感情に溺れると, (2023.4.16沼津戦レビュウ その序)

ロクなことにはなりません。

まづまづの好天下、3 – 4 の 、いろいろあっての、再逆転負け。

こういうのは、かなり堪えます。

が、おそらくは、(発言者の)耐性の無さ、または、貧弱さからでしょうが、

― 山雅のプレイヤーよりも、沼津のほうがズっと、ひたむきで、泥臭く、勝利に貪欲だった、などという発言が湧いてくる。

これ、世に言う、ハロー効果。

人物や事象の評価において、ある特徴的な一面(ショックな敗戦)にまどわされて、全体の評価がゆがんでしまうこと。

ハローとは、聖人の頭上にある光輪、光背のことで、例えば、部下の弱点のひとつへの心象によって、彼の業績すべてを悪く診てしまうような人事考課。

ただ、このハロー効果がなければ、ある意味、恋愛も成立しないわけですから、

ただただ山雅愛で観戦していれば、可愛さ余って憎さなんとか……で、そういう妄言も吐きたくなるかも。

しかし、感情一辺倒な心情を、さも、個やチームのプレイ態度として言い切ってしまうこと、これはまづいでしょう。

いい大人がやることではない。

こういう意見に接すると、根性の曲がった僕なんかは、

山雅のプレイヤーたちに、
― ホーム必勝の押し付け、ひたむきさ欠如云々、なんかに負担感を一切覚えることなく、アウェイで思う存分戦ってこい、と言いたくなる始末。

曇りガラスの外は雨、でもあるまいし、

それなりのサッカー論議をするならば、まづは、物事をキチンとみましょうよ、ということを言いたい。

10節までに、新・山雅スタイルの〈完成形〉にもっていくとして、逆算すれば、7ゲームを終えて、初の黒星。

ゲーム平均2得点、失点は約1、ゲーム当り勝ち点(=昇格基準) には、2つ及ばず、というのは、上等な出来。

U23チームが混じる不可解なことをやめ、マトモなリーグとなって3年目の3部リーグは、急激に戦力が拮抗しつつあり、

現在、山雅から上下の、勝ち点差3以内には 13チームがお団子でひしめく……か。

さて、ゲーム振り返りの本論は、明日です。

強く上がれ 賢く下がれ (沼津戦プレビュウ)

まづ、リーグ戦16%を消化した時点での、総括 ― 。

3部リーグ、戦力拮抗のありさまは〈西高東低〉を基調として、

萬年の観察によれば、讃岐、鳥取、北九州のみっつが、活きの良いサッカーで油断できない、というのが開幕直後の感想だった。

それは、今も変わりないので、対鳥取と北Qを、1勝1分で終えたのは、上々の出来で序盤の関門を通過したと診ます。

讃岐とは、6月中旬にホームで対戦だから、その前の今治戦とともに、ここがひとつの節目でありましょう。

ここで。

前節、讃岐がパルセイロとやって、0 – 4 で敗北したことをもって、その力を過小評価するに走ることは、きわめて禁物。

セットプレイ、ゴール前の雪崩れ込みと、こぼれ球への寄せ、それらを巧くやって大量点の長野でしたが、
ゲーム自体は、シュート20本を放ち、ペナルティエリア進入回数は、長野の2倍強を記録した讃岐が、7割方は押していた。

逆にいえば、そういうゲームをモノにしたところに、今季、長野の強さがある。

目ぼしい補強もなく、レンタル戦力でやり繰りしつつ、ある意味カウンターとセットプレイ重視に徹する、という意味での。

これは、5/13のプレビュウの一端にもなるんですがね。

で、アスルクラロ。

昨季は、萬年、愛鷹に出かけたのにもかかわらず、じつに印象に乏しいチームなんですね、これが。

思うに、アウェイはスコアレスドロー、ホームでは横山の一発による1 – 0 勝利、そんな事情で、強烈な記憶に残っていないのか。

で、前節のホーム対福島戦(1 – 1)を、DAZN見逃しでつまみ食い。

4 – 1 – 2 – 3 の、かなり攻撃的な初期布陣。

中盤までではボールを繋ぐけれど、ここぞ! とみるや、すかさずロングボールで相手ディフェンスの裏狙いでフォワードに託す。

なんだ、きわめてオーソドックスじゃん。

中山 雅史のめざすサッカーとは、案外、常道、中庸で、ソツのなさを良しとするのかいな?

まるで、高校教師のような、その変哲もない地味なスーツ姿のごとく。

ならば、山雅のやることは、明確。

あくまで自分流儀の〈守功一体型/高強度〉を90分間続けて、時に後退して守備となったら、ロングボールの処理を誤らない事、これに尽きるでしょう。

では、アルウィンで。

ホームで勝つことの責務……。

ホームだから勝つべし、とよく耳にする。

が、そんなものは、理論、および、道義的にも在りはしない。

過去のデータからすると、Jリーグでは、わずかな例外(大宮アルディージャとか)を除き、大概、ホーム勝率はたしかにアウェイ勝率を上まわっているらしいが、

勝率上のデータが存するだけで、その要因は、どうも、推定の範囲のようだ。

素人考えだと、移動や外泊の負担が無いだけでもありがたい、それくらい?

だいたいが、勝利できる力量がチームにあれば、ホームアウェイにかかわらずに、勝ち点3 を手に入れるでありましょうし、

前にもちょっと触れたが、ある論文 (by 中京大学) によれば、

ホーム勝率と、観客数(と観客密度)には、なんの因果も認められない。

勝たなきゃあ、間近で観る地元民が嬉しくない、それだけのこと。(その心情が大切か?)

このことは、ファン&サポーターが、勝敗に対して、応援(勢力/方法いづれ)の責任を背負わなくていいことを意味する。
(責任を感じてしまう者があるのかどうかは、知らない)

同じように、クラブやチームにも、ホームで勝つことに格段の責任を感じる必要はない、と思う。

最高のファンサーヴィスは、とにかくどこでやっても勝つこと、これだけわかっていてもらえれば、それでいい。

ただ、アルウィンの皮肉、と呼ぶべき現象はあるかも知れない。

かつて鈴木 雄斗(現ジュビロ) が山雅に加入した時、

アウェイチームとしてアルウィンでやったときは、敵側の声援が嫌だったが、これからは、それを味方につけて戦える、と語った。

彼のように感じるプレイヤーもいれば、

逆に、アルウィンの熱狂によって、心身が高揚してしまうアウェイチームがあったって不思議ではない。

なんともはや。

では。

そんな魅力は 望まない (ひと月向こうの件)

観客数の、正の変動要因として、魅力あるアウェイチーム が挙げられることを、この前は書いた。

やって来るチームに、魅力、つまりは、ネームバリューがあればあるほど、観客数は増える、と。

たとえば、長野パルセイロ。

その定常的な観客数は、現況、2,500人だろうから、

昨季の対山雅戦(第9節)、 観客数 13,000人超であったことは、

山雅効果が、10,000人の増加に現われた、といっていい。

なんとも魅力あるチームなんです、山雅は。

興行的には、半ば自殺行為的な、日曜日の 19:00キックオフであっても、この数字を叩き出したのだから、

今年の土曜日ナイトゲームにおいては、営業収益をもっと求めたくなるだろう。

で、二匹目のどぜうは、より小さい手間(運営努力)をもくろみ、

アウェイゴール裏を、全席指定の、通常より1,000円アップ価格にすることによって、手に入れたいらしい。

ホーム自由席にしたって、通常の500円増し。

大っぴらに山雅色を出して応援できない山雅ファン&サポーターの行動予測をした結果の、プライスアップなんでしょうか?

もしも、アウェイ山雅が持っている魅力が、ホームクラブの収益増大だけだとしたら、

(もともとこの対戦を特別視していない僕にてみれば) あまり嬉しくもないお話。

あくまで、山雅がやってるサッカーそのもの、によってすべてのスタジアムを魅了したいものです。

では。

常に前へをくどく (北Q戦レビュウ❷)

以前、田坂氏が山雅コーチ時代(2016年)、間接的に聞いた話ですが、その指導が細やかで若手からは好評だった。

僕は、氏が、福島ユナイテッド監督時代(2017~2018年) 、山雅ではついに売り出せなかった志知 孝明をレンタルで呼んだことが、特に印象に残る。

そういった田坂さんの意向の反映なのか、今季のギラヴァンツ、大卒ルーキーが多く加入、今節、途中交代で投入された5人のうち、3人がそのルーキー達だった。

何を言いたいか。

つまり、交代カードの技量と経験値だけとってみても、山雅のほうに格段の優位があったということ。

この傾向は、これからのリーグ戦でも出現することだが、

❶大切なのは、勝ち越し直後に投入された榎本、下川、村越、喜山らが、前進する姿勢を、より一層、チームに注入し続けたこと。

これをやられた日には、相手はけっこうキツく、ギラヴァンツの攻勢は時間を追うごとに衰えた。

☞ アルウィンでは、特に、プレイの巧拙に関係なく、前後に躍動するプレイを喜び、そうでない仕事をさせないような緊張感が必要でしょう。

❷特に後半が進み、北Qの陣形が間延びするようになって、こっちのパスがとおるようになったことが、山雅を利した。(パウリ―ニョの気の効いたプレイ!!)

おそらく意識してパススピードを上げているんでしょうが、前への強いグラウンダーは、たとえ相手に引っかかっても跳ね返りでボールを再入手できるから、チャレンジ回数を上げたい。

反対に怖いのは、岡田 優希にカットされた、住田の不用意な横パス(2失点目の発端)で、やはり、つねに前方向優先でやりたいよね。

他にも、なんで?、と思わせる、雑で、緩慢なプレイもあった(1失点は常田のヘディングクリアミスが発端) から、そういうのはひとつひとつ振り返って修正してもらうとして、

岡田マジックを、最少失点にとどめたのは、幸いでした。

あれだけのタレントだったら2部以上で十二分にやれるだろう、とは思うけれど、自己完結的なプレイスタイルが、必ずしもチームを利さない、という評価なんでしょうか?

さて。

このゲーム、縁の下のMVPは、鈴木 国友
地味な仕事を丹念にこなした。

それと。

数年前、松本市内の某食堂で挨拶した高校3年の山雅ユースが、ここまで成長するとは感慨も深く、

小松 蓮には、他の若手ともども脚光が当たるようなシーズンになることを願います。

では。