嫌われるための秘策。

秘策、とはいささか大げさだが、上司としての人望を失うのは、それほど、むずかしいことでない。

もっとも効果的なのは、〈部下を悪者にする〉ことだろう。

お前を悪役に仕立てて、俺は自分の保身を図るからな、と堂々と言う上司がいたら、好悪は別にしても、よっぽど正直な奴、と思っていい。

萬年にも、こういった経験があって、それ以来、その人間をすべて条件つきで信用するようになったから、よくわかる。

この真理をコミカルに逆手に取って成功したのが、柳葉 敏郎と妻夫木 聡が絡んだCM。
ロト(宝くじ)なんかやらない者でも、このサラリーマン残酷の連作物には、けっこう惹き込まれた。

なんだかんだと悪評の電通であっても、こういう作品を産み出すから、勝てば官軍の世界は変わらない。

(上から言われなくても)、みずから悪役を引き受けることを組織への忠誠、と勘違いする者がいまでも多いのは、某会社が、か〇ぽ生命保険を不正/不正直に販売した事案の後始末が証明している。

直接手を染めた人間を数百人と処罰するものの、元締めとして指揮していた者たちは、結局のところ断罪されない。

この会社の反省の程度が、これで知れる。

では。