いまさら,デ ニーロをまねて (マウンテンパーカ讃歌)

職場でご一緒する、或る女性。

そのお方が、ブリック(レンガ色)のパーカーをお召になっていたので、すかさずマネっ子精神が頭をもたげ、お買い求めの店名をうかがった。

― それね、『ディアハンター』の中で、ロバート デ ニーロが、鹿狩りをするシーンで着てました。

― その映画、ロシアンルーレットの場面が、とにかく強烈で。
いまなら、涙なしでは観られないわ、きっと。

ふむふむ、人生の重みをココロに深めている人のご発言ですな……。

シェラデザイン社の、60/40混紡生地によるマウンテンパーカを、ここまで臆面もなくコピーするのは、タラスブルバ社(日本)くらい、と思っていたんだが、ここがやってくれるとは。

さすがに職人ご用達ショップから脱却しつつある、〇―クマンらしいや。

元祖のパーカが、8着も購えてしまう価格で、しかも、それなりの防風性を備えているとなれば、これは買い!

ということで、早速入手。

バック(背中)ポケットがないことと、ファスナーの取っ手がややこぶりであることをのぞけば、がんばってコピーしている。

腰のドローコード(内側の紐)をしっかり締めて、いかにも山野へ出かけます、みたいな風情を楽しんでおります。

これからの季節、シェラデザイン式パーカの着まわしのポイントは、内側にそれなりに重ね着して、まづは防寒を確保。

そして、その上着として、首まわり、袖口をきっちりと閉じて、外気流入をシャットアウトすること、なんであります。

だから、着丈もしっかりとお尻が隠れるほど長い。

要は、シルエットがスマート過ぎず、かと言って、分厚く防寒風になり過ぎず、ほどほどに野生的、というのが、シェラ社のマウンパの味わいだ。

さて、二週間後。

― あれから、どう?、買いました?

― もちろん。
ただですね、デ ニーロを気取るならば、今度は、濃紺のニット帽を買わないといけません。

作品のテーマ曲、カバティーナは、いつ聴いても哀しく切ない。

では。