最近は、もっぱら家人のほうが、キネマに浸っている。
それも、古今、洋画、邦画を問わずに。
たとえば、前夜に『ヒトラー最期の12日』を観た翌日には、『ノッティングヒルの恋人』とか。
これ、なかなか滅茶苦茶なキネマサーフィンなんですな、僕からすると。
で、
―やるせないよな重ぐるしさが、ヒュー グラントで、さっぱりと救われたわ。
……とおっしゃる次第。
たしかに、ハッピーエンドまでの手練手管を楽しめばよいラブロマンスは、観ていて心地良くて、気も晴れる。
―でも、ブルーノ ガンツならば、どうしても『ベルリン 天使の歌』を観てやってもらいたいなぁ。
大殺戮を止められなかったがために、罪を問われ続ける天使の役でしてね。
……と、応える僕でありました。
作品の出来にケチをつける気はないけれど、
600万人を冷酷に殺害した挙句、官邸地下壕に追い詰められた一群のドタバタ劇を、いまさら採り上げたところで、どうするの?、っていうのが僕の感想。
そうか!、自分で蒔いた身から出た錆の、その結末を、突き放して描いて見せる喜劇、それが製作の狙いだったのでしょう、きっと。
たとえそうであっても、所詮は〈ノゾキ〉。
上質な趣味とは、とても言えません、と、ナチズムにとっては、カウント外で、憎悪の対象にもなり得なかった黄色い人種が呟いている。
では。