山本劇場!! (琉球戦レビュウ❷)

このゲーム、山雅にとっては、

ひとつの転換点となる予感がする。

具体的な数値は承知していないが、

リーグ第4位のボール保持率を有し、ボールを動かすことに長けているFC琉球というチームを相手に、

おそらくは、尻上がりに、相当にボール保持を高めながら、優勢に押し込んでいくゲームをやって魅せた、という点で。

同点ゴールは、攻め続ける流れの中で、生れたもの。

琉球とは、2か月前に対戦(3 – 0 で勝利)、

この時の、山雅保持率は、39.6 %だった。

勝敗はともかく、

チームとしての戦い方において、舵が切られつつあるのを、僕らは見逃してはならないだろう。

(もちろん、カウンター攻撃を棄てることはない)

ゲームの入りから、20分過ぎまでを別にすれば、

ボールの動かしとパスワークに練達度の高い相手に、

それほど遜色なくボールを握って闘えていたのが実相。

ゲーム開始からしばらくは、ボールの出しどころ、配球に時間がかかったり、逡巡がみられて、そこは不満点として残る。

そこには、ほんらいボランチ特性豊かな 安永を、ツーシャドウの左にした事情もあったし、

ドリブルでみずからパスコースを拓くことと、受け手の責任として、パスコースに顔を出す責任感、このふたつが、乏しかったのではないか。

ただ、ゲームが進行するにつれ、ディフェンダーの持ち上がりも織り込まれきて、ボールを要求する姿勢も観られたので、

こういう点には、期待が持てた。

最終盤、想来にボールが入り、田中はみずからシュートを選択したのだったが、

すぐ近くでフリーであった前田 陸王が、ボールが来ないのを、かなり残念がっていた(2度ほど)のは、ボールを要求する姿勢として好感が持てる。

やはり、こうでなくちゃ。

この日の陸王は、かなりキレていたしね。

さて、山本劇場。

ボールを持って、相手を押し込み、ゴール前のチャンスを拓くシンボリックなシーンは、前半37分あたりにあった。

右サイドを使いながら、

#25 ☞ 24 ☞ 19 ☞ 15 ☞ 25 ☞ 24 ☞ 15 ☞ 25 ☞ 15 ☞ (ここから中央へ持っていって、左サイドへチェンジ) 16 ☞ 7 ☞ コーナーキック獲得。

この一連では、センターバック、ボランチ、サイドバックといった多彩なプレイヤーが絡み、

結局は、山本 康裕 が、そのタクトを振っている。

こういう攻めが評価できないと、いまの山雅に、正当に寄り添えないでしょう。

では。

かなり面白くなってきた (FC琉球戦レビュウ❶)

前回の、かるたに、

言いたいことは、ほとんど込めてしまったのではありますが、

勝ち点3を獲れなかったのは惜しまれるけれど、

おそらく、10,000人を落胆させない好ゲームでした。

特に、ここでは、ふたつ。

ひとつめ。

前半30分をのぞき、つまりは、ゲームの3分の2、

極端な話、60分間は、山雅が圧倒していたのが前提にあって、

その中で、

システムばかりでサッカーの中身が決まるわけでもあるまいが、

前線に、#43(林)と、#42(想来)を並べて、

そこに、攻撃の仕上げを託したのが効いた、ということでしょう。

新加入の#43をば、早速ゲームに投入するのは予想されたが、

後半、思い切って、ツートップにしたのは、僕からすると我が意を得たり、でした。

そうなれば、おのずから、

前半、いつもの #10菊井の位置(シャドウ)に入れた #46安永をひとつ下げて、#!5山本とならべて、ツーボランチとする。

さらに、のこり30分間は、両サイドバックをリフレッシュするとともに、

そこへ持ってきて、アウトサイドハーフ(2列目)に、#20田中 前田、#22佐相の、躍動力を注入。

こういう一連の流れは、采配としても、僕からすれば、信頼を置ける。

……と、まぁ、こういう積み重ねの先には、

結果として、4 – 4 – 2 でいいのでは?、とも思うわけです。

ふたつめ。

4バック推奨の前提には、

守備陣の安定がありまして、

失点シーンは、不運にも、

クロスのクリアボールが、相手フォワードこぼれたところを決められはしたが、

あとは、それほど危なげないシーンはなく、

かつ、これだけ持ち上がり、駆け上がりシーンを演出できるようになっている。

コーナーキックは、振り返れば 9本を積んで、

その都度、#4 高橋が、チームメイトに立ち位置を指示し、確認。

こういうインフォーマルなリーダーシップは、これからも大いに必要でありましょう。

では。

タテに圧縮すること (FC琉球戦プレビュウ❷)

両者の直近5ゲームの戦績は……、

琉球 3勝1分1負、対し、山雅は、2勝3負。

これだけみると、どっちが追い風を感じているかはお察しなんだが、

山雅としては、長野にやられたウノゼロ(1 – 0)を、

次の岐阜戦ではやってのけた、というのが、慰めにはなるだろう。

もちろん。

ウノゼロをめざすサッカーではないにせよ、1点で勝ち切ることもできるのは、上等だ。

さて。

対琉球では、ことさらに、こっちの陣形を、

縦方向にコンパクトにすること、

横方向では、守備ラインを、すくなくとも 2層(多重)にすること、これが前提。

琉球の攻撃スイッチは、#10富所と、左サイドの#20永井によって入ることが多く、それぞれの定番である縦パスや、ドリブルを阻止するためにも、

特に中盤で、自由に使えるスペースを与えたくない。

ミドルを打てる距離、つまり、ゴール前30mより手前で、相手の攻勢を削ぎたいです。

それと。

縦に圧縮することには、ディフェンダーによる持ち上がり(=攻撃参加)を意味している。

奈良戦の 3点目(by村越)は、セットプレイ直後という状況ではあったが、

高橋、杉田(アシスト)が高い位置で絡んで、いい仕事をした。

ああいうシーンの再現を、おおいに期待。

ゆえに、野々村の出場停止を受けて、どういうメンツで3人並べるか?、は見ものでありましょう。

個人的には、攻撃的なサンタナの縦パスを観たいんですけどね。

琉球は、クロス本数がずばぬけて多くはないが、総得点の 3割をクロスから稼いでいる。

浅川 隼人を活かそうとすれば、クロスの重要性が高まるから、

そこは、山雅のサイドのプレイヤーが、対峙する相手を、むしろ押し込み、低い位置へ追い込んでいこうか。

新加入の林は、登録メンバー入りだろうから、

こうなったら、想来とのツートップで、とも思うけれど、

そうなると、村越を下げるか、あるいは、ボランチをひとりにするか、悩みどころ。

手堅く、3 – 4 – 2 – 1 (想来ワントップ)ではじめて、林は、機をみて投入でしょうか。

では、久しぶりのアルウィンで。

採るべき戦法は 自明なり(FC琉球戦プレビュウ❶)

先月から今月(すでに立秋)にかけ、

こんだけ酷な暑さが続いたので、

秋春制推進派からは、当然、

― ほらね、だから、盛夏をシーズンオフにしないとダメでしょ。

と、自信たっぷりの勝利宣言が出てもおかしくないのに、そういう報道は、一切なかった。

ただし。

秋春制移行の本質的な課題は、

ゲーム催行そのものが天候に左右されることではなくて、(現行制でも、そんな事態は、ほぼ同等に起こっている)

より快適な観戦環境、全天候型トレーニング施設の完備、学校年度との整合性(新卒)等に違いないが、ともかく、

もう決まっちゃったことなんで、だあれも、議論したくもないのか……。

さて。

ともかく。

2週間の中断があったとなれば、

観る側としては、その時間を活かしての、

山雅流における、なんらかの進化、深化を、琉球戦では感じたい。

それがいちばんの期待でありましょう。

基軸は、あくまで、個人の技量の上に連携を駆使すること。

それを、ここ3シーズンは続けてきているはず。

ボールに貪欲に迫り、ボールをできる限り率先して動かす側にまわり、

持てる武器を総動員し、

状況次第では、カウンター攻撃もモノにして魅せる、それでいいのです。

☞カウンター攻撃も、の〈も〉を味わえるサッカー、と言うべきか。

この表現、なかなか深いでしょ?

ちなみに。

対戦相手の琉球は、当方よりはもっと、

ボール保持にこだわるチーム(とサッカー)であって、

それほど、えげつないことを仕掛けてこないのだから、

向こうが持ったところから始めるところにこそ、活路を見い出す姿勢でいきましょう。

では。