雲は天才であるか?

石川 啄木による、小説『雲は天才である』は、彼の生前には発表されず、

死後刊行の、啄木全集に収録された(1919年)。

こういうタイトルを案出できるのが、まったく、啄木の才能に思う。

歌集『悲しき玩具』は、これも死後、1912年6月20日に世に出た。

生前から、この第二歌集の発刊は予定されていて、

啄木が、出版社から、前借りの原稿料を受け取ったのが、その年の 4月9日。

その四日後に、啄木は、27歳の病床で亡くなった。

かなしきがんぐ、と読むのがならわしのようだが、

啄木自身は、おもちゃ、と言っていたらしい。

その中から、ふたつほど。

遊びに出て子供かへらず、
取り出して
走らせて見る玩具(おもちゃ)の機関車

人がみな
同じ方角に向いて行く。
それを横より見てゐる心。

……見事な仕事です。

では。

前略 樋口 大輝 様 (八戸戦レビュウ❷おしまい)

#7 馬渡さんが怪我で離脱したので、左サイドバックは、先発があなた。

で、右の小川さんに交代カード(龍平さん) が切られると、今度は、君が右に入る、というのが直近の選抜。

しかも、大内さんからのロングフィードが、あなたをターゲットにする手法が、八戸戦では、あらわになった。

加え、セットプレイで、ペナルティエリア付近にボールが入る場合、菊ちゃんは、けっこう君を狙う。

そこらは、高橋さんらとの作戦会議によるものなのか、

とにかくも、セットプレイは、我が山雅の貴重な得点源でもありますし、

ホーム鹿児島戦で、

想来君ゴールのアシストとなった、ヘッドでの折り返し。

ああいうのも含め、今後、益々の奮闘をお願い申し上げます。 草々。

……かように、大輝の頭による落としであっても、

または、林、想来による落としであっても、

たとえば、林は、かなりボールを収めては、転送してくれているのですが、

いかんせん、布陣として孤立気味であることが惜しまれる。

八戸戦では、ついに、ワントップの先発を替えてきた首脳陣ではありましたが、

田中と林のどっちを先発にしようとも、ワントップ配置は、

僕には、小手先による戦力の逐次投入に思えてなりません。

パスで丁寧に前進するため、そこの部分に手数がかかってしまうせいなのか、

肝心要の、最後のシュートシーン。

その時、ペナルティエリア内で、クロスや、そこからのこぼれ球に反応する枚数が、決定的に少ないのでは?

ヴァンラーレは、4人はドッと侵入してきたように記憶します。

もちろん、山雅が人数をかけることもあるんですが、

やはり、クロスに合わせる人数に乏しい、といった残念なシーンは多い。

あれ?、そこに、誰もいないじゃん、という嘆き節。

撃つシュートの(枠内への)正確性、これなどはもう、個々に鍛錬してもらうほかはない話。

でなくて、その手前の、ボールをペナルティエリアへ持ち込む時の、人数的な迫力、そこを増すのがいちばんかと。

と、こう書いて来ると、

僕は、お決まりでツートップ、を持ち出したいわけ。

とにかく、戦況を、大胆な切り込みで突破しましょうよ。

ゲーム最終盤の、切羽詰まった常套手法でやるのだったら、

いま、センターバックの安定と、サイドバックの活発という好材料があるのだから、

ゲーム冒頭から、思い切って

4 – 3 – 1 – 2 でいかがでしょうか?

ふたりのフォワードの後方の 1には、

フォワード登録であるけれど良い位置取りで、シャドウ的にボールを動かせる村越 凱光を配し、

その下の3 は、菊井を三角形の頂点として、川上、山本が、左右の底辺に開く格好で、中盤を形成。

スリーボランチ、菊井はフィニッシャーというより、アシストで魅せる才能でありましょう。

最基底からの組立ては、適時、ボランチのひとりがひとつ降りて、ボールの中継役を果たす。

いくら無失点に抑えてみても、相手より得点できなきゃあ、テイク=オフ(離陸)はできず、

よくてドローに持ち込むうちに、リーグ戦という滑走路も尽きてしまう。

では。

ヴァンラーレは教えてくれる (八戸戦レビュウ❶)

某メディアのゲーム評に、〈互角〉とあったのには、かなり驚く。

売文(金を取っている)業なら、もっと精確に伝えておくれな。

ドロー、という結果のみからなのか、はたまた、

首位チーム(=強力との刷り込み)とまみえ、一方的にやられもしなかった心象からなのか、ヒドイもんです。

互角だったのは、せいぜいが、

前半の 20~35分あたりの時間帯であって、あとは、こっちのゲーム。

そこを見落とすと、このゲームと、(まだ不足はあるものの)山雅サッカーの深化を評価できません。

まぁ、一方的にヤラレタ(削られた)のは、被ファールの部分。

これは、執拗に喰いつくのを良しとする八戸サッカーの真骨頂その❶、でありましょうが、

僕が予想した、前後半ともに開始15分は圧倒、の課題はクリアした。

前半の入りは、ほぼパーフェクト。
相手の蹴り込みサッカーの上前を撥ねるような、ボールの蹴り上げを織り込みながらのスタート。

こういうのは、明らかにスカウティングと研究の痕跡。

そして、後半になったら、ほとんどゲームの流れを握っていた。

実は、そのわけは。八戸サッカーの真骨頂その❷

ボールを入手したら迅速に前へ、相手に渡れば即戻れ、の徹底のおかげ。

前後に、人と(ロングな) ボールが、敏捷に動く。

つまり、攻撃に迫力を加えるために、前線に4~5人で押し込む

他方で、相手の攻撃を阻止せんと 4枚が守備を固めるため、

陣形が、4 – 1 – 5のような様相を呈す。

砂時計の、真ん中がギュッと絞られた、あの容器のように。

で、相手ボールホルダーを猛追するので、その陣容は、けっこうバラバラになる。

中盤のひとりの役目は、当夜は、#7が 負っていた。

彼の周囲には、広いスペースが空くので、

ここを、こっちの山本、川上が、いいように使えたから、

チーム全体として、ボールを余裕を持って、機能的に回せたし、

ピッチ幅を広く活かそうという、横方向のパスも有効だった。

(プラス、終盤。八戸は、さすがに疲れたか運動量が落ちた)

ジョニ ミッチェルの〈Both Sides Now〉(青春の光と影 1967年発表、山雅と同じくらい古い!!) じゃあないが、ものごとには両側面があって、

八戸が八戸であることの、正と負(真骨頂の❶と❷)、

それにうまくつけ込めたことになる。

山雅ベンチが、どれほど意識していたかは、知りませんが。

ゲームの握り方におけるこの教訓は、高知、FC大阪、相模原、北Qあたりには活かせそう。

ただし、僕は、

八戸の、攻撃時にガッと枚数をかける考え方と手法こそが、

山雅の今後にとって、貴重な教え、と思う。

そのことについては、レビュウ❷で。

では。

ゲームを創り,ゲームを壊す (八戸戦レビュウ 速報値)

スタジアムの掲揚フラッグは、南に向かってゆるやかにはためき、

比較的過ごしやすい夜のゲームは、

0 – 0 のドロー

まづは。

いま、最大の試金石だろう、と望んだ、昨夜のゲーム自体の出来と、

ゲーム結果(勝敗)を踏まえた、残りのリーグ戦における我がチームの位相。

このふたつは、頭の中で、仕分けしておきましょう。

後者。

リーグ前半の終了時で、

もはや、具体的ゴールは、プレイオフ圏内(6位以内)への〈すべり込み〉で決まりですから、

残りゲームが減るほど、ますます、勝ち切れるほどのサッカーに高める仕事と、リーグ終了との(☜追加) 時間との争い、と情況は厳しくはなったが、

7~14位が団子状でもあるから、望みを捨てずに、これからもおつきあい、ってことで。

で、前者。

期待されたゲームは、

僕の予想を超える、グッドなゲームプランが展開し、

特に後半は、こっちのワンサイドゲーム。

八戸の放ったシュート、 1本はあったかい?、くらいの印象。

山雅が、あれほどボールを握れたのは、

ヴァンラーレ運動量が落ちたのと、彼らが、最終ラインできっちり守備を固めるやり方に変換したのと、その両方によるだろう。

これを裏返して言えば、

平均年齢で下回った山雅の、ボール支配のハツラツさが上回っていたのと、

当方の攻撃の、詰めの局面における人数のかけ方には、いまだ課題を残したまま、ということ。

敢闘賞の宮部 大己は、おおかたの異論なきところ。

彼を含め、今節も、ディフェンダーには、かなり安定感が在った。

他方。

攻撃的な局面では、

#10 菊井 悠介は、

後半アディショナルタイムで、前田 陸王がその頭に合わせ、あわや1点のシーンのように、

最終飛び道具で魅せるものがありはしたけれど、

昨夜は、ボールがしっくりと足につかず、攻撃を仕上げる部分での粗雑さが、ずいぶんと目立つ出来だった。

攻撃を創りもするが、他方、攻撃の流れをつぶしてしまうような役回り……。

極論ですが、チーム内の納得感を醸成するためにも、

そこは、菊井を引っ込めるくらいの裁断を示すべきでは?、早川さん。

ゲームプランをやり遂げるには、

林 誠道は残して、前線は 2枚とし、

ワンボランチ(川上)にしておいて、

佐相 壱明を投入し、前田とふたりで、八戸守備網をかき回す、でよかったように思う。

結果論ですかね、これって。

では。

ゲームの流れを引きずり込め (八戸戦プレビュウ❷)

要は。

ここ数試合やってきた諸チームとは、

毛色の違うサッカーをやるのだ、八戸さんは。

むこうにボールを持たせようにも、すかさず、ロングボールを蹴られる。

仮に、ボールがこちらの手に落ちても、猛然とボールホルダーに寄せて来ることに注力するだろう。

攻撃中は、もちろんボールを持っているのだが、

相手ゴールに迫るための、ボール入手と保持のしかたが、いくぶんか、或いは、ずいぶんと手数をかけずに早く、ということ。

ならば。

従来の傾向値と、直近観られるやり方からすると、山雅のやるべきことは……、

❶ゲーム大局の進行では、前後半開始のそれぞれ 15分間を、フルスロットルで相手陣内へと、人とボールを進める。

そうやりたいのが、我らが山雅のはず。

結果として、先行逃げ切りか、たとえ同点にされても加点して逃げ切る、これで上等。

1~15分、45~60分、ここらで、どれだけゲームをこっちに傾けられるか?

その報いとしてのガス欠は、交代とシステムをいじってリフレッシュする。

アウェイ戦(6/10)では、

本来、こっちが得点したい前半の前半あたりまでに セットプレイがらみで、2失点。

こうなると、時間を、相手の思うように使われて、後半はシュート無く、万事窮すだった(と記憶)。

優位に押し込み続けたその結果、ボール保持が高まる、それこそが、理想。

❷ロングボールを多用されることの厄介は、

それに対応しようと、こっちの最終ラインは下がってしまい、

前線からプレスをかけようとしているフォワード、2列目との距離が空くことで、中盤にできるスペースを、ボランチで埋めきれなくなること。

これには、最前線(トップとシャドウ) には、相手のボールキックをできる限り窮屈にすることと、

ボランチには、競合のセカンドボールを、ひたすら回収してもらい、

サイドバックは対峙する相手を、とにかく追い返し、抑え込め。

連携性において、我慢に我慢。

センターバック後方に発生するスペースを、ある程度割り切って前傾しないと、コンパクトな陣形を保持できなくなる。

そうなると、

互いの距離が遠くなるので、パスがどうしても、逃げの性格ばかりになって、攻撃的なやつが、活き良く、縦に通らない。

(酷いファールで削られることは、避けたいけれども)

ゆえに。

先発を誰が獲るか? にもよるけれども、

山雅の守功のキーパーソンは、#25 川上 航立ではあるまいか。

彼が、おおくの局面で目立ち、そのボールタッチが増加することが、山雅が優位に立つ指標、と診ますね。

もちろん!!

八戸のお株を奪うような、相手ディフェンダーのミスを誘うロングフィードとか、

カウンター攻撃も発動できたなら、それに越したことは、ありません。

では。