ヒーローからの伝言。

4/10宮崎戦のゲーム終了後、アルウィンには、多くの人々が居残っていた。

高崎 寛之氏 の現役引退、その区切りの儀式に参加するために。

僕の前方に座るご婦人など、背番号#9のユニフォームを大切そうに取り出して、準備に余念がない。

山雅の一員として闘ってくれた4シーズン (うち2016季は、鹿島からのレンタル在籍)。

屈強で献身的なセンターフォワードとして、一時代を画した男。

本当は、まだ現役を続けたかったに違いないんだろうが、サッカー選手として第一線を退いた今は、その表情には、かつての厳しさが陰をひそめていて、柔和な笑顔が印象的だった。

挨拶の中には、山雅の現役プレイヤーへの発信もあった。

― まづは自分のために闘え、自分の(プレイヤーとしての) 価値を高めよ、
それが、山雅ブランドの価値を高めることになる。

……、という提言。

まったく同感。

ファン、スポンサーがあってこその客商売、という一面からすれば、ファン&サポーターには、そこそこの配慮を込めて接してはもらいたいけれど、プロフェッショナルとしてみずからの技量、度量を高めること、それに専心してもらえればよし。

前にも書いたが、いちばんのファンサーヴィスは、ゲームに勝つことであろうから、それに向かって精進せよ。

こっちにしたって、義理もないのに、ただただ好きで応援しているのだ。

しかも、勝手に共闘しているつもりでいるんだから、余計な注文をつける気などさらさらなし。

お互い、変におもねることもなく、淡々と礼儀をもってつき合い、苦楽をともにできれば、と願っている。

現在のチームを観ていて感じることのいちばんは、

監督/コーチが、ゲームメンバーの決定などにおいて、いわば、プレイヤーの生殺与奪の権限をキチンと使っている、という雰囲気。

そこにはきっと、試行錯誤もあろうけれど、個々のプレイヤーにとっては、そこにこそ自己アピールと成長のチャンスもあるはず。

指導においてハラスメントが在ってはならないが、
首脳陣がプレイヤーを、勝利のためには、〈冷徹に〉駒のように運用すること。

そういう健全さが、チームの活力を生むことを期待します。

松本の街と、山雅を愛してくれる高崎。

その次なるステージよ、Bon Voyage !!

では。

夏休みの宿題 (宮崎戦 その後)

ゲーム翌日、職場で、モモ氏にお会いすると、

― せっかくリードしていたのに、終盤で、立て続けに失点するなんて。

と、DAZN契約もしてなさそうなのに、まるで、ゲームをずっと観ていたような口ぶり。

そうしたら、なんてことない、アルウィンにいらっしゃったんだ。

それも、バックスタンドのホームゴール裏寄りに。

もしやと思い、スタジアムでは、携帯電話の着信を確かめてもいたんですが。

ともかく、お誘いした甲斐がありました。

― 初めの勢いでそのままいけばいいのに、なんか中だるみになってしまったね。
最後、あれだけ力づくで得点できるんだから、もっと早く手にをつけろよ、って感じ。

……、と話し込んでいたら、日かず残り少なくなってやっとこさ始める夏休みの宿題、みたいな総括になってきた。

ところが、プレイヤーのゲーム後インタビュウを読んでみたら、みづから攻撃的な姿勢を緩めたわけでもなくて、どうも暑さによる疲弊がチームにかなりあったようだ。

あらかじめボールを持たせた態勢をセットしておいて、さぁ、そこから、という呼吸合わせをしようとしたものの、プレイの連携に齟齬が生じてきた、というのがホンネだったんでしょうか。

できるのにやらない、は論外。

でなくて、できないのならば、精進してその不足を克服してもらうしかない、というのが僕の考え。

あまりの不出来については、勝手にいろいろと言いますがね。

さしあたっての目標である、最短での2部リーグ復帰がいつも胸のどこかにあるから、ゲーム評価にも、その切迫感が影を落とすのは、これは、今シーズンの宿命と割り切る。

現状は、実績にこだわらない人選のもと、あの手この手でゲームを握ろうと工夫を重ねているのがうかがえる。

実際、途中投入の安田 理大(プレイスキッカー)と、榎本 樹(ヘディングシュート)が仕事をしているので、采配は当たっているのだ。

濵名 真央のミドルシュートが決まっていれば、それこそ、大絶賛だったはず。
その不発をも、成長のための糧にせよ、というところか。

やり繰りの中、ゲームを追うごと平均年齢は落ちていて、
特に、フレッシュな才能の躍進と、その伸びしろをもっと楽しまなくては、と思います。

挑戦するのならば、リスクも引き受けないとならない。

チーム登録の員数は、数名過多。
同時に、(おそらくは)人件費は昨季に比して圧縮しているに違いない。

だから、費用対効果では、過去2シーズンよりはマトモになっている、と考える。

リーグ前半戦は、もがき続けながら、チームとサッカースタイルのデッサンを描き上げる、そんなところを着目します。

(註:失点時、ビクトルが抱き起して鼓舞したのは浜崎、と前回レビュウに書きましたが、あるいは、大野だったのかも知れません)

では。

みづから墓穴を掘るな (2022.4.10宮崎戦レビュウ)

2 – 2 のドロー。

今シーズン、アルウィン初参戦でした。

これはモノにできる!!、と思って観ていたので、勝ち点勘定ではゲーム当り2 (5試合消化して勝ち点10)  をクリアはしているけれど、
そして、諦めずに同点に持ち込む気持ちが、チームに備わってきたものの、
フォワードが得点しているという真っ当さはあるものの、
やはり、勝ち点2 を落としたゲーム、という評価にしておきます。

総体的な、山雅に優位な、個及びチームの力量差、という観点からすれば、こういうゲームを勝ち切ることの大切さと、主導権を渡さないことの肝要、これ強く感じます。

おそらくは、これから何度も言いますが、無骨で緻密な攻撃サッカーを貫くならば、まるで自分からシフトダウンするように、攻撃の手を緩めてはいけません。

つまり、3部にあっては、90分を果敢にやり続ければ、主導権はおおかたこっちに引っ張ってこられるものを、それを相手に渡してしまうのは、どうみたって、みづからの怠慢。

自分の墓穴を自分で掘るのは、なんと愚かしいことか。

ゲーム開始早々からのピッチを大きく使ったサッカー、あれをもっと続ければ良いのに (実際得点が生まれた!)、10分過ぎからの、アンフォーストエラー気味なパスミスが、4つばかり立て続けになってリズムが崩れる。

けれど、ここはなんとか立て直しながら、前半は、凌ぎ切った。

ところが、不可解なのは、後半開始から60分過ぎまでは、ヤケにプレイヤーの動きから活発さ、快活さが消えると、局面ごとに後手感が生じる。

おや?

暑さ対策もあって、後半の前半は、体力温存策で行くのかいな?、と萬年は善意でとらえていましたが、山雅のプレイヤーはあまり給水もしないので、どうしたものか、と観ておった。

結局、こういったみづから犯したゲームの緩さが、80分過ぎの宮崎の躍動の伏線となったわけで、一度落としたペースは、例えば、パウリ―ニョが入って奮闘しても、なかなか上がってこない。

観戦中、工藤 壮人も怖いけれど、前線左サイドの岡田 優希がいちばん厄介なはず、と横の家人に話していたけれど、なんと、その彼に、2得点を献上か。
対町田戦でも、やられていたし。

ただ、逆転弾を許した直後、その起点となったキックでうなだれる浜崎 琢磨を、ひき起こして鼓舞するようなビクトルがそこにいた。

これを観て、これで終わりにしないつもりだろうな、と期待させるだけの意思を、今季のチームがまといつつあることだけは認めたい。

……、というわけで、悔いは残るが、希望も消えないゲームでありました。

最後に、萬年式MVPは、大野 佑哉。
そして、MIP(もっとも印象に残ったの)は、2アシスト未遂の 菊井 悠介と、もっとやれるはずの浜崎 琢磨。

では。

『Speak Like a Child』

ハービー ハンコック (1940年~) の、同名タイトル(1968年発表) のアルバムに収められている曲。

親しみやすいメロディ。

落ち着いた雰囲気の ホーンセクション。

ピアノに、表情豊かに美しく語らせている、っていう感じがいい。

子どものように語ろうよ、と言っておいて、このアルバムには、別に、

『Goodbye to Childfood 』という曲も入っている。

子どもの頃に さようなら……。

6歳になったばかりの子が、積み木遊びをしていて、青と黄色のスティックが並んだら、

―ウクライナだ、これ、と独りごとのように話す。

彼、将来になって、この戦争をどういう気持ちで、振り返るんだろう?

では。

打つか打たれるか (宮崎戦プレビュウ 後編)

何を?

極論をいうと、

クロスの打ち合いで優位を獲れるかどうか?

ゲームの帰趨はそこらあたりに在る、と思います。

そこから、コーナーキックが多く獲れるわけでもありますから。

ポイントその❶
第3節、宮崎はSC相模原と対戦、次の節は山雅が、そことやっていて、
同じ相手に対して、

宮崎は、ボール支配 60%、山雅は、45% を記録した。

これは推定なんだが、相模原は宮崎にボールを持たせようとして、山雅は、その相模原に対して、ボールを持たせようとしたのか?

いずれのゲームも、保持率の低いチームが勝利したのは興味深い。

乱暴に言うと、宮崎はできればボールを持ちたいチーム、対し、山雅は、ボール保持にそれほどこだわらない、そんな風貌がみえてくる。

攻撃するため前がかりになった相手守備の虚を衝こうとすれば、あらかじめリスクを抑えながら、相手にボールを持たせ、虎視眈々と、ボール奪取を狙って、こちらの態勢をセットする。

活きの良い、無骨で緻密なサッカー、というスタイルを求める中、今の山雅には、(相手技量の高低にもよるだろうけれど) 向こうがボールを持ったところから始めるのが自然。

スピード豊かな反転攻撃を狙う。

その場合、ゲーム冒頭、押し込まれてペースを掴めないことに悩むが、これも節を追うごと、苦しい時間帯は少なくなっていることが救い。

ポイントその❷
昨季の宮崎は、リーグ第1位の得点を誇った。

指揮官が交代し、陣容も多く入れ替った中、攻撃サッカーの面目は、これを保ちたいようだ。

初期システムに、4 – 3 – 3 を採用していることでもそれはうかがえる。

運用的には、2 – 5 – 3 となり、サイドバックから高く押し上げる格好で、奥深くをえぐる。
で、クロス、あるいはカットインして、しとめる。

相模原戦では、クロスを 26本叩き込んでいて、今節だって、それを再現したいに違いない。

ポイントその❸
対し、山雅は、初期 3 – 3 – 2 – 2 か。
攻撃する時は、 3 – 5 – 2 で運用 。(守備時は、5 – 3 – 2 になる)

前線は、2トップ。

前節は、その下に、菊井 悠介と住田 将、それに前 貴之の3人が、逆三角形で展く形で中盤を形成。

菊井と住田を、攻撃的なボランチ兼インサイドハーフ兼シャドウ、みたいに活かしたのがずいぶんと効いたので、人選が変わったとしても、明日もそれを踏襲するのでは?

もちろん、サイドバックには高い位置で相手を押し込むことを期待するけれど、その基いは、ぶつかりあう中盤のところで、絶対優位を創り出すことに在る。

……、ということで、宮崎に関する情報大いに不足なるも、強固な中盤が攻撃の起点になりながら、相手ディフェンスの裏とサイドのスペースに飛び出していって、4人はペナルティエリアに侵入している、そんなサッカーを観たいものです。

とにかくです、昨年9月26日以来ご無沙汰の、ホームでの勝利を掴まずして、なんとする。

では。