超預言作! 『家族ゲーム』(1983年)

― 家でもね、マスクをするべきなのよ。

ついに、家人がこう言い出すところまできたか、このパニック。

誘導された騒擾によって、なにがなんでも感染防止、がはなはだしいけれど、角をたわめて牛を殺す、って領域に入りつつあるかも知れない。

コロナ怖しの一辺倒でやったあまり、生活そのものが崩壊する、ってこと。

もう相手はウイルスそのものではなく、人間の描いた幻想っぽいな。

やる/やらないの限界点を一向に明確にせず、限界に近い困った困った、などと言ってオドすばかり。
だから、ナショナルおよびローカルのリーダーは、ますます信頼を失くす。

いまや、拙宅では、スーパーマーケットへは敢えてふたりして行かない。

テーブルの片側に、ふたり並んでの食事ですよ。

この前など、間仕切りを作って置こうか、なんて話にまでなった。

あぁ、これ。
映画『家族ゲーム』が、40年も前に透かせて見せてくれた、互いの信頼を喪失した家族が向かう、食卓風景そのもの、ではありませんか。

深刻な話題になると、家から出て車の中に座り、前を向いたまま相談する中年夫婦(伊丹十三、由紀さおり)の姿もまた、預言的だった。

ホンネのところですでに破綻している家庭に、大学7年生の家庭教師(松田 優作)が入り込んできて、トドメを刺すさまを描いたコメディ。

萬年ランキングでは、11~20位あたりに入っています。

松田のコメディアン的な要素が、新鮮。

だが、オロオロと定見なき母親を演じた由紀さおりの演技に、いちばん惹かれる。

では。