ESLの挫折に 学んだこと。

日本ではそれほどのニュースにならなかった、ヨーロッパ スーパーリーグ(ESL)の、あえなき挫折を横目にみて、考えさせられたことです。

ESLとは、欧州の、〈いわゆる〉ビッグクラブ15チームが、リーグ戦(ホーム&アウェイの28試合)をたたかい、プレーオフで年間チャンピョンを決する、という構想。

各チームは、いままでどおり国内リーグに参加しながら、ESLに参戦する。

各国リーグはおおよそ週末開催なので、ESLのゲームは、週の半ばに組まれる。
リーグにおける昇降格はない。

去る4月18日、リーグ創設に参加する、オリジナルの12クラブが公表された。

2018/2019シーズンの、これら12クラブの収入(推定)を、1ユーロ=129円のレートで、日本円で示そう。(ただし、ACミランはひとつ前のシーズン)

❶FCバルセロナ             1,084億円
❷レアルマドリッド          976億円
マンチェスターU           917億円
マンチェスターC           787億円
リヴァプール                780億円
トテナムホットスパ        672億円
チェルシー                    661億円
❽ユベントス                    593億円
アーセナル                    574億円
❿アトレチコマドリッド      474億円
⓫インテルナショナル        470億円
⓬ACミラン                      267億円

各クラブがどうやって、これだけの資金を集めているかはさまざまだけれど、この原資で、優秀な指導者やタレントを集めまくれば、やっぱりそれなりの戦績を残せるだろう。

ちなみに、2018年度のJ1 クラブ18の、営業収益合計は、855億円。
その上位三つが、神戸 96億円、浦和 75億円、鹿島 73億円だった。

J1リーグの総合計よりも、マンチェスターシティの収入が多かったということ。

ところが、リーグ立ち上げが発表されると、それぞれのファンサポーターから反対の声が猛然と沸き起こる。

チームの現場、指導者やプレイヤーからも疑問の声が漏れだしてくるわ、くるわ。

なかでも、イングランドは、首相までもが、抗議する事態に。

欧州サッカー界の元締めである、UEFA(ヨーロッパサッカー協会)、さらにはFIFA(国際サッカー連盟)も 反対を表明。

参加クラブはヨーロッパチャンピョンズリーグから、所属プレイヤーはワールドカップの国家代表から締め出すぞ、とまで言い出す始末。

結果、プレミアリーグ傘下の6チーム番号赤字が、真っ先に、リーグからの離脱を表明。

その後、ドミノ式に、4クラブが追うように離反。

残ったのがふたつでは、もう無残。

このお話は、発表後、なんと48時間で、瓦解してしまったのです。

〈教 訓〉(どうでもいいこと順に)
お金は大切
でなけりゃ、きちんとしたクラブ経営は成立しないし、それなりの戦力も集まらない。
ただ、今回の稚拙なリーグ構想と公表をみていると、収入は相当ありながらも、どうやら、薄氷を踏むような危うい経営となっているフシがある。

ゆえに、UEFAにピンハネされることのないような興行(放映権など)収入を、是非とも手にしたい、という焦りを感じます。

②莫大な資金ありきのサッカーが、もしもファンサポーターをないがしろにした世界を志向すれば、かならずや、その反発と離反を招く。

今回のは、ファンサポーターに支持されないクラブ行動の、まったく良い事例。

本来、フットボールは上流階級のお楽しみでもありませんから、強欲の者が強欲の者に叛旗をひるがえすようなストーリイは、唾棄の対象。

そもそも大衆は、ヒーローの心変わりを望まないものなんです。

では。