ヴァン氏の、ご立腹。

ポロシャツが好きで、チノパンツと合わせたりしている。

ただし、長袖がどうも好きになれない。
きっと、袖の汚れが気になるからだろうな、と独り決めしている。

カラーリングの好みと、萬年のフトコロ事情の曲線がほぼほぼ交わるのが、ギャップ(GAP)だったりするんだが、残念ながら、当地には店舗がなくて辛い。

気温が低下するこの頃になると、長袖のコンプレッションインナー(もどき)の上に、半袖のポロシャツ、という格好で就業することが多い。

上着に襟がないと、ネームカード(ロックキー兼用)のストラップが肌に直接触れて不快なこともあって、そんなスタイルになる。

そうしたらですね。

同僚のヴァン氏、
―こういった服飾の道から外れた着方がまかり通ってしまうから、長袖というものが廃れるんですよ。季節感というやつ。

と、ずいぶんとお怒りのご様子。
萬年の半袖着用が、まるで万死に値するような言い方なのには参ってしまう。

―いやあ、ブラウスについては、アロハを別にすれば、萬年は長袖オンリー派なんですけどね。
、といった言い訳も通じそうにない。

ヴァン氏、かつて数十年、アパレル業界(女性向け)でお店を営んでいた御方。
服飾については、一家言あって、なにかと譲らない。

でもね、ボディーラインが寸胴ナベのようになった女性が、ワンピースの下にデニムパンツをあしらう、あのスタイルほどには、世の中に迷惑をかけてはいないでしょう?

では。

〈コメント〉
☞ルノワール氏より  (11/15 21:21)
万年さん流石です
座布団10枚獲得ですよ⭐
その訳はもちろん
ヴァン氏
〇〇さんにヴァン氏
って名付けは120%正解です
〇〇さんのスタイルとファッション
街のアイビーリーガース特集
にぴったりでしょう!
私はメンズクラブってのより重い
メンズEXって感じの
重衣料の仕事一筋だったので
ポロシャツのお話は得意ではありませんが
マラソンランナーの私の場合なら
今の季節
長袖ランナーシャツ👕(黒か紺色)の上に白のノースリーブを重ねると楽しいです。社員証は邪魔なのでパンツのポッケに入れてボタンしています    

魂の 赴く先の。

一昨日、職場に居た時のこと。

突然に、すこし前に亡くなった同僚の容貌が、ハッキリと想い出された。

あぁ、あの彼女だったのか……、と。

若くして逝去したその女性、訃報を聞いた時、はて、どういうお方だったっけ?、と一向に人物が像として結んで来ない。

数箇月間の入院治療の甲斐なく、逝かれたようだ。

部署も違い、会話をすることもなく、すれ違いに会釈するぐらいであったか、と思う。

目の前からいなくなって何箇月も隔たってしまえば、致し方もあるまい。
とは思ったが、それでも、なんだか胸の中のトゲのように残り、釈然としないでいた。

その日、ひとりの同僚が或るブラウスを着ていたんだが、そのチェック柄が、萬年の脳裡に、故人の面影を喚起したに違いない。

そういえばその人も、格子柄のブラウスを着ていた、そうだった、あの彼女だったのか!、といった具合に……。

脳に刻まれた記憶は消失することはなく、単に埋もれてしまうに過ぎない?

     風 尽きる 萩の野に落つ 西日かな     萬年

では。

風、尽きるところ。

この際、木枯らしでもよい。

風よ、吹いてもらいたいのだ。

できれば、強く。

庭を埋める落ち葉が、どこかへ吹き飛ばされてくれないか、と願う。

でも、落ち葉が飛んでいって、最後に吹きだまる場所がきっとあるはず。

そこって、どこなんだろうか。

では。

 

嘘つきは、ヒトゴロシに至るか?

嘘をつくことが、すぐに殺人に至るはずもなかろうが、
不正直なことで人生を固めていくうちには、他人を殺めるような大事を惹き起こしてしまう、かも知れない、というお話。

ま、風が吹けば桶屋が儲かる、と同じようにかなり恣意的な論法ですけどね。

たとえば、亭主が怪我をしたという通報で、救急隊が駆け付ける。

男性が倒れ込んだところにたまたま包丁があって、それが腰部に突き刺さってしまいました、と通報した妻は申告した。

でも、現場的にかなり不自然であるから、警察と情報共有しておこう、と救急隊。

で、結局、この奥さん、殺人未遂の容疑で御用となった、との新聞報道。

かつて容疑者と一緒に働いていた御方は、

やっちまったね、きっと酒が入ってたんだわ~、と感慨深げ。

とにかく見え透いた嘘を告げては、会社を休む常習犯だった。

朝、通勤途上で車を田んぼに落としてしまったとか、これからO市まで借金しにいかなくちゃあ、とか、微に入り細に入った嘘のオンパレードだったらしい。

有給休暇が発生したその月に、それを全部使い切ってしまうような人格が信用されるはずもないだろう。

お縄になるに及んでも、やはり嘘で押し通したか、と思えば、これはこれで主義に殉ずる生き方とも言えましょう。

ところが、敢えてうそつきの汚名を着て、でことは済まない様子。

捜査担当官をも迷わす嘘の多重奏になってしまったのか、本人に対し精神鑑定をおこなうこととなった、と漏れ伝わってきたのである。

となれば、嘘は身を滅ぼす、と言いかえるべきなのか……。

では。

霧のカシオペア。

EF64形(電気機関車)に牽引されて、寝台特急カシオペアが通過していく。
そんな幻想的な光景に出逢えた、霧の明け方。

その数日前に、お人を介して、旧知の姉妹からお便りをいただいた。

松本に生まれ育ち、すでに30数年前にはこの地を離れ、今は在京の方々だけれど、このたび、いよいよ松本に残してあった土地と建物を処分します、と書いてあった。

戦争で未亡人となった母親が、57年前に手に入れたもの、とのこと。

城山の登り口にあって、夜景の美しい場所にそれは在る。

萬年家族は、しばらくの間ここをお借りしていた恩義があるのだ。

処分の前に整理したのであろう、母上の形見として書物が一冊添えられてあった。

母の墓所は松本に残してあるので、墓参のため帰松することもあるでしょう、とあったけれど、きっと、人生のうちでお会いすることは、最早あるまいなぁ、と何故かひとり決めしている萬年ではある。

あのカシオペアの、人知れず静かに走り去る姿を想いながら……。

では。