緩と,急と (FC大阪戦プレビュウ)

はじめに、リアリズム。

〈勝ち点〉とは、原則減らないもの。

だから、他者の積み上げは無視できないにせよ、
残り14ゲームで、10回勝たなければ(≒勝率 7割)、昇格ステージに浮上できないのが現実。
ここまで高い授業料を払わされた感があるので、せいぜい投資を回収するさ。

さて。

前半戦のホームでは、やっと勝てた、FC大阪のサッカーの特長は、おもにふたつ。

❶全得点の 53%は、セットプレイからあげている。

❷ポゼッションにはこだわらず、とにかく縦に速く攻撃を仕上げる。

……、となれば対応とは、

❶ハーフライン近辺であっても、ムダなファールを犯さずに、しかも自陣深く侵入させない(相手のコーナーキックと、ロングスロウを避ける)

❷どうしたって、ボール保持はこっちに傾く。
なので、なんとか相手のプレスをかいくぐり、デイフェンスラインの裏のところで勝負。

☞ ❶と❷を成就しようとするなら、

攻撃面では、ゆっくりやる時と、急にアクセルを踏み込む時の切り換えについて、チーム意思を統一する。

その上で、縦パスを多用すべき。

クロスは、相手守備の視野を動揺させることができるが、サイドへ展開する時間がかかり、ボール弾道距離が長くボールがイーブンになりやすい。

ゆえに、(大阪は4バックだから)ふたりのセンターバックに対し、数的優位の中で、出来る限りゴールマウス正面からシュート!!
山雅は、3トップだろうが、ペナルティエリア幅における、2~3のプレイヤの連携が、必要。

とにかく、リーグ最少失点!! の相手なんだから、

アシストとなるパスの供給k起点を多彩にして、そのデイフェンス陣を揺さぶるしかありません。

あとは、不幸にして相手にボールが渡った瞬間のケア。
守備の受け渡し、オープンなスペースで自由にやらせない、そんなところか。
つまりは、速く態勢をつくってしまう。

では。

奈良に立ち帰れ (FC大阪戦プレビュウ序)

枕の話として、

長野パルセイロの監督解任と、新監督の就任。

どちらのニュースも、夕方のHNK長野版を観て知った家人が、教えてくれた。

前監督については、えらい剣幕で審判団を罵倒しまくる、が僕の印象。

そういうのは、責任のないファン&サポーターに言わせておけば?

で、次に、そのサッカー論。

2列目にカードを多く並べておいて、敵陣の深い位置までボールを運んだら、大人数で、ペナルティエリアに雪崩れ込んでいくスタイル、と診ていた。

攻撃的で面白いやり方なんだが、
手薄になるボランチ周辺を上手く使われたり、あるいは、(ミスなどから)そこでボールを獲られたら、よほど帰陣が速くないと、相手に得点チャンスが多く生まれるなぁ、と思っていたが、実際はどうだったんだろう?

山雅が 1 – 2 で敗戦した5月のアウェイ長野戦も、そんなサッカーだった、と記憶する。

ただ、レビュウで指摘したとおり、

当時の山雅は、レギュラークラスの左右サイドバック(下川、藤谷) が離脱して、かなり無理したメンツを配した、つまり、こっちには、フツーにやり切る力量を欠いた。

かつ、上から相当な檄が飛んだのか、無駄に多いファール22個で削られたら、とても平常運転ではなかった。

だ、か、ら、
もし、パルセイロ首脳陣が、あのゲームを内容結果ともにオーライ、と評価してしまったら、それは違う、と思っていたが、

そもそも、山雅はそれほど磐石でもないから、買いかぶられても困る。

まぁ、これで10日くらいはメディアの関心は北方に向くから、静かな練習が出来てなにより。

所詮は、他人事。

けれど、長野の不調を、あえて、反面教師とするなら、

今節大阪戦、山雅に必要な要素は、

〈前後に速く展開する〉、もちろん、守功の両面。

キャンプ直後のファーストゲーム、対奈良戦。

あの清新なメンツに、夏の補強を経た面々を上乗せして戦う、そんなココロだ。

その基底には、山雅の、地道な進化がありまして、

たとえば、前節今治戦では、スローインを 21本入れて100%味方に渡せた。

対し、今治のスローイン 28本のうち、50%弱を成功させていない。

今治のスキや、緩いサッカーに助けられてもいたが、

90分間の集中と、些細に思えるプレーを大切にこなす姿勢は、今後、活きるだろう。

では。

さて,ここから,これから (FC今治戦レビュウ❷)

〈ゲーム、そのおおざっぱな実相〉
ドローに終わった、今節。

ゲームプランの成就、という意味では、今治がより、それを達成した。

前半を堪えて、スコアレスで凌ぎ切り、

後半に #10ヴィ二シウスを投入して、阪野とのツートップで強圧をかける、といったプランは、

ともかくも、#10のアシスト、#99阪野の先制点として、結実したからだ。

ただ、正直いうと、#9 近藤 高虎の左サイドにおける突破のほうが、山雅にとってはよほど脅威だった。

だから、近藤、阪野を引っ込めた 78分と、

山雅が3バックにシフトした 80分の、交代とシステムの交錯が、

それ以降は、山雅が、ゲームを有利に運べたキッカケのひとつ、だと思う。

今回の山雅ベンチワークは、そこそこ機能したわけか。

樋口 大輔が、左サイドバックとして活きる予感も得られたし。

〈今後の課題〉
あれ?、こんなにやらせてくれるの、といった今治の緩さがある中で、

山雅の十八番とも言える、前後半それぞれの冒頭における、猛ラッシュ、あるいはフルスロットルの時間帯。

ここで得点できなかったことが、勝ち切れなかった根本要因。

センターバック、サイドバック、そこへボランチが絡んで、相手を崩しながらボールを動かす技量は進歩しつつある。

それによって、相手の守備態勢を横方向に拡げられれば、空いたスペースへ安永 玲央、米原 秀亮が顔を出して、ボールを左右に自在に配球できる。

敢闘賞が安永に贈られたのは、アルウィンにおけるボランチ安永の、公式的な認知宣言。

ただし、そこからなんですよ。

両サイドから、サイドバックなどがクロスを入れまくる、これは否定しないけれど、

ピッチ中央へボールを持って来て、そこから、前を向いた、より最適な体勢でシュートを打たせる、そういう工夫が織り込まれてもいい。

今治戦の前半は、そういう意図がけっこう在ったように思うけれど、

後半はクロス一辺倒となり(それによってコーナーキックは獲られたが)、ゴール正面からのシュートに関しては寂しかった。

〈まだまだ追い詰めよう、みづからを〉
割って入ってもらいたいメンツはあるが、おおよその先発と交代要員が固まってきつつあり、

緩急の攻撃手法が、だんだんと板についてきて、

あと残り 14ゲーム。

(経験的に) 上位チームに迫るにおいて、勝ち点1を縮めるに 1ゲームを要す、とするなら、

現在、首位から 14差、2位から 7差の現実は、

厳しいけれど、上位が万全、磐石でもあらずして。

ゆえに、旗をおさめる状況でも、まったくなし。

大丈夫。

これからもっと追い詰められる修羅場は、ここ数年のならわしからすれば、いくつもあるはず。

3箇月を、苦しむ覚悟で。

ここまで築いたきた地点を見すえ、山雅自身がそれを信頼してやり切るしかありますまい。

というわけで、次節は、東大阪花園ラグビー場へと、向かわざるを得ませんな。

では。

かなり感動している件 (2023.8.26今治戦レビュウ❶)

先制されるも、

85分、コーナーキックからの跳ね返りを、村越 凱光が押し込んで、同点。

終盤は攻め続けたが、1 – 1 のドローで、タイムアップ。

勝てなくて半ば残念、でも、敗けなくて半ば安堵、そんなゲームでした。

スタジアムに入ってから、スタメンを知り、

そこに、山口 一真の名がなかったので少々がっかりしたのが真情。

ですが、楽しみに、次なる機会を待つ、といたしましょう。

さて。

阪野 豊史に先制弾をくらった直後、

― (ディフェンダーの) 常田が、シュートコースの左を切っているのに、どうして、村山は、左方へ体重移動するのよ、あれ、ニア(右) をケアすべき。
右に重心を傾けて待てば、阻止できたのに!!,、と僕。

すると、横で観戦していた家人は、

― あれ、完全にオフサイドでしょう!!、と声を上げた。

阪野にアシストしたのはヴィ二シウスだったけれど、

そのヴィ二シウスの、(ボールが出た瞬間の) 位置がオフサイド、というご指摘。

あとで、ハイライト動画をみると、

ボールがヴィ二シウスに入る前後の瞬間が、ストップモーションで編集してある。

過ちをば、無言で(露骨に) 訴えるために、メディアがよくやる趣向です。

でも、村山の位置取り(ミス)にせよ、オフサイドとジャッジされなかった事案(誤審)にせよ、

要は、もう一点獲れなかったことが、勝敗を決定づけた、とすべきであって、

たとえ、不都合が明らかであっても、それを、未練タラタラこだわっていてどうする。

誤審に苦しむ、と言ったところで、VARで取り沙汰されないリーグでやっているのは、

自分で蒔いたタネを刈っているに過ぎないのだから。

(誤審については、ビジネスライクに、クラブがJリーグに抗議すべきではありましょう、今後、少なくともアルウィンで、おかしな笛が吹かれないためにも)

……、僕が感動しているのは、

アルウィンに通うこと10年にもなると、

市井に、フツーにお住まいのご婦人がですよ、

瞬時にオフサイドを直感するようになること、

その淡々なる事実でありまして、

街にサッカーが根づくとは、こういった感想や発言が日常茶飯となることだろうな。

と、妙に感慨深いゲーム翌日なんです。

では。

名乗りをあげよ (FC今治戦プレビュウ❷)

大ざっぱな言い方にはなりますが、鹿児島戦で魅せたパフォーマンスを再現することが、ゲームをモノにする最低要件です。

リジットな陣形を保った、相手ボールホルダー、あるいは、パス起点への圧迫とボール奪取。

中盤での、味方同士の距離を適切に保ちながら、ドリブル、縦パス、手段はどうあれ、俊敏に前方のスペースを獲っては、相手ゴールへと速く速く達する姿勢。

それらが、なにより前提といえましょう。

その上で……、

❶復帰早々、山口 一真は、信頼できる戦力として名乗りをあげるのか、どうか?

2020季、水戸での爆発(15ゴール)をテコに、山雅、町田と新天地を求めたものの、大怪我(膝靭帯断裂) があったりして存分な活躍から遠ざかっている。
今季は、まだ出場がないなず。

三度目の正直で、カンバックを果たしたいに違いない。

先季、町田では、左アウトサイドハーフ(2列目の)で使われていたが、今の山雅だと、右アウトサイドハーフか、スリートップの右、となるか。

藤谷 壮と共存できれば、右クロスと、カットインシュート起点がふたつになるから、かなりの脅威に違いない。

野澤 零温とのポジション競争が熾烈、ではありますね。

❷今治は、相手が4バックの場合、多く、3バックを採用するようだ。
となれば、今治3人のセンターバックに対し、スリートップをあてがう
(菊井が、2列目中央で)

小松を真ん中、左は鈴木 国友、で、右が山口(or 野澤)。

小松と山口で高さが稼げれば、左は滝 裕太が面白い、とは思いますが、はてさて。

❸今治は、攻撃は、カウンター主体。
ロング、ショートは、これを厭わずで、

とにかく、ヴィ二シウスが張る、右サイド偏重で突破、侵入をくわだてる。

ゆえに、山雅にとってみれば、その左サイドでの守備網を、緻密に、頑強にしなければならぬ

つまりは、鈴木(or 滝)、下川 陽太、常田 克人。

彼らが、守備受け渡しをさぼらず、きっちりスペースを閉じるように連携せよ。

そして、常に大胆なサイドチェンジをおこなうことで、今治攻守の出足をくじく、これでいきましょう。

そろそろ、下川のミドルシュートが、ゴールネットを揺らすことを期待しながら……。

では。