愉快を感じて勇み立つようならば、きっと精神が若いあなただろう。
追慕、忘却といった気分に沈むようならば、十分に齢を重ねた証拠に違いない。
こうなったら、雪とはあまり縁のない世界のことを偲ぼうと思い、ライ クーダーのことを想い出したので、この曲を聴いてみる。
もともとは映画『The Border』(1982年米) のために作られたようだ。
サウンドをライが担当していて、この曲は、ジョン ハイアットらとの共作。
ジャック ニコルソン(主演)が、メキシコへの出入りに絡んだ組織的な腐敗に挑戦する 国境警備隊員を演じた。
ハーベイ カイテルが汚職に手を染める同僚役で、なかなか魅せる。
アメリカの不機嫌、みたいなものが通俗的にリアルに描かれていた。
国境を越えて 〈Across the Borderline〉
ずっと聞かされてきた場所がある
街の通りが金で舗装されている とか
そこは 国境を越えたところにあるんだ
自分に その順番が回ってきたら
やがて 君は知るに違いない
見い出せるどころか 失うことになるってことを
約束の地に着いたはずなのに
希望のすべてが 両の手から滑り落ちてしまえば
思い返そうとしても 時すでに遅し と悟るのさ
こんなに遠くやってくるための労力を報うため
ただ この場所で またやり直すだけ
そう 君は 国境を越えてしまったんだから
リオグランデ河を 行ったり来たり
砂に刻まれた無数の足跡は
誰にも わかりはしない物語
大河は 僕たちの生きざまと死にざまを映しながら
吐息のごとく 流れ下る
次に国境を渡るのは誰かって 教えておくれ
悲しみの暗闇にあって
僕たちは 今日越えなければならぬ
もっと先へ、と名づけたこの河を
けれど プライドを捨てたところに 希望は残る
それは君を 国境を越えよ と 突き動かし続けるんだ……
生きているといいことがあって、こういった、最近のカヴァーに触れることができる。
では。