見透かされた得点力 (2021.10.10栃木戦レビュウ)

PK被弾による、0 – 1 の敗戦。

〈軋みの中で考えた…… 〉
ゲーム進行を観ながら、感傷的な自問自答をしていたことも事実なんでありまして、
それは、(負傷/不調による離脱はべつとして) 眼前の光景は、 来季もこのチームでやることを覚悟した戦士に絞り込んだ結果かもしれないな、との、ほとんど妄想。

きっと、事実はもっとドライなんでしょうが、それはファン&サポーターの側にも言えること。

苦戦苦悩の中、8,000人が集まるといった底に流れる山雅愛。

他方、1点差で70分に差しかかった頃には、かなりの観客がアルウィンから立ち去ったという現実。
この方々は、冷静な読みと、妥当なゲーム観の所有者。

この様子じゃあ、とても得点できそうにもないな、という感覚はごくマットウでありましたし、それは、栃木指揮官田坂氏の発想と、ほぼ同じものであったはず。

ただここで、光明として見逃せないのは、ゲーム後、当方の指揮官インタビュウに〈チームへの貢献〉というキーワードが登場したことか。

この視点が在る限りは、現指揮官の方向性を信頼すべきであって、この緊迫した状況下、プレイヤーの自己実現とその評価の根っこはそこにしかない。

〈不足しているものとは……〉
ゲームの入りからの、ハイボールが落ち着かずに行ったり来たり。

相手が栃木であれば、これ、予想できた展開であって、当方として、同様にしてそれと遣りあうのか?、あるいは、ボールを足許に落ち着かせて持ち込むのか?、ここを、もっとはっきりさせるべきでした。

ゲーム後インタビュウからすると、後者の策を採りたかったようです。

乱暴に言ってしまえば、こちらが先手でボールを動かせれば、どっちでもいい。

今のチームに不足しているのは、こういう戦術の選択を、ピッチ内で誰が率先しているのか、ほとんどわからないこと。

違う言葉でいうと、蹴り出すボールには、まだまだチームメイトへのメッセージが不足している。
これを感じるのは、外山 凌くらいですよ。

だから、結局はハーフタイムや飲水の機会を経ないと、戦い方に変化が生まれない。

先制した栃木は後半、豊田と矢野を、得点源ではなくてファーストディフェンダーに見限るほどの徹底度で、守備陣形を堅くする。

後半、栃木のシュートはたしか、やぶれかぶれのが 1本だけでした。

それもあって、驚異的なボール保持下、こちらは攻撃に専念。
ボランチが、開いたスペースに入って来てはボールを捌くシーンが増えて、ボールはかなり潤滑に回るようになった。

予定調和的、お決まりのボール回しには、だんだん工夫が仕込まれてきているのはわかるんですが、あれだけ栃木が自由にやれせてくれたんですから、ボールを持っていないプレイヤーが、もっと一見ムダな動きを活発にしてもらいたかった。

そうすることで、ディフェンスをおびきだして、守備網に穴を開ける、あるいは、網の目を粗くできる。

ボールに行っている2~3人のプレイヤーの必死はたしかに伝わってくる。

が、その他の者が、次の動作に入る、次にボールをもらうスペースを獲る、といった連携が感じられない。
だから、ボールの行く先へ向かう動作が、どうしても遅くなる。

得点が生まれないことに対し、〈精度〉を求める、これはわかるんですが、その精度をもたらすための、時間的な、スペース的な余裕。

そこに手をつけない限り、このリーグ特有の、素早く寄り集まってくる守備の突破は、なかなか困難。

昨日のゲームを観たかぎりでは、センターバックが高く上がって引きつけ、そこを起点に、いったん中継してボールを(サイドなどに)散らしたボランチがペナルティエリアに入って行く、そういう一連のパターンの再現性を上げていくのが、いちばん確実なやり方だと思います。

クロスを上げさせるのは、ディフェンスに高さを多数擁する栃木の思うツボでもあったでしょうから、クロスの高さ低さ、長短、これに工夫がもっと要ったのかも知れない。

リーグ戦の最後に進むほど、こういった堅い守備を崩すべき局面がますます予想されるわけで、そこが原点ならば、避けずにチャレンジしてもらおう。

あと附言すると、時間を区切って、ファーストディフェンスのエリアと高低を変化させた栃木の綿密さ、あれは見習いところ。

〈さて、今週の暮し方は……〉
せめてもの救いは、下位集団の中で栃木がスルっと順位を上げたくらい、残りは、ほぼ停滞した今節であったこと。(その分、上位10チームが遠くなった)

ここまで勝率2割のチームに、のこり9試合に、4~5割の勝ちを求める萬年式胸算用。
まぁ、これが、きわめて虫のいいご説であることは承知です。
が、決意表明の旗を畳むわけにもいきますまい。

前 貴之が戻ってきたこと、それを喜びます。

では。