あぁ、平穏……。

― 爭いを好む女と一緒に家におるよりは、屋根のすみにおるほうがよい 
(旧約聖書 箴言21章8節)

イスラエル王ソロモンが、そんな婦女子に囲まれていたのか、

または、他人の家庭をみて、そう思ったのかは知らないけれど、

『風前の灯』(1957年、松竹)を観ていて、この言葉が思い出された。

映画は、洒落た脚本と演出(木下恵介)、それと、達者な役者によるコメディで、

この作品に先立つこと、ちょうど2か月前に公開された、

『喜びも悲しみも幾年月』(同監督)と同じく、佐田 啓二と高峰 秀子が、夫婦を演じている。

が、ふたつの作品における夫婦像の〈落差〉とその演技に、終始、抱腹絶倒だ。

……風前の灯については、機会あれば、また書くことにして、

〈These Foolish Things〉(たわいないことに(あなたを想う)) は、ジャズのスタンダードソング。1936年発表。

……口紅のついた煙草、
素敵な場所への航空券、
隣のアパートから聞こえるピアノ、
水仙の花と 空を横切る電線、
小さなテーブルにある蝋燭の灯火、
通過する真夜中の電車、
放り投げたストッキングの下のパーティー券、
グレタ ガルボの微笑みとバラの香り、

そんな他愛ないことのすべてが、あなたを想い出させる。
それは、僕には喜びであり、また、痛みでもあって……。

ひとをおもうこころに、平穏のみを願うのは、虫のいい話なのかも知れない。

では。

もっと先のサッカー (U23アジアカップ)

― へぇ~、DAZNで観られるんだ、と知ったので、

日本 vs ピープル’ズ リパブリック オブ チャイナ(PRC) の決勝戦を、フルゲームで観戦した。

PRCの若い世代のサッカーがどんなんか?、にも興味があった。

最大の印象は、

指導者の教えに忠実で、5 – 3 – 2 の陣形で、キチンとやってること。

ゲーム終盤をのぞけば、酷いファールも少なくて、

時折、おぉっ、と魅せる技量を有す。

ただし。

日本との力量差からすれば

❶カウンターによる速攻。

あるいは、❷ロングボールを、相手最終ライン裏狙いで入れて、そこでフォワードがDFを剥がしてシュートまで持っていく。
と、❸セットプレイ。

この3つが、彼らにとっての現実的な活路。

他方。

日本は、U21世代で参戦し、Jのトップリーグ(多くが)所属か、あるいは、大学生のトップクラスの集合体。

だから、ゲーム様相は、

トップリーグの若手混成と、3部リーグ相当のひとつのチーム(PRCが)がやっている様相となって、

サラリと言えば、勝ってアタリマエ。

なんだけれども、手を緩めることなく勤勉さに終始して、

4 – 0 は、立派だろう。しかも、まだ2~3点を上乗せする可能性を持つ。

美点をふたつだけあげれば。

まづは、センターバック。
4バックでは、実質ふたりで基底ラインを構成するが、その安定感、対人守備は特筆もの。

つぎに、#8 大関(川崎フロンターレ)の、攻守にわたる献身性。
攻撃の起点となるパスも魅せるが、守備に戻る速さとエリアの広さは素晴らしく、実質的な #10だ。(現#10の佐藤を貶めているわけでは、決してない)

観ていて、

彼等すべてにとって、ここでのアジアトップはほんの通過点であって、

これから、10年後にかけ、日の丸を背負うんだ、と先を見ているムードがある。

だから、真のライバルは、相手国ではなくて、チームメイトに違いない。

聞けば。

東アジア諸国で、ひとつのサッカー連盟を作りたいようだ。

が、中東(西アジア) をのぞくセコイ考えや、アジアでてっぺんを喜ぶ狭量は棄てて、

南鮮や、PRCに声をかけてもいいから、

中南米連盟に加入したほうが、将来的にずっと有益、といつも思う。

では。

覚え書のおわり。

J.S.バッハの、ゴールドベルク変奏曲(1741年刊行、BWV988)は、

チェンバロ演奏のために書かれた。

没する9年前の、バッハ 56歳の年。

某伯爵の不眠症を癒すために創られた、というエピソードを、そのまま信じていいのかどうかは疑問。

まぁ。すくなくとも。

聴き手が貴族階級に限定されていたことは、階級社会の世にあっては当然で、

バッハのアタマには、民衆に聴かせる発想などなかっただろう。

現代に生きる、一市民のありがたさよ。

曲は、同一のアリアで始まって、終わりが締めくくられ、

その間に、30の変奏が配される。(前後半15づつ、の趣き)

グレン グールドのピアノだと、

変奏曲 30が、清新で、高貴で、情感が豊かに演奏されていて、素晴らしい。

……と、これは、前置きで。

 

ゴールドベルクの変奏曲数が30なので、

令和キネマ座の集中鑑賞は、真似て、30作品で終わることにする。

29) プロデューサーズ 1968年 米

30) シティーヒート 1984年 米

……30本観終わって、ざっと心に残る俳優は、

丹波 哲郎、ジーン ワイルダー、マックス フォン シドー あたり。

この3人については、今回の作品というより、他作品における演技が、もともと筆者の心象にあって、それらを含めて、彼等の演技力の幅と深さに魅入ってしまったがゆえ

(丹波☞ジャコ萬と鐵、ワイルダー☞ヤングフランケンシュタイン、シドー☞エクソシスト、といった具合)

では。

63年が過ぎて、なお。

ドーナツをお土産に、拙宅に立ち寄ってくれた小学3年生が、

玄関に入るなり。

Puff the Magic Dragon~と、

マジック ドラゴン以下の歌詞はうろ覚えでも、口ずさんでいるから、

訊ねると、

いま、小学校で歌っている、という。

昨今は、音楽の教本に載っているらしい。

1963年2月。

コーラスグループ、ピーター,ポール&マリイの歌として、シングルカットで発売された。

グループの一員、ピーター ヤローが友人が書いた詩に曲をつけたもので、かなりのヒットになった、と聞く。

それから、63年経っても、この日本で、幼く若い世代が気に入って歌う。

歌の持つ、時と場所を超え得る、偉大な力を感じますね。

 

とんでもないことに、

エセ平和主義者が、反戦歌ととらえたいようだが、

当時、ベトナムにのめり込みつつあった米国内ならばともかく、日本人が厚かましく、曲の能書きなど云々しないことだ。

ただ、パフという名の不思議な竜と、少年ジャッキー ペーパーの出逢いと別れを歌った曲です。

作曲者のピーターヤロー氏(リードボーカル) は、昨年 1月7日に他界した。

享年 86。

では。

館主の覚書ひとつ (2025.12月~2026.1月)

元来の、熱しやすく冷めやすい性質のためか、

この年末年始は、初見と再見が入り混じり、ムーヴィーを観散らかしている。

筆者は、令和キネマ座の館主でもあるから、

覚えとして、現時点(1/21)で、それら作品を箇条書きしておこう(観た順序ではない)。

(なお、★を付した映画は、最近のブログで採り上げた、ナンバリングは使える記号の範囲内)

スローターハウス5 ★ 1972年 米

キャッチ22 1970年 米

網走番外地 1965年 日

チャンス 1979年 米

ガントレット ★ 1977年 米

トゥルー クライム 1999年 米

月光仮面 魔人の爪 1958年 日

吶喊 1975年 日

三匹の侍 1964年 日

渚にて 1959年 米

ハートロッカー 2008年 米

自由を我等に 1931年 仏 (日本公開 は 1932年)

マルタの鷹 1941年 米

アリスの恋 ★ 1974年 米

コンドル 1975年 米

ピアニストを撃て 1960年 仏

バルカン超特急 1938年 英米

刑事ニコ 法の死角 1988年 米

ブレージングサドル 1974年 米

ラ ジュテ 1962年 仏

21)アノマリサ 2015年 米

22) スキャナーダークリー 2006年 米

23) 桜桃の味 1997年 イラン

24) ロンゲスト・ヤード 2005年 米

25) アンファヴィル 1965年 仏

26) 夕陽のギャングたち 1971年 伊西米

27) ブルジョワジーの秘かな愉しみ 1972年 仏

28) マーティー 1955年 米

機会があれば言及したい映画ばかりだけれど、

気分的には、No.27の、醒めたリアリズムが、今は、しっくりとくる館主です。

では。