煽りの系譜 (2021.6.9天皇杯2回戦レビュウ)

社員の成績を評価する人事考課で、いちばんやっちゃダメなのが、〈ハロー効果〉
或る人物の、ひとつの良点に眼が奪われて、すべてを良く評価してしまうか、ひとつの弱点(ネガティブポイント)によってすべてを低く捉えてしまうこと。

ハローとは、西洋の聖人の頭上に描かれる、あの光の輪。
恋愛中の、あばたもえくぼ、といった心理状態を思い描くとわかりややすい。

これと同様で、勝ち負けによって、そのゲームの受け取り方(評価や印象)は、ガラリと変わってしまいやすい。

勝つために戦うわけだから、致し方ないと言えばそれまでなんだが、サッカーにミスはつきものであるがゆえに、せいぜい努力して、プレイヤーのチャレンジ面は見落とすまい、と思っています。

52分、田中パウロからの地を這うようなクロスに飛び込んだ村越 凱光の公式戦初ゴール。

その後、琉球が、赤松、上原の強力FWを順次投入して攻撃圧を強めると、最後の15分くらいは防戦にヒヤヒヤとなったものの、これを守り切って、1 – 0 の勝利。

いちばんの勝因は、FC琉球に、パスなどのミスが多かったことと、シュートに精度を欠いたこと、これは紛れもない事実。

ボール保持が生命線のサッカーで、あれだけつなぎに難あれば、いただけない。
テンポとリズム感に乏しかった。

次なる勝因は、山雅が、❶工夫と、❷前への推進力、このふたつに忠実であったこと。

❶初期布陣は、3 – 3 – 2 – 2。
サイドバックには、下川(左)、村越(右)。
ボランチは、米原がアンカー気味に入った。
ただ、米原の負担を軽減するかのように、2列目の小手川(左)と、浜崎(右)が適宜降りて、3人で守備をするような格好。

面白かったのは、小手川と浜崎が、サイドバックと縦の関係を築きながら連動し、ある時はライン際を、偽サイドバックのように駆け上がるやり方。

センターバックがスローインを入れる戦術とあいまって、偽サイドバックの動きが、サイド制圧と侵入におおいに寄与した。

❷村越、下川、田中パウロといった縦を切り裂くタレントの採用が、効果的だったことも確か。

ミスもあったものの、ディフェンス陣は前へのボール供給に常にチャレンジしていたことの評価も高い。

横山野々村の縦パス、常田のビッグスイッチを伴うロングボール、こういうのは精度を上げて続けてもらいたいな。

最後に、スタンドと一体になって気持ちを高められるプレイヤーが、再び山雅に戻って来たことを喜びたい。(特筆)

後半、(たしか)彼からのクロスを相手DFが弾いてコーナーキックを獲たシーンでは、ゴール裏を煽った田中パウロがおりましてね。

田中 隼磨、岩上 祐三、と続いてきた煽りの伝統の復活、と書いておきましょう。

なお、最後の最後に。

得点者の村越を別とすれば、萬年式MVPは、米原 秀亮。

攻守への献身が印象的で、特に、得点機を創り出した、相手ディフェンスの裏を取った田中パウロへのパス、これは魅せました!!

動画をアップして下さった方があるようなので、なんなら、You Tube でご確認ください。

では。