この熱心を見習え。

― ねぇねぇ、これ聞いてよ。

昨日、入っていたんだけどねぇ、と言って家人が、

固定電話の留守録をひとつ、再生してみせた。

……(こちらは)総務省、電波監理審議会です。(何十分後に?)この通信を停止します……、とかなり早口にまくしたてていて、

画面には、問い合わせ先を思わせる電話番号があった。

発信元の局番をみると、81 から始まっているので、

― なんだこれ、海外からの電話だね。

他人をダマすならば、総務省を名乗りながら、外国経由で着信するようなのは徹底度がアマい。

かつ、言葉の調子があまりにも余裕がなくて、一本調子。

というわけで、高齢の主婦ひとりをダマすことさえに失敗だ。

やるなら、もうすこし、細部にこだわってもらいたいもんだが、

でも、日頃、電話料金を滞納気味にしているお方、または、あまりにも生真面目な人には、本当らしく聞こえて、折り返し電話してしまうのかも知れない。

このほかにも、アンケート調査に見せかけて、それに引きずり込むような着信は、しばしば。

こちらは、音声の頭が切れていて、入り方が唐突で、お話しにならない。

しかしまぁ、ダマすほうは、それはそれは(あまり無い)智恵を絞って、新しい手法の開拓に忙しいに違いない。

こういう熱心だけは、見習いたいものだ。

では。