ジュビロよ ありがとう (2020.10.10磐田戦レビュウ)

やたらとゴールポストやバーが鳴ったゲームは、0 – 0 のスコアレスドロー。


〈感謝と心配〉

まづは、対戦相手のジュビロ磐田 殿に感謝を申し上げなければならない。

まるでトップリーグで戦っているような緊張感、手強さ、そんなものを久しぶりに感じさせてもらえたから。
基本的な技術が備わっているプレイの連続、無駄のないゲーム進行。
しかも、遠藤 保仁を90分フルタイムで観せてくれるという大盤振る舞い、こんな厚情は、そうそうないぞ。
うちの米原 秀亮くんは、遠藤にたんと授業料を払ってもよい。
広い視野、ボールを失わない判断、他のプレイヤの活用、そういうところ。

さらに、たとえ些少であっても、勝ち点1を貯金させてもらえたのだから。

ただ、起点のほとんどをヤットさんを経由し、今野が基底部で忙しいターンでパスを出し、大森はサイドのプレイヤーに指示を出していれば、このチーム、もはや〈小ガンバ〉ではないか?
他人事ながら、みづからのアイデンティティをどう考えるのか、とは思います。
あれだけ我慢してボールを回しまくっても、究極の不足は、やはり最前線か。
前半遠くで観ていたこともあって、小川、中野のツートップは仕事をしてた感が希薄。
61分には、セットで交替カードが切られたけれど、ルキアンが目立ったくらい。
まさか、タイムカードを押しにだけアルウィンにやって来たわけでもあるまい。
……、この部分が、ジュビロさんにとっての懸念でしょうね。

〈上を目指すところに 成長がある〉
山雅にとってみれば、良い意味で こんなもん。
現時点では出来得る限りのゲームをこなした、と思います。

チーム総体としては、緊張と集中を持続してプレイできていたし、センタバックらのチェックは厳しく、守備の受け渡しもほぼ破綻がなかった。

大野や常田も、ここぞという場面で果敢なプレイを出せるようになっている。
あとは、手に入れたボールをワンタッチで蹴り出す時の、正確さ、かなぁ。

ボールホルダーへの寄せとチェックについては、前 貴之が、タイミングと運動量に優れていて流石。
北ゴール裏の同志チノ氏は、前をアンカーでもっと重用すべし、とのご意見。


さて、米原 秀亮。
ゲームを重ねるごとにプレイには力強さを増してはいるが、あとは判断の速さだろう。
逡巡した場合、どうしてもターンを狙われてボールが引っかかってしまう。
ここを克服して、気の利いたパスを量産だ。

攻撃面。
さっそくと佐藤 和弘が効いていたのには少々驚いた。
〈佐藤効果〉とでも呼んでしまえ。
やるべきことがハッキリとわかっている、というのがチノ氏の感想で、たしかにな、と思う。

最終のところの精度、というのは単にシュートを枠内へ、ということよりもその前段、打ち込むためのスペースの確保とか、自然なシュート態勢になるような丁寧なアシスト、こういう部分をもっとキッチリと形成することを意味している。

個人技では守備をはがせるようになっているので、はがしを連動させる工夫でしょうか。

最後に。
その一瞬一瞬で個々のプレイヤーがやるべきことを判断しておこなうという象徴的なシーンが、終盤にあった。

山雅がコーナーキックを獲た場面だったか、ボランチの山本 真希が、センターラインあたりから急にコーナーに向かって走り出す。
すると、カウンター攻撃に備えてピッチ中央にいたジュビロの選手が山本に引っ張られるように追走してくる。コーナーから山本にパスが出る雰囲気を感じたのだろう。
これ、頭脳的なプレイであって、山本の動作によって、ジュビロにボールがこぼれた時のカウンター攻撃の芽をあらかじめ摘んだのだ。

目立たなく何気ないプレイ、こういう仕込みがひとつでも多くできるスマートなチームになろう。


おっと、進路を南東寄りに変えてくれた台風にも感謝しなくては。

では。