我らが朝の,贅沢と至福と。

恵方、すなわち、縁起の良い方角に向かって、

太巻き寿司をほうばったならば、

福が訪れる、とか。

大阪あたりで、子どもの頃からならわしとしてずっとやっている御仁ならばともかく、

近年になって、それを信奉するようになったなどとは、

なんとまぁ、お手軽な、招福行動であることか。

そんなでもって、ハピネスが手に入る、と思っていること自体、

ハピネスの本質と、自己努力をナメた浅はかさであるから、

それを商売の手段にしようとする根性ともども、笑い飛ばしたくなる。

それよりかは。

せっかくこの地に生きるのだから、

朝。

午前7時前のわづか数分間の、

自然による、朝焼け三昧。

冠雪した北アルプス連峰を、燃えるように染め上げる〈モルゲンロット〉(朝のローズ色) を、

ポカンとして眺めているほうが、よっぽど心が救われ、清められる。

では。