あれが〈善戦〉は,あり得ない(大宮戦レビュウ❸)

某地方紙のブンヤさんが、

山雅は〈善戦〉した云々、の見出しで投稿した。

誰かが、そう表現するだろう、とは思ってましたが、

語彙の貧相とステレオタイプの思考が結びつくと、こういう言葉を選ばせる。

たしかに、そこそこチャンスもあったし、緊張感のあるゲームであった。

(これには、大宮が猛烈に前から圧迫してくることがなかった事情がある。
思うに、システムにおける役割分担をハッキリさせるため、互いの距離を保つことを優先していたから。
肝心なシーンでは、#30(ボランチ)が出現し、ボールを確実に回収してました)

では。

シュートは十数本放った(枠内は2~3本)が、それらが、どれほどキチンと撃てていたのか?、あるいは、撃たせてもらえてたのか?

残念ながら、まともに悔しがれるやつは、記憶にはない。

ここだけみたって、〈よくやった〉はあり得ない。

攻撃的サッカーを目指すチームなんだから、なおさらのこと。

まぁ、意識の底に、両者には技量差が歴然とある、と山雅を見くびっているからの〈善戦〉発言なんでしょうが、

当夜の南ゴール裏の反応も、ほぼそれに似ていたけれど、

すくなくとも、

昇格病に罹っているファン&サポーターが、このゲームを〈善し〉としたら、矛盾もはなはだしい。

こういうゲームこそ、ブーたれよ、南ゴール裏は。

もしこれを善戦とみなすならば、昇格、昇格と騒いではいけない。

現実主義者を装って、

富山戦を〈惨敗〉、岐阜戦を〈辛勝〉(そして今節が善戦)と定義したところで、

山雅のやっていることをよく観ていれば、

それほど評価が乱上下する内容ではない。

だから、結局は、勝ち負けだけを論じているだけのことだろうね。

で。

昨日、監督のゲーム後インタビュウをよく読んでみたら、

実にマットウな自己評価が、そこには在って、

― 自分たちができることは全部やったけれど、(勝利に)届かなかった。

なんだ、〈完敗〉を正直に吐露しているではありませんか。

では。

霜田氏の本気 (大宮戦レビュウ❷)

勝利、という結果は得られなかったものの、

今節では、萬年的に、チームに〈巧くダマされた〉感が濃厚。

もちろん、褒めているのです!! よ。

おそらくは、メディアなどを介し、対大宮用の煙幕を張ったんでしょうが、

監督以下、首脳陣の狡智は、周到、かつ、きめ細かかった。

具体的には。

僕が、プレビュウで書いた希望的な布陣を、見事にくつがえしたことを指していて、

それは、負傷離脱といった単純な事案とは別物の、

数週間かけて準備した戦術の立案だったはず。

たとえば、

山本 康裕の先発起用、馬渡 和彰の不登録、4 – 4 – 2 の採用など……。

また、たとえば、高井 和馬の全体練習へ参加した、というリリース。

これなど、ファン&サポーターへのサーヴィス以上の意図を含む。

つまりは、ここかしこで、情報戦を仕込んでいるんです。

もちろん、ファン&サポーターが、それをいちいち察知する必要もありはしませんし、わかる人に、わかればよいので、これらは、サラリと見過ごされるに違いない。

でも、ここからの11ゲームでは、情報をも武器として活かしたいことも確か。

やるだけやって準備して、

ゲーム開始のホイッスルが鳴ったら、

今度は、ピッチに立ったプレイヤーが、ゲームの中で臨機、多くの責任を負う、ということ。

もちろん、ベンチは、都度都度、アラートと修正要求を発信するでしょうが、

そのことを含め、細かなことは少々、レビュウ❸にて。

では。

腑に落ちる敗戦 (2024.9.7大宮戦レビュウ❶)

後半に先制され、そのままタイムアウト。

0 – 1 の敗戦。

― 前半良かったので、残念です、とは、お隣で観戦してたご婦人。

― 勝ちを確かにモノにできるチームと、勝ち切れないチームの好対照ですかね。後半早々のリズムを活かせれば……。

……が、チノ氏(北ゴール裏の同志)の感想。

こっちが劣勢とはいえ、攻めたり守ったりで、どっちにも勝機があるゲームにおいて、

クロス投入の、数少ないチャンスを決め切る仕事ができること。
(ボールホルダーが、ヒールでその内側に入ってきたプレイヤーに繋いで、それをクロスとは、お見事で、してやられました)

実は。

これができる集団と、そうでない集団の差は、

かなり、否、とてつもなく大きい。

手が届きそうでいて、けれど、終わってみれば……だ。

そういう意味(その❶)で、納得できる敗戦ではなかったか。

山雅の場合は、負けずにやる姿勢、ではなく、勝ちに行く一択でやってるから、

複数失点のシーンに目がいってしまうぶん、

最少失点だと、変に過大評価してしまうのも、これまた厄介なんですけどね。

納得できること、その❷は、

それなりに研究と錬成の跡が感ぜられ、誰ひとり手も抜いておらず(アタリマエ)、

技量と連係が、いまだ十分とはいえないが、

闘うにおいて、いろいろ工夫、つくり込んでやっているな、と言えること。

サッカースタイルの選択は、チームが決めることなので、

筆者は、それを支持し、その深化を望みますけれど

現有の技量で、今のサッカーを貫けば、

攻撃と被攻撃がシーソーのように立ち現れ(つまり、攻撃もするが攻撃に曝される機会も同様に多い)、

すると、最終結果(勝敗)も交互に現れやすく、

勝ち負けがトントンでいくだろう、という想定内の足どり。(納得その❸)

残り 11試合で、〈勝ち〉の側に、どれだけ多く積めるのかのせめぎあいは、最終節まで続きそう。

いつも指摘するとおり、

〈上手く〉〈巧く〉を最大値で織り交ぜるしかないですよ、あらゆる手を弄してでも。

では。

勝機は,先手の仕掛けに在り (大宮戦プレビュウおしまい)

大宮関係者(含ファンサポーター)が、前の対戦での敗北を〈屈辱〉と考えるならば、その分、

山雅としては、組しやすいのではありませんかね。

もともと自分らが勝って当然だ、と思う相手に対し、

心理的に〈仕掛けるは我に在り〉となり、守りに入らず遠慮せずやれますから。

さて。

大宮が、(大相撲でいう)立ち合いの変化をつけることはあるまい、と思ってはいます。

が、調べてみると、3バックで 15ゲーム、4バックでは 10ゲームをこなしているのです、今季。

つまり、使いわけているわけだ。

これについては、

山雅が4バックですから、高い確率で、3バックで来る、と診ておきましょう。

大ざっぱな話(僕の理解だと)、

3バックとは、センターバックが、〈トリオ〉で守備を奏でるようになり、 守備ラインは、彼等の専門分野、といった風情になる。

ラインの上げ下げに、明確なリーダーシップが存在し、

さらに、(4バック採用に多い)相手のツートップに対しては数的に優位を保てる。

で、両端のサイドバックは、上下運動を繰り返すエキスパートである等々、

チーム内役割分担がかなりハッキリしている

これに対し、4バック。

特に4 – 4 -2は、ピッチ(面積) をほぼ均等に割ってメンツが配置される。

山雅は、4 – 3 -3 と言ってますが、やりくりの中、ダブルボランチを採ると、
4 – 2 – 2 – 2 みたいな感じでやることが多い。

で、この態勢下では、中盤より前のプレイヤーには、

固定的でなく、かなりいろんな仕事が望まれる。

流動的に動く、とか聞くことがあるが、そのこと。

現況、菊井 悠介が、多くラストパスを担う(チャンスメイカー)チームだから、

彼をできる限り前線近くで活かすためには、他のプレイヤーが、かなり広範囲をカヴァーして攻守で動かなくてはならない。

たとえば、ウイングが左右入れ替わることはけっこうあるが、

これに加え、安藤 翼が縦方向に上下してボランチのようにふるまう(これもよく観る光景)。

さらには、萬年推奨の(前回)布陣では、サイドバックがボールを持って中央へ入っていくことで、相手の守備者を引きつけておいてから、

タッチライン沿いに走るアウトサイドハーフへボールを転送、敵陣深く侵入するとか、やってもらいたい。

つまり。

こっちから先手で仕掛ける姿勢は、

4バックシステムの、各個にオールマイティな仕事を求める性質と、ピタリと合致するわけですから、

この点で、チーム意思と方法論が統一されればが、それ自体が強力な武器になる。

チャレンジした鋭いパスは、たとえカットされても、その跳ね返りが、不思議とこっちに転がる、そんなもんです。

攻守で次々とプレイヤーが湧いてくる光景を!!

できれば、我らが応援も一体化できれば、なお嬉しい。

では、アルウィンで。

予想という名の希望です (大宮戦プレビュウ❷)

予想、に名を借りて、実は、

下のようなメンツ配置を、チーム事情もおかまいなしで、期待してしまうわけです。

前回の投稿で指摘したように、

サイドで優位を獲るための人選(配置)をした上で、

サイドバックと、アウトサイドハーフ(2列目)、さらには、ウイング(前線の両サイド)の連携をはかる。

サイドを突破しつつ、クロスを入れるなり、そこから中央へ入っていって、より正面から撃つ、ってのは岐阜戦でやって魅せていることだから、

それを再現するのみ。

上の図では、交代を 6人も使うようになっているが、ただし、実際は、5人まで。

#7、#25、#44あたりは、フルタイムがキツイだろうから、

90分間、動きを落とさずにやり切るためには、けっこうカードの切り方がむづかしく、さて、どうするか?

指揮陣の腕の見せどころだ。

さて。

データを引っ張り出せば、

枠内シュート数は、山雅がリーグ2位、大宮 は1位。

山雅は、シュート数リーグ 1位、コーナーキック 1位、

あとは、クロス数がリーグで 3位。

大宮は、ゴール数 1位、クロス数で 2位。

(シュート総数は、採り方でサイトによって若干の誤差あるものの)

いずれにしたって、双方ともに、攻撃的スタッツが頭抜けているのだし、

大宮はペナルティエリア進入回数が、ゲーム当りリーグトップ

ならば、山雅としては、

相手の攻撃を、最終の守備局面に至る前で抑止しないとやられてしまう。

だから、陣形全体をコンパクトに押し上げつつ(ラインをムダに下げず、中盤を空けず)、

特に中盤で、ボール獲得に汗をかく、ということでしょうね。

 

大宮アルディージャは、リーグにあって優位を誇るその戦力を武器に、けれど、実直に、要は、相手に合わせて特段の策を弄することなくやっている(と診る)。

岐阜戦の(前半の)キックオフ。

村越 凱光が、思いっきりハイボールを蹴り上げて始めた山雅。

ああいった、ひとを喰ったような、決意表明のような方法を多々繰り出し闘うことに、僕は、強く同意します。

では。