『1941』逃げる快感。

『1941』は、1979年公開の米国映画。

ヒットメイカー、スピルバーグがメガホンを取った作品なんだが、興行的には失敗した模様。
米国およびカナダにおける収入では、製作費を回収できていない。

そりぁ、そうだろう。
日本による真珠湾攻撃から6日後、今度は本土攻撃を受けるだろうという不安におびえるカルフォルニア州沿岸の街。
(時代設定は、いまからちょうど80年前のこと)

そこへ、日本海軍の潜水艦が迷い込んで始まった 一夜の惨劇(コメディです)、といったストーリーに、米国人が好感を持って接するとは思われない。

太平洋のこちら側、日本帝国海軍を有した国の子孫にとっては、けっこう面白いネタと配役ですけどね。

追っかけを筋に練り込んだ脚本で、スラスプティック(ドタバタ劇)を古典的なるままに踏襲して魅せたスピルバーグは、映画好き少年そのままのなれの果て、という感じです。

追っかけが、喜劇の手法として成り立つのは、逃げる快感を誰しもが体験しているからだろう。

鬼ごっこ、かくれんぼに熱中したご幼少の日々……。

そうしたら、ポール マッカートニイの『Band on the Run』(1973年発表)を思い出した。
監獄から脱走して、逃げ続けるバンド、という歌詞。

ちなみに、同名アルバムのジャケット写真には、クリストファー リーが、バンドの一員として写っている。

彼、『1941』では、日本の潜水艦に同乗する、ドイツ海軍の観戦武官を演じているんです。

では。

さらなる高みの開幕 (SC相模原戦プレビュウ)

まづ、明日の予報が降水確率60%で、多少うんざりなのですが、このゲーム、今季ひとつのターニングポイントとなる予感もしています。

過去2戦、ポラロイドカメラのプリント紙、ミルク色の海から、被写体の輪郭と色彩が浮かび上がってくるみたいに、山雅の到達点がだんだんと見えてきた、そんな感が強い。

もちろん、水面下では苦しいやりくりがあるんでしょうけれど、各タレントが与えられた持ち場で、個々の力を発揮しつつあるのは嬉しいもの。

ですから、今節のテーマは、対戦相手の出方に関係なく、リーグ戦における起承転結のうち、〈承〉の部分、つまり、連携を深め、チームのクオリティを増すステージのはじまり、とも言えましょう。

周囲の方々には、快進撃のアルビレックスに土をつける最初のチームが山雅でしょう、などと傲慢な予告もしていることもあって、ここは複数得点を追求したいところ。

SC相模原については、初昇格のチーム、3バックシステムの採用、要所にヴェテランを配し、最後まで戦いを捨てずにやり抜くチーム、そんなイメージしかない。

さらに、前節ホームの対琉球戦は大敗(1 – 5)。

となれば、同類愛憐れむの情も湧いてきて、ゲーム模様のチェックさえしておらず、まったくもっての怠慢をおゆるしいただくしかありません。

まぁ、今回は、そういうゲームの楽しみもあるさ、とのノリで、アルウィンに向かうこととしましょうか。

では、アルウィンで。

ESLの挫折に 学んだこと。

日本ではそれほどのニュースにならなかった、ヨーロッパ スーパーリーグ(ESL)の、あえなき挫折を横目にみて、考えさせられたことです。

ESLとは、欧州の、〈いわゆる〉ビッグクラブ15チームが、リーグ戦(ホーム&アウェイの28試合)をたたかい、プレーオフで年間チャンピョンを決する、という構想。

各チームは、いままでどおり国内リーグに参加しながら、ESLに参戦する。

各国リーグはおおよそ週末開催なので、ESLのゲームは、週の半ばに組まれる。
リーグにおける昇降格はない。

去る4月18日、リーグ創設に参加する、オリジナルの12クラブが公表された。

2018/2019シーズンの、これら12クラブの収入(推定)を、1ユーロ=129円のレートで、日本円で示そう。(ただし、ACミランはひとつ前のシーズン)

❶FCバルセロナ             1,084億円
❷レアルマドリッド          976億円
マンチェスターU           917億円
マンチェスターC           787億円
リヴァプール                780億円
トテナムホットスパ        672億円
チェルシー                    661億円
❽ユベントス                    593億円
アーセナル                    574億円
❿アトレチコマドリッド      474億円
⓫インテルナショナル        470億円
⓬ACミラン                      267億円

各クラブがどうやって、これだけの資金を集めているかはさまざまだけれど、この原資で、優秀な指導者やタレントを集めまくれば、やっぱりそれなりの戦績を残せるだろう。

ちなみに、2018年度のJ1 クラブ18の、営業収益合計は、855億円。
その上位三つが、神戸 96億円、浦和 75億円、鹿島 73億円だった。

J1リーグの総合計よりも、マンチェスターシティの収入が多かったということ。

ところが、リーグ立ち上げが発表されると、それぞれのファンサポーターから反対の声が猛然と沸き起こる。

チームの現場、指導者やプレイヤーからも疑問の声が漏れだしてくるわ、くるわ。

なかでも、イングランドは、首相までもが、抗議する事態に。

欧州サッカー界の元締めである、UEFA(ヨーロッパサッカー協会)、さらにはFIFA(国際サッカー連盟)も 反対を表明。

参加クラブはヨーロッパチャンピョンズリーグから、所属プレイヤーはワールドカップの国家代表から締め出すぞ、とまで言い出す始末。

結果、プレミアリーグ傘下の6チーム番号赤字が、真っ先に、リーグからの離脱を表明。

その後、ドミノ式に、4クラブが追うように離反。

残ったのがふたつでは、もう無残。

このお話は、発表後、なんと48時間で、瓦解してしまったのです。

〈教 訓〉(どうでもいいこと順に)
お金は大切
でなけりゃ、きちんとしたクラブ経営は成立しないし、それなりの戦力も集まらない。
ただ、今回の稚拙なリーグ構想と公表をみていると、収入は相当ありながらも、どうやら、薄氷を踏むような危うい経営となっているフシがある。

ゆえに、UEFAにピンハネされることのないような興行(放映権など)収入を、是非とも手にしたい、という焦りを感じます。

②莫大な資金ありきのサッカーが、もしもファンサポーターをないがしろにした世界を志向すれば、かならずや、その反発と離反を招く。

今回のは、ファンサポーターに支持されないクラブ行動の、まったく良い事例。

本来、フットボールは上流階級のお楽しみでもありませんから、強欲の者が強欲の者に叛旗をひるがえすようなストーリイは、唾棄の対象。

そもそも大衆は、ヒーローの心変わりを望まないものなんです。

では。

キャプテンはここにいる(2021.5.1北九州戦レビュウ)

アウェイの地で、2 – 1の勝利。

同点には持ち込まれたが、交代したプレイヤーが関わった得点で突き放す、って展開、なかなかいいではありませんか!

【やはり中盤の制圧がポイントだった】
佐藤 和弘 (キャプテン)を欠くものの、前 貴之(副キャプテン)が、ゲームキャプテンを難なくこなして魅せたのが大きかった。
アンカーとして中盤を締め、特に、アウトサイドのプレイヤーを巧く使っていた。

中盤、というと、阪野 豊史が降りて来てボールを捌いたのが効いていたし、新しく開発した手法として、2列目を担った鈴木 国友が、やはり2列目の河合 秀人とサイドを変えるパス交換をしたのも、北九州の中盤に上手く穴を開けました。

北九州は、ボランチに、六平 光成と針谷 岳晃のふたりを並べてきた。

ヴェテラン六平を使ったところに、小林監督の、中盤が肝、との意思が観てとれましたが、山雅にしてみれば、すばしこい永野 雄大先発のほうが厄介だったかも知れない。

ついでに、前川 大河がベンチスタートであったことも幸いでありました。

あとは、#10 高橋 大悟が、要所要所で光るプレイを魅せた。
ギラヴァンツ生え抜きの3年目か……。
この活躍を続ければ、トップリーグからの誘いもあり、でしょう。

北九州の攻撃の面目は、その中盤から、ペナルティエリアに鋭い縦パスが入ってくること。
これに4人くらいの前線が瞬時反応するわけですが、予測も含めて、山雅の最終ラインが、大過なく対応できていことも素晴らしかった。

【やっとチームの骨格が】
11節目にして、台所事情はともかくも、戦うチームとして、ひとつの達成が露わになってきた、という感があります。

特に、サイドからの崩しにこなれた仕事ができるようになったのが大きい。

象徴的なのが、14分、河合のゴールが生まれた、その前のプレイ。
浜崎 拓磨から、北九州センターバックの裏へロングパスが供給される
これを、走り勝った横山 歩夢が追いついて手中にしたシーン。

こういった局面の再現性を高めることで、クロスなりカットインの起点が創れるわけですから、このゲームでいちばんの魅力的場面だったかも知れません。

では。

First of May (1969年)

5月の朔日(ついたち)、という曲名だから、今日採り上げるにふさわしい、というこじつけ。

まだ幼かった頃 クリスマスツリーを見上げていた

みんなが遊びに熱中する中、僕らはいつも一緒だったっけ

どうして?、って訊かないでおくれ

ただ 時間は過ぎ去ってしまう

他の誰かが  遠くからやって来たんだ

僕らはもう大きくなって クリスマスツリーは 小さくみえる

君が幾度確かめようとも  僕らの愛に変わりはないよ

けれど、五月最初の日が来ればきっと 涙が こぼれるだろう……

では。