時はいづこへ? ― 歳月は 旅人 ―

『Who Knows Where the Time Goes?』(1967年) は、
サンディ デニイ (1947~1978年) が作った曲。

もともとのタイトルは、英語でいうところの、疑問形による否定構文だから、
〈時がどこに行くのか、誰も知らない〉。

『奥の細道』(松尾 芭蕉 1702年刊) 、を持っている僕らからすれば、

― 月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。

と、歳月を、行きて戻らぬ行人とみなす感覚はかなり親しい。

だから、西洋の歌の、こういうタイトルに触れると、彼等も同じように感慨するのか、と思う。

この曲は、エバ キャシディ (1963~1996年) のカヴァーで知った僕だが、

31歳でこの世を去った人の作品を、33歳で早逝した人が取り上げて歌う、といったハマり方がなんとも切なく思うのであった。

さらに、最近逝ったばかりの、ナンシー グリフィス (1953~2021.8.13)もカヴァーしているんではあるけれど、

今は、これくらいの、緩やかさ、ピュア過ぎないシンプルが、聴いていて安心。

では。