コロンボついでに、

『ベルリン 天使の詩』(1987年、仏/西独 合作) でございます。

原題は、独語では〈ベルリンの空〉、英訳だと〈望みの翼 Wing of Desire〉。

ヴィム ヴェンダースが、以前ご紹介した『パリス テキサス』(1984年) の次に撮った(フィクション)映画。

今となれば、それから直に起こったベルリンの壁崩壊(1989.11.9) が、切々と想い出されます。

お話しは……、

主人公ダミエル (ブルーノ ガンツ) は、都市ベルリンを守護する天使。

けれど、40数年前、狂気の戦争によってこの街が徹底的に破壊されるを止められなかった罪を、永遠に引き受けて生きる者。

ダミエルは、永遠の命を棄ててでも人間になりたいと願うようになり、やがて、サーカスのブランコ乗り娘マリオンに、恋心を抱いて……、という筋。

この作品によって、都市ベルリンと、先の対戦の犠牲者と残った者たちには、なにがしかの鎮魂が与えられた。

けれど、我々の犠牲者とあの時代は、何時になったら、きちんとした魂の鎮めを受けられるんだろうか?

……、などと、ロシアウクライナ戦争の時代だからこそ、ますますと感じてしまう。

で、なぜ、コロンボついでか?

そう、ここに、ピーター フォークがご本人役で出演しているから。

元天使、いわば、ダミエルの先輩、といった風情で演っています。

なお、ダミエル役のブルーノ ガンツは、後年、アドルフ ヒトラーを演じてました(『ヒトラー最期の12日』2004年公開)。

では。