ニュートンの林檎、萬年の春椿。

きのうは、夏至だったようだ。

庭を歩いていると、ぽさっ、というかすかな音。

振り向いて音のしたほうを見やったら、ちょうど今、春椿(はるつばき) の花が落ちたところ。

気がつけば、一面の、夥しい落花。

アイザック ニュートン (1642~1727年) は、林檎が落下するのを見て、万有引力を発見した、というエピソードが語られる。

けれど、これ、かなり乱暴な話でありまして。

たとえ、眼前で林檎が樹から落ちたのが本当だったにしても、ニュートンの頭の中で、日頃から地球内部への力が想定されていなければ、その光景に飛びつくこともなかったに違いない。

だから、林檎の落果が彼に、ふたつの物体(中心)間の、距離の二乗に反比例するエネルギーの存在を〈再確信〉させた、というぐらいで次世代に伝えるのが無難。

で、僕の頭の中には、取り立ててなんの観念もないので、春椿の落花を前に、閃くことなどは一切なかった、という朝でした。

では。