てる)、と言うではないか。

比較的イージーなシュートミスを何度も犯せば、勝機にも逃げられますわ。

ただただ、ゴールを逸したプレイヤーに反省してもらえば、それで良し。

〈ゲームを支配するために〉
❶コイントスに勝って、わざわざ風下を獲り、かつ、ゲームの入りとしては悪くなかったんだから、前半に畳みかけたかったですな。

中盤までのボールの運び方はまぁいいとして、ゴール30m以内に侵入して、さぁ!、という、シュートのひとつ手前の仕事が、なんとも淡泊、というか。

そこのところは、もっと自信を持って自分流を貫いて、時に応じて時間と〈遊び〉をかまして、相手を崩せば?、と思いました。
(もちろん、ミドルシュートの意識は持ち続ける)

落ち着いてやれば、3部リーグではそれなりの技量を、皆持っているんだから。

また、クロスがけっこう雑で、打った先には誰あれもいなかったり、真正面過ぎたり。
要は、中で受けるべきプレイヤーと意思が合致していなかったのは、残念。

こっちは練習を観ていないので、こういう連携の拙さは、果たして出し手と受け手のどちらの過失、不足か? は判断できませぬ。

攻撃面では、シンプルと 淡泊(工夫しない)、沈着とゆっくり(緩慢)、これが違うことを、次節以降はプレイに表現してもらいたいものです。

❷無失点は、グッジョブ。
センターバックの並べ方は、個ごとのアジリティの有無、対人強度を上手く組み合わせていたのではないか。

ただ、例えば、前 貴之をサイドへ配置すると、インサイドでボールを回収する能力が弱くなるので、特に、ラスト20分の攻守反転をこちらに優位に進めるのに手こずった。

布陣的には、住田 将を欠いたのも響いているけれど、パウリ―ニョの復帰まで策もなく我慢し続けることもできず。

今節の場合だと、佐藤 和弘がより中央に入ってくるのか?
あるいは、
山本 龍平が、もっと横方向を縫うようなプレイに徹底するか?

❸ツートップはいい。
けれど、小松 蓮と榎本 樹が互いに、どういう立ち位置と責務を背負うべきなんでしょうか?

どっちが競るのか?、どっちが衛星的に動くのか?、もっと明確かつ補完的なアサイメント(割当て)が、必要に思います。
ルカオとの組み合わせの場合も含めて。

前線で動くもうひとり、菊井 悠介の自由度を殺さないでおきながら、最前線の3人がもっと巧く絡まないと、攻撃がどうしても単発で、か細い。

……、と、萬年的な今節のテーマ、強く、速く、聡くのうち、聡く、つまり、狡智(工夫)の部分が不足したのかな?、を総括といたします。

で、MIP(もっとも印象に残ったプレイヤー)は、宮部 大己、ということで。

では。