正直者 と戦う覚悟 (山口戦プレビュウ)

〈追想に浸れば……〉
2018シーズン第6節、アウェイのレノファ山口戦を、読者はご記憶か?

2 – 0でリードしていた後半アディショナルタイムに、立て続けに2失点したゲーム。
いやでも今後長く語られるだろうけれど、山口の同点弾を叩き込んだのは、前 貴之だった。

その前は、今や山雅の主力メンバー。

他方、前節の対福岡戦、2年前に歯ぎしりさせてくれたイレヴンは、山口にはもはやひとりもいなかった。
監督が霜田氏であることを除いて。

更に、山口のワントップは、4年前に松本市内の牛丼屋で挨拶した小松 蓮(山雅からのレンタル)が務める。

……、サッカーを通じて噛みしめる、たった数年で起こった時代の変転だ。

〈あっけらかんのレノファ〉
小野瀬(➩ガンバ)、オナイウ(➩現マリノス)、佐々木 匠(➩仙台) といった強烈な攻撃的カードが去り、そこからチームを攻撃的に作り直すなんてのは大変な業。

2018年=8位、2019年=15位、2020年ここまで=22位、という下降曲線がそれを物語る。
それでも、安在 和樹、村田 和哉は目を引くし、レンタルをやりくりしながら戦っている様子。

福岡戦(と山形戦)を観る限りでは……、

走力と縦への速さをベースに、迅速にパスを繋ぐ。
長短のボールを織り交ぜ、最終的にはサイドを経由して、(多くはクロスの格好で)中へボールを入れて勝負、というサッカー。

こういうのを、〈外連味(けれんみ)のない〉というのだろう、ハッタリや誤魔化しもなく、正直に立ち向かってくるのだ。

〈要は、胸の合わせ方〉
直近2試合、山口は3バックを採用していると実況が語る。失点の多さを是正するため、としていて、守備陣形を5バックにして、相手ツートップに数的優位を演出したいんだろうか?

今節も3バックで来るのならば、抑えるべきは、攻守に忙しく、かつ、サイド攻撃の起点となる山口の左右サイドバック。
前節は、左=田中パウロ、右=田中 陸だったが、ここに安在が入る可能性が大きい。

❶前節、強烈なサイド攻撃、というテーマにそれなりの活路を見い出せた山雅にとっては、引き続きここの強化を証明する絶好の機会だ。

サイドの駆け引きを、老獪さでねじ伏せられる隼磨の離脱はこういう時、本当に痛いのだが、今ピッチに立てるメンツが〈若年寄〉の工夫でやり切るってもんでしょう。

❷ワンタッチ、ダイレクトで中盤を制したい山口に対し、その連動を絶つ。
それを、2列目のファーストディフェンスとボランチによる狩りによって。
ここが焦点。
守備力の観点からすれば、セルジ―ニョ、杉本、アウグストの同時運用が好ましい。

要は、すばしこい脱兎を、どこで捕まえるのか?
サイドに押し込んでなのか?

これは恐らく、布式ゲーム総体における力点の置き処から算出されると思うが、山口というチームには、〈ためる、我慢する〉という発想が希薄。
とにかく当初からフルギャロップであるし、今節はホームという環境であるからその傾向はより顕著のはず。
ゆえに、受けて立つなんていう手間はかけず、当方も冒頭から強烈に行くべきでありましょう。

ペナルティエリアが視界に入った時点でシュート、そこから逆算したピッチとパスの使い方で良い、と思いますがね。

偽悪者とまではいかなくとも、ココロに余裕と醒めた計算を秘め、正直なサッカーと対戦しましょう。

で、みづからも秋の空気の中、こころを冷ましながらゲームを待とう。

しかし、ジャズの名盤は、秀逸なジャケットデザインがセットなのが多い。

では。