フィジカルの強さ について。

秋田戦を観ていて、思い当たったことがありまして。

それは、フィジカルの強さ、ということ。

球際やボールホルダーへの寄せで、対戦相手に自由に仕事をさせないためには、対峙する彼を上回る強度で挑んでいかなくてはならない。

心理的にゲームで優位を得るには、先手でガツーン、とお見舞いするこも必要だろうし。

フィジカルという言葉を、いままで以上のような視点からばかり使い過ぎた、という反省が湧いて来た。

相手との削りあいに競り負けない、という観点を過度に取り込み過ぎたかな。

それは、フィジカルが強い、ほんのひとつの例に過ぎないってことを、秋田戦で教えてもらった。

たとえば、41分に秋田オウンゴールを誘った、#8河合 秀人のグラウンダーのクロスの打ち込み。

CKからの跳ね返りを、いったんトラップした後、すぐにボールをゴールライン方向に蹴り出して、すかさずそのスペースへと突進していった。

この時、近くには、秋田ディフェンダーがふたりいたんだが、河合の意図が読み切れなかったか、瞬時の動きについて行かれなかったのか、とにかく、自在な侵入とクロス投入を許してしまう。

河合の、相手が寄せ切れないほどの、この素早い身のこなし、切り返し。

これだって、フィジカルの強さ、と形容すべきシーンであったと思うんだが、いかがなのものだろうか、読者よ。

つまり、相手をすり抜けてしまい、その追走をゆるさない突破力。

非接触でプレイするために発揮される強度あるフィジカル、これだって大切。

例えば、米原 秀亮。
彼は、体幹もしだいにしっかりしてきたんだから、そこにさらに、相手に競り合いをゆるさないような俊敏さ(=身のこなし)、それを開発してもらいたいと願う。

では。

6年を 待つ? (ユースの躍進)

4/4、秋田戦開始前のピッチ上では、山雅U-18 諸君の壮行会がおこなわれた。

今季、U-18ファーストは北信越プリンスリーグを、U-18セカンドは長野県リーグ2部Bを、それぞれ戦う。

高円宮杯北信越プリンスリーグは、Jクラブのユースチームよりもむしろ、長岡帝京、北越、新潟明訓といった強豪校が上位にいるから、高校サッカー選手権大会で揉まれているような様相。

昨季は参入1年目で、第5位。(変則的な順位決定ではあった)
2年目のシーズンは、さらに上位を目指そう。

セカンドは、県リーグ2部B
昨季は優勝。
6戦して、5勝1敗。総得点32、総失点5。(規定により昇格はなし)
今季も優勝は、マスト。
ちなみに、このリーグには、松本県ヶ丘校も参戦だ。

かつてあれほどの隆盛を極め(9年連続長野県代表だった?)、山雅クラブの母体にもなった強豪校も、いまは、2部。
まっこと隔世の感、でありますな。

ところで、山雅のユースでは、U-12(小学生年代)の、北信越にあって無双の活躍がめだつ。
去る3月に、新人(U-11)として戦ったふたつの大会で、優勝している。

❶アイリスオーヤマ プレミアリーグU-11 チャンピョンシップ2021北信越では、
6戦全勝して、総得点33、総失点3。

❷JA全農杯全国小学生選抜サッカー IN 北信越では、
4戦全勝して、総得点27、総失点5。

圧勝です。

さらに❷は、この先に全国大会が予定されているから、おおいに楽しみ。

このチームがそのまま成長したら、6年後にはかなり面白い時代が到来するだろう。

とは言え、その上の中学生年代も確実に強化されているので、実は、もっと早くに僕たちは、山雅ユースの躍進ニュースを多く聞くに違いない。

では。

桜ばかりに眼を奪われて。

桜の開花ニュースばかりが伝わってくるけれど、もっと大切な兆しを見落としてはならない。

記録を調べたら、我が庭の辛夷(こぶし)は、昨年よりも20日ほど早く花をつけている。

要は、ことしの春は、ほとんどの樹木で、開花がいままでよりも半月くらいは前倒しになった、とみてよい。

半月分の、このフライング。

大自然は、寒さへの回帰によってどこかで帳尻を合わせていくのだろうか、はたまた、炎暑の夏をもっと苛酷にしてくれるのかい?

COVID-19 にとっては、どうなるのがいちばん嫌なんでしょうかねぇ。
ひとつ聴いてみたいものです。

https://youtu.be/yx0ixwh3SRE

では。

強風下のミステリー (2021.4.4秋田戦レビュウ)

3 – 1 の、今季初勝利。
公約であるゲーム2得点もクリアして、ゲームコントロールの達成をひとつ示せた、と言えましょう。

〈風を味方につけたのは?〉
―なによ、何もできていないじゃない、と、横でずいぶんとオカンムリな家人。
セカンドボールをほとんど手中にできないことにも、不満だったんでしょう、きっと。

―いやいや。
予想したどおりの秋田式サッカー(萬年ブログをお読みでない?)と、プラス、この強風(向かい風)ですよ。
定番の、パントキック気味ロングボールを多用されて、地上戦に持ち込めないだけの話。
ゲームとしては、秋田サッカーへの対応とボール処理を含め、山雅のほうが風を味方につけていると思いますがね。

確かに表層、秋田がやりたいことを多くできているという印象には違いなかった。
こちらがまともにパスを回せたのは、前半22分あたりになって漸くのことでしたから。

でも、ここまではやらせる、ということも含めて、山雅のゲーム運びが上回ったな、という感ありあり。
たとえば、ブラウブリッツが蹴りこんでも風によって伸びすぎてしまうボールの処理、比較的に早く入れてくるクロスへの対応、GK圍の低い弾道によるフィードとか。
かなり丁寧で、シュアなプレイが目立つ。

唯一、39分の、CKからの失点をのぞき。(これはCK12本を獲った秋田を褒めるべき)

他方、自分たちのペースでボールを動かせる場面ではほとんど、ペナルティエリアに侵入できていた。
これは、秋田のディフェンスが緩いこともあったが、両サイドを起点とした攻撃がより深化した感じ。

かようにゲームの実相を捉えればですよ、前半をタイ( 1- 1 )で乗り切ったことで、勝ちの80%くらいを、こちらに取り込んだようなものでした。

萬年などは、コイントスに勝った佐藤 和弘が、敢えてエンドを変えることで、秋田サッカーを巧く破綻させたいのだろうか?、と胸中ミステリアスな問いを発していましたから。

〈刈り獲るだけの後半〉
当方がボールを握れば最終までは仕上げられる、と確認した前半。
それを踏まえ、後半は追い風をますます!味方につけて、攻め込むだけのお話でした。

佐藤2点目は、サイドからの攻めが奏功したもの。
あのシュート、ちょうど萬年に向かって来る弾道で、これはクロスバーを越えるかなぁ、と思いましたが、直前で上手く落ちてゴールイン。

鈴木の3点目は、前半29分のプレイの再現でした。(外山→鈴木ライン)

安東の投入によって、セカンドボールをより手中にできるようになったことも大きかった。

つまり、こうみてくると、勝利の布石はすべて、ゲーム前半に仕込まれている

攻撃の起点をほとんどサイドで作れたことを最大収穫として特記し、萬年式MVPは、攻撃では外山、守備では、圍と河合としたいゲームでした。

最後に、大きなお世話をひとつ。
ブラウブリッツですが、徹底度において素晴らしい。
けれど、速攻と堅守のセット化において、堅守の質を更に上げないと、この先少々厳しいか、と思いました。

では。

自分を見つめ鍛える (秋田戦プレビュウその❷)

〈水戸戦の宿題を書き上げる〉
第5節、対水戸戦。
山雅のボール保持率は、48%だった。
これ、山雅にしてはかなりの高値であって、ゲームの7割強を支配していたことの証拠でもある。

としたら、今節の相手が、ほとんど初物に等しい秋田であっても、勝利で終えるはずだった前節を、アルウィンの舞台でそのまま再現しなくてはなるまい。

〈柴田山雅 を再確認する〉
前回で描写したブラウブリッツのサッカーは、山雅にとってはいつか通った道にかなり近いけれど、今から、そこに帰ることはできない。

むしろ、苦杯を嘗めさせられたサンガのほうに感情移入してしまうわけだ。

ここで、昨季後半から今季にかけての、山雅の針路をくどい程に再確認……。

❶若手登用と成長をテコに、約束事を明確にしつつ、守備面の安定を図った。

❷前、佐藤らを補強、中盤における強度を上げると同時に、その攻撃性をより前線に近いポイントで発揮できるシステムを採用。

❸阪野をのぞいて、昨季戦力をごっそりと失った前線。
そこへ、チームとして新加入タレントを大量獲得。
実戦をとおして、個々の強みと、その組み合わせの最適解を模索中。
左サイド方面では、外山、河合が先頭を切るが、いまだ片鱗をも見せない人材は多い。

❹チャンスを活かしたDF野々村が売り出し中。橋内が復帰し、篠原が存在感をアピール。……、そんな感じか。

〈スタイルの組み合わせを 間違えない〉
どんなチームであっても、〈速攻〉はしたいし、しなくてはならない。
これはサッカーでは自明の理。

相手が帰陣して守備を整える前、広大なスペースがあるうちに攻め込めれば、ゴールのチャンスが大きいに決まっているからだ。

攻撃において、戦術として速攻を選ぶとすれば、相手をできるだけ我が側に引き付けておいて、ボールを奪って即反転攻撃、という策になる。
意識的に、敵を前がかりの態勢にさせる。

この時、相手の攻撃に堪える時間を無失点に切り抜けるためには、身体をはった〈堅守〉が絶対的に必要だ。
ガードを固めておいて、繰り出されるパンチ(攻撃)を敢えて受けるのだから。

つまり、〈堅守速攻〉とセットで呼べるのは、上のようなスタイルを基軸とする場合に限る。

二度のトップリーグ陥落の経験などを通過して、山雅は今、堅守速攻のサッカーを捨てた地点まで来ている。

その得点力の弱さゆえに、〈堅守〉はこれからも絶対命題だろうが、速攻でない攻撃(=ボールを保持して相手守備網を崩す)を研ぐこと。

これがベーシックな課題であるし、ここをクリアすることが、将来への布石になる。

編成されたチーム、タレントの面々をみると、この針路は明らか。

この視点からすると、(結果はともかく)、攻守に強度の高いゲームが続く今季であることは間違いなく、秋田戦にもそれを求めたい。

個々のプレイヤーへの思いは、挙げたらキリもないが、ともにキャプテンマークを巻く佐藤 和弘と中村 亮太。
中京大サッカー部同期の対決に注目しよう。

では。