男の純情に訴える。

半世紀前(1966年) の明日29日、ビートルズが、最初で最後の日本公演のため来日した。

遠く海のかなた。
英米で沸き起こったティーンエイジャアの凄まじい熱狂に、まづ、周囲の姉貴や妹、そして、恋人がすばやく反応、レコードを聴きまくり始める。

はじめは、なんだよ、4人組のロックンロールバンドかよ、と眺めていた男子諸君ではあったが……、

アルバム『Rubber Soul』(1965年12月リリース、日本発売1966年3月) が発表される頃になると、待てよ、この連中、ただ者じゃあない、と気づきはじめる。

ちょうど、そんな時を狙ったタイミングだったのではないか。

R&Bを基調としたロックンロールに、ひたすら強引にコーラスを乗っけたラブソング。

けれど、その中に置かれた、『Nowhere Man』とか、『In My Life』といった、自我を自省的に見つめた曲群が〈男の純情〉に強く訴えたのだ、と思う。

ビートルズ自身は、直前の6月21日に、次のアルバム『Revolver』(1966年8月リリース)の録音を終えていた。

このアルバムでは、『Eleanor Rigby』が、辛辣と冷徹な思想で出色の出来か。

今回は、スローバラードの『Here,There And Everywhere』を聴こう。

……、人生をよくしたいために、君のそばで暮らしたい、と始まる殺し文句の歌詞に加えて、
コーラスの多重録音がけっこう凝っていて、そこが聴かせどころでしょう。
アルバム制作の中では、最終盤に録音された。手こずったんでしょうか?

ポール マッカートニイは、お気に入りの曲のひとつ、と言っている。

このカヴァーを取り上げるところなんかが、萬年流でありますな。
こういうチャレンジ、捨てがたい。

では。