幼い頃に母親を亡くすのは、切ない経験だ。
ジョン レノンは、この曲を(皮肉をこめて)評し、
なぜ、ポール マッカートニーが、こういった曲を作ったのかわからん、おそらくは『明日に架ける橋』(サイモン&ガーファンクル)に刺激されたんだろう、と語ったという。
およそ空想的で空疎な『Imagine』を作った本人がよく言うよ、と僕は思うが、
たしかに、聖人君子然したビートルズってのは、あまりいただけない。
文学、音楽や絵画は、いったん発表されたら、作り手の思わく、注文などにかかわらず、受容する者が自由に味わうものだけれど、
この曲は、ポール マッカートニーが、14歳で母と死別した、きわめて個人的な経験に執着して創ったものだ、と思う。
聴く者がどんな意味を込めて聴くかは、もちろん勝手だが、わざわざキリストの母マリアを持ち出してくることもないでしょう。
為すがままに、そのままに
悩んでいると、死んだ母さんが現れて、こう言うんだ
為すがままに、それが賢いやりかたよ
暗闇でもがいている時 僕のまっすぐ前に立ってね
為すがままに、それは、賢い言葉
世界中の傷ついて暮らしている人々だって同意するだろう、
役立つ答え それは 為すがままに
たとえ ちり散りになっても、チャンスはまだあるはずさ
為すがままに任せれば
月明りのない夜が来ても、僕の上には光が輝く
どうか明日まで 輝き続けておくれ
音楽に目覚めると、母さんのメアリ※が 枕元で言うんだな
為すがままに、それこそが、賢い言葉。
※メアリ(Mary)は、ポールの母の、ファーストネーム。
Let It Be は、ビートルズ最後のシングル曲として、1970年3月25日(@日本)に発売された。
いまから、ちょうど、53年前。
僕が使っている、(家人を介して)いただいた手づくりのトートバックに、小さく小さくその言葉が縫い付けてあったのに気づいて、こんなことを想い出した。
では。