ボランチの贅沢さこそ【栃木戦レビュウ追記その❷】

補足の後半です。

武器としてのクロス、これを否定はしない。

人間にとって、対象物をば、真正面に視界にとらえるのが自然なこと。

左右、つまり視野の端から入って来る物体は、首振りという動作を余儀なくされるし、捕捉するに難儀。

クロス戦術を採る理由はそこにあって、ディフェンダーの視野や動作に揺さぶりをかけ、進入してくるボールや人への対応を難しくさせる。

だから、クロスのボールの質、そのクロスを受けるプレイヤーとの連携、それはそれで挙げていただきたいんだが、
最近の山雅にあって、不足しているのは、ゴール正面(幅)のスペースの活用と、そこへの走り込み、だと思っていて、それが、ボランチがそのスペースに入ってくる回数と迫力を増してくれ、という注文になるんです。

これがベストの具体例どうかは別にして、

例えば、2017シーズン第41節アウェイアビスパ戦(11/11)には、そんなシーンがあった。

振り返ると、このシーズンはずいぶんと苦闘した山雅、最終的にプレイオフを逃す。
鈴木 武蔵を夏場に補強するなどしたものの、そのタレントを使いこなせなかった苦い思い出もよみがえる。

その縮図として、このアビスパ戦も、土壇場にやっと同点に追いつくような展開。
なにせ放ったシュートは、たったの4本で、アビスパの3分の1だったような。

でも、それなりのシーンは作っていて、最上のやつが、パウリ―ニョの同点弾。

ここに、ハイライト映像を引用しますので、ご覧あれ。(1分29秒あたり)

ゴール正面のエリアで、ボランチ武井とシャドウのセルジ―ニョのふたりが、相手ディフェンスの注目を引き連れておいてから、ボールを、駆けこんできたボランチのパウリ―ニョに渡す。
スペースを確保しながら、シュートのお膳立てをしているわけ。

さらに、パウリ―ニョが蹴る瞬間、ペナルティエリアには、山雅の4人くらいが駆けこんでいて、ゴールに向かいながら、ボールが出てくる瞬間を狙う。

今のように、狭いエリアにワンツーでパスを通そうとすること自体はノーではないが、密集に突っかけることばかりではなく、ハイライトにあるような、相手ディフェンスに対し、こちらは時間的、スペース的な余裕を生みだしながら、フィニッシュするシーン。

こいういうの、最近、ほとんど観ませんよ。

チノ氏の指摘のとおり、ペナルティエリア付近への侵入時、センター付近がスカスカでプレイヤーがいなさ過ぎる、あるいは、そこにまでボールが到達しないで終わってしまう。

この方法、まさに、ボランチがヒーローになれる場面だと思うんですが、いかが?

これだけ優秀なボランチ陣を擁するんだから、敢えて言うんです。

萬年は、山口 一真をボランチ起用するのもあり、と思っていて、フォワードの並びの選択肢が窮屈ならば、それを拡張できる手段ではありませんか?

……などと、平川 怜をこれだけ活かせる、(現役時は自身ボランチであった) 指揮官に提言したいですわ。ホント。

では。