無題。

21日に埼玉県の某市で投函された葉書が、きのう届いた。

叔父(母の弟)からのもの。

ご無沙汰しております、で始まって、改行。

妻〇〇が今月15日に永眠し、18日に葬儀を執り行いました。
以下……、年末の移動のさまざまのリスクを考え、事後報告とさせていただきますのでご理解ください、生前賜りましたご厚情に感謝いたします……、と続く。

この叔母とは、数えるぐらいしか逢ったことがなかった。

照れ隠しに違いなかったろうが、

自分よりも年上で、当時は婚期を逃がした(と世間でいうような)年齢の女性を妻に迎えたことを、

― 人助けだよ、とか叔父が言うのを聞いて、(たしか高校生だった) 僕は、

― よく言うよ、救われたのは、叔父貴のほうだろうが!、と内心思った。

叔父の家には二度ほど泊めてもらった覚えがあって、叔母の上品な柔和さ、穏やかな家庭の雰囲気に触れると、

将来、こういう女性と巡り合えれば……などと夢想していた。

要は、僕にとっての憧憬の女性だったわけだから、

その訃報に、食事の味覚を感じないほど、かなり応えている。

最後にお逢いしたのは、かれこれ20年近く前にもなるのか。

不義理なやつよ、これ以上後悔しないためにも、早々に、叔父を弔問しなくちゃならない。

では。

転校生は語る。

指折り数えてみたら、いままでに、住む処を10回は変えた。

転校は、2回している。

転校とは、幼少時にはけっこう重大な体験であって、

子ども心にも、転校しない者たちが、なんともお気楽で、無邪気なやつにみえたものだ。

ジム クロウチ (1943~1973年) の『New York’s Not My Home』は、亡くなる前年に発表されているから、ちょうと今年で 50年が経った。

いろんな処に住んで

たくさん競争をしてきたんだけれど

連中のうつろな顔を みているうちに

どうも、なんだか真っ当じゃあない、って思えてきたのさ

ここから出て行かなくっちゃ、って。

救いがたいほどに 孤独な俺

やっぱり 出て行かないと

…… ニューヨークを、故郷にはできそうもないから。

では。

煤払う日の 訃報。

一念発起した? 家人が、居間やキッチンまわりの整理整頓に着手していて。

かなりすっきりした空間が生まれ、喜んでいる。

ただ、文具や日用品が、ほとんど仕舞われてしまったので、これから、その在り処をいちいち訊かないと、ちょいとメモさえできない。

そんなことから、話題が大掃除に及んで、

― 年末の大掃除はね、あれは、新年に神様をお迎えするための神事なんですよ、と家人。

(そうか、盛大に掃除するだけだったら、なにも寒中を選ぶ理由はないわけだ)

― なるほど。でもね、宗教心皆無の日本人には、通用しない話だな、今や。

昔の江戸の街では。

年の瀬の煤払いは、12月13日と決まっていて、江戸城から始まり、武家屋敷、商家、庶民の家に至るまで、この日に皆が大掃除をやった。

   あくる日の  夜討ちもしらず  煤払ふ

翌14日未明。

赤穂浪士のテロによって主が殺害された吉良邸。
その御屋敷でも、大掃除に追われていただろう、という川柳。

ところで、昨日、仕事中に。

ジョー氏が、佐藤 蛾次郎 (俳優) の死を教えてくれた。

寅次郎マニアの彼にしたら、ココロにまたひとつ風穴が空いたようなものか。

訃報の話題ばかりだよなぁ、最近は。

でも、こんな曲で、現世の終わりを奏してもらう、ってのもいい。

そう言えは、ここで素晴らしいソロを演っている、ピー ウィー エリスも、昨年、この世を去っているんだった。(1941~ 2021年9月23日)

では。

だんだん効いてくる死。

フリートウッドマック (1967年~ ) は、まったく本腰を入れて聴いたことの無いバンド。

だから、アルバムの一枚さえも持っていない。

でも、ラジオからその楽曲が流れてくると、ハッとして手とこころを休めて、それに聴き入ってしまう、そんなグループ。

僕にとって。

こういう言い方は、最高の褒め言葉なのだ。

そのメンヴァ―のひとり、クリスティン マクヴィー (1943年 ~ 2022年11月30日) がつい最近、亡くなった。享年 79歳。

彼女が創った『Songbird』(1977年発表) は、エヴァ キャシディ (1963 ~ 1996年)がカヴァーしているのを聴いて知ったけれど、実に美しい曲。

でも、今回は『Say You Love Me』(1976年発表) のほうを聴いてみる。

儚い歌詞を、淡々と軽快に歌う。

特に、リフレインの旋律に触れたら、作者の逝去がじわじわと効いてきた。

ご冥福を祈ります。

では。

急に思い立つ ベスト 5曲。

ジョン レノン (1940 ~ 1980年12月8日) の作品について、ここらで、自分なりのベストファイブくらいを書き留めておきたい気分が、急に来たんです。

まづは、結論から。(順位には、ほとんど意味なし)

1) Help !

2) Sexy Sadie

3) Strawberry Field Forever

4) Happiness Is A Warm Gun

5) In My Life

ビートルズ時代、ジョンとポール マッカートニーがそれぞれ創った楽曲は、何故か?、レノン = マッカートニー、と共作のような名義になっているんだが、この五つは、レノンの独創と考えていい、と思う。

2番目の〈セクシーセディー〉

この曲は、マハリシ ヨギ (ヒンドゥー教における超越瞑想の唱道者、組織の創立者) に対する失望を歌っている、と解説される。

グループ内での妥協の産物として、ふつーのラブソングとして創り込んでしまう手腕が、にくい。

では。