降格論❷ ―自分を何者と思うか? ―

去る11/28の、クイーンズ駅伝(実業団女子 28チーム参戦)では、積水化学が初優勝 (それも大会新記録)。
注目(by ルノワール氏)の、日本郵政の3連覇は、ならなかった。

オリンピック代表を擁しながらもトップを獲れず、ただ、それでも、第4位。

創部6年で優勝3回、ってのは、新興チームの躍進として上等なもの。

それと比べるわけでもないが、Jリーグにあって、山雅は、まだまだ新参者の部類。

それが、幸いにも、トップリーグへと二度も駆け上がってしまったので、今回の件、マスメディアなんぞ、1部からたった2年で3部落ち、とか劇的に書き立ててくれる。

読ませようとするので、そういった見出しになろうが、たしかに1部には居たものの、とても他に伍していけるほどには、クラブおよびチームの力量/技量も不足。

だから、そんなに盛ってくれてかえって申し訳ない、って感じですな。

まぁ、2部にあっては、そこそこ上位に番付を保てればいいか?、くらいの体力だと思っている。

実際、10年間で、順風満帆の、挫折なき平穏なシーズンなんてのは、2、3度くらいしかなかった僕の記憶。

このあたりを見逃してしまうと、ロクな議論は生まれてこない。

もともとが、地域リーグからの成り上がり者ではないか。

ただし、そこにチョイとこだわりを足したクラブと、それを取り巻くこの街と人々、それが〈山雅〉なのだ。

JFLの頃からココロを向けだした者からすると、れっきとしたプロスポーツクラブが自分の街に在って、スタジアムに足を運べば、格安で熱い時間を楽しめる― これだけで、かなり贅沢な人生を送れている。

爺婆や、世代を超えた男女の娯楽であっていいし、そこへもってきて、勝利を多く体感できればさらに嬉しい、ということだろう。

どんな(職業的な)世界でも、上を目指すのは当たり前。

ただし、参戦するリーグを絶対的な基準にするあまり、昇降格によってサッカーを楽しめなくなるなんて、なんという貧しさ、浅はかさ。

― エド シーラン、というイングランドの歌手がいてさぁ、と切り出したら、

― 知っているわよ、という家人の返事。
あたしが知らないとでも思っていたの?、という響きが強くこもっていたので、意外だった、とも言えずに、こう続ける。

― 彼、地元の、リーグ1(3部相当)で戦うクラブ(イプスウィッチタウンFC)のサポーターを公言していてね、今度、来季の胸スポンサーになっちゃった。
自身の2022コンサートツアーのシンボルロゴなんだけれどね、これが、四則の計算記号を並べたユニークさで。

エドのコメントより……、
〈フットボールクラブは、地元のコミュニティにとって大きな部分を占めるもので、これが僕なりの支援の示し方なんだよ〉

要は、おのれの姿をキチンと捉えられれば、今回の降格を機に、何を変え、何を変えざるかが、自然と見えてくるように思うんですがね。

鏡に映った自画像を見すえるというのは、なかなか辛い仕事でもありますが、外部のやかましさと雑音を消し去り、みづからを変革するために前に投げ出していく。

― 他人の火事は面白い。
……なんて諺があるくらい、いろいろ言って他人の逆境を楽しむ輩は湧いてくるが、そんな無責任な論評は放っておきましょう。

では。