― 狐って、冬眠しないのかしら?
調べてみると、どうも彼ら、冬眠はしないようだ。
この日の朝、6時頃。
家から出ると、すぐ隣の畑の中、狐が一匹、鼻先を地面にこすりつけるようにしながら、進んでいく。
距離にすると、30mくらい向こうのあたり。
熱心に食物を捜しているんだろうか、息を殺して見つめていたわけでもないのに、こちらには一向に気づきもしない。
道を渡ると、そのままの格好でずっと歩いていった……。
大した食べ物にもありつけていない様子に、餌付けの誘惑にかられたが、そうしたらきっと、あいつの自由と自立を奪うことになる。
僕にできることはせいぜい、新見 南吉の『ごんぎつね』(1932発表)を読み返すくらいだろう。
そして、二日もすると。
庭の隅に見つけたふきのとうを、天ぷらに仕立てて食している萬年なのだ。
では。