碌山美術館の ケチ

荻原 守衛(もりえ、1879~1910年) は、第一級の彫刻家である。
号は、碌山。

安曇野穂高の、碌山美術館は、たまたま碌山の生まれ故郷に在る、ってだけの話。

ご当地が生んだ芸術家、とわざわざことわる必要のない、卓越した才能なのだ。

思い立ったら簡単に、その作品に接することができるしあわせを、僕らは持っている。

が、この地へ赴く楽しみのひとつは、美術館のチャペル風なたたずまいを味わえるところにあった。(1957年建設)

ところが、である。

いまや、この敷地内へ足を一歩踏み入れるだけで、入館料(大人700円也)が求められる。

いつから、なぜに、こうなったのかは知らないけれど、たとえば、今回は、館内へは入らずに、この敷地内を散策したいと思っても、あなたは、散策料を払わなければならない。

たとえば、静かなる庭の緑陰。

落ち着いて恋人と時間を過そう、なんてお洒落を禁ずるとは、まったく、なんというケチで、無粋なココロなんだろうか。

もちろん、碌山氏には、これぽっちも恨みはない。

では。