檀香梅の花に寄す。

― お医者さんからね、肺がんのステージ4、と言われても、その大変さがわからないから、こっちがすこしも落ち込んでなくて、かえって、びっくりされたの。

進行の程度が、10段階の 4つめ、くらい、と思ったらしい。

いやいや、ステージ4 とは、もはや他の臓器にも転移していて、外科的な手術ができない最終的な段階です。

― そうだってね。
一般健診で見つかるまで、自覚症状が、ぜんぜんなかった。
いまも痛みはなし。ただ、お薬を飲んでいる。最近は、いい薬があるみたいで、いままで言われてきた生存率にも変化が出ているとか。

― 薬の副作用でね、手指の皮膚が、あかぎれのように割れて大変。
いまさら、指の中で、親指の働きが大きいことを実感したわ。

私も、中指骨折してはじめて、親指と人差し指が、8割方重要、ってわかりました。

― 大きな救いはね。一昨年に、〇〇さん(ご主人の名)が逝ったこと。
これが、逆だったら、〇〇さんを看る人がいなくなっちゃたから。

脳血管障害で倒れて以来ベッドで、9年間、奧さんが自宅で介護していたのは、

かつての僕の中学時代の担任。

折をみて、自宅に見舞っていた。

さぁ、春になったことだし、

彼岸だから、ご霊前に花でもと、あらかじめ連絡した時に、

病気になったことを、ご本人から知らされた。

電話の向こうが、案外明るい声で、かえってこっちが救われた気分になったんだが、

この日もやはり、明るく応対していただき、上がり込んで1時間ほど話した。

帰り際に、お庭の檀香梅から切り取った小枝を、いただく。

また、うかがいます、と辞したが、

一期一会、という言葉が、胸に去来した。

では。

まったりと信頼と自治について語る (長野戦の余韻)

南長野で感じた、

杓子定規に事をやるのが、あまり賢いとは言えないお話。

つまりは、実効性を欠く、という。

僕は、このゲーム、ビジターS(指定)に席を取ったのだが。

そこから出入りするのに、柵の出口ふたつに、それぞれ係の方がいて、ひとりひとりのチケットをチェックしている。

QRチケットなので、画面を出したり、みせたりが、実に煩わしい。

しかし。

考えてみると、S席も、フツー席も、ビジター側は完売しているのだから、

間違ったチケットで他人の席を占めようとすれば、おのずからトラブルになる。

ゆえに、

そういった場合のイレギュラー対処だけでいいはず。

JRですら、いまや、指定席の改札は、そういう方式ですよ。

せいぜい観客の良識と、自治能力に任せておいて、異状にだけ対応すればいかが?

券チェックに要する運営ボランンティアのマンパワーは、他で運用できるのに……。

ま。

パルセイロさんの場合、バックスタンド席を、かたくなにミックス(ホームビジター混合) としない〈思想〉をお持ちであるから、

つまり、観客を信頼しないのが、運営の前提らしいので、

こういう提案には、将来も乗ってこないか。

いやいや。

深く考えればですよ、

ビジター全席を指定席化し、かつ、バックスタンドをアウェイ観客に開放しないことによって、

山雅ファン&サポーターによる応援の、濃密化と迫力増を図ってくれたのかも知れません。

次回対戦、に備えて。

では。

知らないことはわからない。【霧訪山……】

最近、それに似たような経験をした。

某図書館は、特定のテーマによる展示において意欲的で、

おそらく月ごとに、展示物が変わる。

先日訪問した際は、〈霧訪山〉について。

塩尻市に在る、ひとつの低山に関し、いろんな角度から興味深く説明がほどこされている。

僕は、この山の名を知らないので、

その読みを、展示の文章中に探してみた。

が。

〈ふりがな〉を打った箇所が見当たらない。

ついに観念して、職員の方にお尋ねしたのだった。

自分にとって、当然にちかいくらいに自明のことがらだと、

無意識に、万人も知っているだろうと思い込む。

たとえば。

そこの組織や地域にあって、ごく当たり前の、つまり、根底的なルールというのは、文章化されていないし、だあれも、新人にこれを教えないことが多い。

それとは反対に、

~じゃあないですか?、と、

あんたも当然知っているだろうが、と言われると、反発を覚えるのもたしか。

知らないことは知らない、と自然体で返せるようになりたいものだ。

ところで、さっきの霧訪山ですが、
この地域の、どのくらいの人が、その読みを知っているんだろうか。

では。

たったひとりの鎖国。

たしか、あの物語。

某Eテレで、アニメーションで放送してると思うけれど、

小学生が、その劇場版?(実写で)を観ていたので、しばらく一緒に画面を眺めた。

『銭天堂』というタイトル。

その駄菓子屋のおばさん役。

― そうそうあの女優さぁ、テンカイなんとか、っていうんだろう?、と家人に訊いたら、

あまみ、と読むのよ、とのご返事。

知らなかった。いい加減な、僕の知識らしいや。

ところで、この女性の話す語尾が、〈~でござんす〉

レトロ感を出すための演出でしょうが、

~でござります、をこうやって訛るのは、

江戸の遊里あたりか、あるいは、渡世人の業界ことば。

それもわからないで、次世代に伝わるわけだ。

ま。

〈ヤバイ〉を、一般の子女、相当年配なご婦人にいたるまでが発するご時世だから、

どうしようもありませんな。

ジジイが、ひとり鎖国をほどこして文句を吐いてると、

よしなぁ、と言われそう……。

しかし。

あまみさんとやら、役柄からすると、ちと美しすぎはしないかぇ?

では。

さらなる憂鬱。〈We’ve Only Just Gegun〉

ま、こっちのほうは、たいして切実でない。
なぜなら、国民がみづからの力を評価できないといった〈無知〉の結果であり、僕の手には負えないから……。

ニュースを見ない身にも、いやでも聞こえてくるのが、今回の選挙で、

政権与党が、圧倒的な、つまり、単独で、

衆議院で自由自在に採決できる議席を占めてしまった件。

なんでも、得票を割当てしたい(当選させるべき)比例代表候補が尽きてしまって、他党に譲渡するレベルらしい。

中道なんたらのほうは、それこそ、草も生じない焼野原的な大敗とか。

で、そこの領袖は、会見の席で、万死に値すると自己を総括。

ずいぶんたいそうなコトバだが、なんとも白々しく、ズレていて共感どころでない。

30数年まえ、新進党を結党したあの勢いは、もはや小沢さんにはなく、

女性党首のひきつったような笑顔は、DAZN観戦の途中でも、動画で無理矢理見せられたけれど、

中道なんたらの陣営は、そんな愚かしい選挙キャンペーンさえも、しなかった感がある。

すくなくとも、僕の耳目には、選挙公報以外には、まったく届かなかった。

政党による国民議会制度を運用するとしたら、

一党による独裁的で専横的な運営や、はたまた、

少数政党の乱立による不安定な政権運営の、いづれもが、

(政治手法としての)民主主義にとっては、リスクが高まるのは歴史が示す。

せいぜい、二大政党制に近い体制にして、政権与党が勝手なマネができない状況が望ましいと思って、僕は投票に動いたんだが……。

政権を絶対的優位で持つこととなった者は、表向きはともかく、

さぁ、これから思うとおりにやらせてもらいましょう、となろう。

〈We’ve Only Just Begun〉(わたしたち、始めたばかりなの)  の胸中で。

カレン カーペンターの正当な跡継ぎを発見したぞ、と喜んだのも束の間の、

憂鬱……。

では。