負ける技量。

子供の、将棋に対する興味を保つにはどうしたらよいか?、と訊かれた時、
棋士の、羽生 善治九段はこう答えたらしい。

― 負けてあげることです。そのほかに方法はありません。

これから孫(5歳)のところに向かう家人に、この言葉をはなむけにした。

こういうふうにサラリと言い切って終わりたい、と思ったが、少々付け加えておいた。

― ただしね、これには、相手が幼くともキチンと対局する、という誠実さと、巧く負けてみせるという技量、このふたつが大前提です。

将棋の心得のない僕らにはせいぜい、ババ抜きの卓を囲む時の教訓になりそうだね。

(もちろん、サッカーのゲームに、負ける度量や技量は要りません)

では。

疑う者は 嫌われる。

議論がもつれてくると、たいてい、

― あなたって、なんでも否定から入るのね !

と、最後通牒を突きつけられている。

既成、所定の事実を疑ってかかる、という習性がどうも染みついてしまっている萬年。

そもそも、自分の考えや行いの妥当性さえ信用できない奴なので、待てよ、と自問自答するのが、習慣になっている。

まして、他人のやることとなれば、理解できるというのが、むしろ幻想なのではあるまいか?

わかったふりして、上っ面を流しているようなことは極力避けたいわけだ。

むしろ、こちらのほうだって、

― その絶対的な自信はどこから来るの?、と問い詰めたくもなるが、

キッチン周りの平和を乱さないためにと、言葉を飲み込んでいる。

いろいろと騒がしいワクチン接種についても、なぜ高齢者からなのか?、しばしば疑問に思っていて。

加齢により体力が落ち、疾患も抱えていれば、重症化や死亡するリスクが高いから、というのがタテマエだろうが、果たして、それがコロナ禍終息において、社会全体として最適な選択かどうか?

実際は、面倒な手続きを略したいがために、年齢を切り口にしたに過ぎないんであって、そこには長幼の序、といった匂いは皆無。

職場の同僚、ビートル氏のご母堂は 当年93歳。
その母上に、接種の案内が来た。

けれど、まったく外出もせず家内で日常生活を送る者を外に連れ廻すほうが、よっぽど心配なので受けさせない、と言っていた。

やれ早く全国民に、というかけ声と、現場の不手際ばかりを吊し上げる論調ばかり。

未経験の、ヨーイドン! ならば、齟齬があってフツーだろう。

得点競走でもなかろうし、まさか、100%実施とか本気に考えているのだろうか?

まづは60~70%に行き渡るくらいまで行ってみる、でいいし、そもそも免疫効果は一生でもなさそうだから、今回のワクチン一斉接種は、決してゴールじゃあない。

それよりか、いままでの季節性とCOVID-19 の両方に対し、1回で済むようなワクチンの開発に着手すべきだろう。

はたして、来年にかけての冬は、何回ワクチンを打つことになるのやら?、いまからそれが気にかかる。

では。

無知を恥じず、居直りもせず

❶日本で暮らす外国の方が、PCR検査を受けに行ったら、会場に梅干しの絵が貼ってあった。
この人、いままで梅干しを食べたことがない。
なんでそんな絵が掲げてあるのか皆目わからなかった、というお話。
なお、PCR検査は、唾液を使って行なった。

❷米国人は、マスクをするのがとても嫌、と聞いた。
そこで、日本人にその苦痛がわかるように説明してくれと頼んだら、
明日から、家の中で靴を履け、って言われたら日本人はとてもやりきれないでしょう?
それと同じくらいのことだよ、と教えてくれた。

❸目の不自由な人が電車に乗っていて、時刻を知ろうと携帯電話を使ったら、そばにいたご婦人が、電車の中は使っちゃあダメじゃない、と激怒。
あまりの剣幕に、弁解する気も失せた、という話。

……SNSを漁っていて、目についた話題。

たいした疑問も感じないで生きている中、それが当たり前ではない人々のココロを汲み取ることができないこともあるだろう。

無知であることをすべて恥じる必要もないが、知らないことは知らない、と正直になって教えを乞う姿勢を持ちたい、と思う昨今。

では。

〈コメント〉(ただし、憧れのリネン、の記事へ)
☞ルノワール氏より (6/15 15:43)
今から35年前
当時の景気は絶好調!
我が国では空前のリネンブーム
夏服は麻に限る
って謳い文句で
麻のスーツを沢山オーダーしました。
今日日のスーツは
タイトフィット&ショート
ですが
麻のスーツは
スーツの中を涼風が泳がないといけない
でないとリネンスーツの意味が無い
よってややルーズフィットのノーベント
2本タックのパンツ
涼しい夏のスーツです
これぞ季節の風物詩ですね
街のアイビーリーガーの成れの果て
の萬年さんと私ですが
リネンスーツに関しては
♪そんなの関係ない♪
で御座います。

☞萬年より (6/15 16:37)
街のアイビーリーガー、と言われてもわからない世代が
もはや肩で風切って?、いるんでしょうかね。
なれの果て、らしくサラリと闊歩したいものですね。

天皇杯の財産 (2021.6.13長崎戦レビュウ)


アウェイ長崎は雨でもなかった。

が、0 – 1 の敗戦であれば、気持ちはどうしても湿りがちになる月曜日。

ただし、いっつも痛い思いをさせられる都倉 賢にやられたので、ある意味サバサバ、って感じか。
さらに、あの失点の起点となったクロスは、システムのギャップを衝かれたものなんで、まぁ、致し方なし。

これで4連敗。
となれば、さらにいろいろと騒ぎ出す、血気盛んな向きもあるだろう。

けれど、本質を見よ。
対栃木および岡山の、戦い方のテイタラクに比べれば、今回の敗戦はそれほど致命的でもなく、惜しくも地力の差を覆せなかったゲームに過ぎない。

〈天皇杯で獲たものの発展形〉
浜崎 琢磨と前 貴之のダブルボランチ
特に浜崎が下に降りて組立てる際のリーダーシップ。
それと浜崎、前が適時サイドへ出て、サイドバックと連携して侵入するやり方。サイドバックを難なくこなすふたつのタレント活用は、理に適っておりますな。
田中パウロの突破力と、河合 秀人らの連携によるサイド攻略。
村越 凱光のアグレッシブな攻守
……、これらを、58分に3枚替えすることによって、ピッチに再現、ゲーム内容を修正して魅せたのは素晴らしい。

プレビュウでは、下川 陽太が当初から左サイドバックと予想しましたが、彼の投入も左サイドとの、およびピッチ全般との連携上で効果的だった。

佐藤 和弘の不在をなんとか挽回し得る戦術の開発、としておきましょう。

ボランチのところで時間と選択肢を創り出せれば、2列目の鈴木 国友や河合がもっと攻撃へ力を割けるわけで、このゲーム鈴木は、カイオ セザールとやり合う局面が多く、かなりの疲労だったはずだが、よくやったと思います。

戸島 章の強み
高さがあって空中戦の競り合いで優位、かつ、足元も巧い。
戸島の良さを活かすには、彼が落としたボールを回収する者が必要となってくる。
このゲームでは横山 歩夢にそれを担ってもらいたかったが、突っかけるためのスペースがほしいためなのか、戸島との距離が間延びしてしまったのは恨みが残ります。
今後、克服すべき課題。

〈結局、不足しているもの〉
ざっくり言って、パスのズレによるボールロスト、がそれ。
イージーなものは論外として、攻撃の詰めの場面でパスが通らない、ってのは、このまま地上戦でいくのなら、修正してもらうしかありません。

要因が、個の技量にあるのか、連携の意思疎通にあるのか、いづれにせよ。

この点、長崎にはパスやズレがはるかに少なかった。
というのは、Vファーレン式パスは、近距離間で通すことを当然な位置取りをし、かつ、リスクを背負ったパス供給をチャレンジしないので、当然といえば当然。その分、パス数を積むサッカー。

萬年は、山雅がやろうとしている、ハイスピードで、スペースを狙っての大胆なパスによる打開を気に入っているので、今のチャレンジを続けてモノにしてもらいたいんですがね、チームとして。

あとは、DF陣への注文は、もっと相手をおびき寄せるようなパスを多用することで、最終ラインから一気に攻める局面を創り出すこと、でありましょうか。
星キョーワァンのプレイには、それが濃厚に感じられて期待大。

〈エジガル ジュニオの貢献〉
長崎の中では、FWエジガルが出色の出来でした。
前線でのボール保持、降りて来てのパス配給、アシストパス供給のタイミングと精度。
フォワードとしてほぼ完璧で、ミスがない。学ぶべきプレイです。

長崎が好調(復調?)と聞いているけれど、都倉を含めてFWに献身的プレイにおいて手を抜かせないこと、あとはむづかしいことは捨てて、自分の強みを個々が最大発揮する。
そういう方向が、今は、奏功しているんでしょうか。

ただし、剛直であるが、ある意味で無策のサッカーは、相手が狡猾を前面に打ち出してきた場合、かなり苦戦するでしょうね。

では、最後に、萬年式MVPをば。

攻守にわたって要所要所で効いていた、外山 凌、としたいんです。

では。

憧れのリネン。『Get Rhythm』

この季節には特に、ハリイ ディーン スタントン (1926~2017年) を偲ぶ。

去年の今頃もやっぱり、ハリイのことを書いていた。

『パリス テキサス』(1984年)で初めて出逢った役者さん、と思っていたら、『デリンジャー』(1973年)や『エイリアン』(1979年)に出演していたので、既に観ていて気づかなったとは、いかにも迂闊な僕であった。

また、ハリイは歌い手としても達者で、ご存命中にその才能に触れる機会を逃した、これも迂闊な僕ではあった。

ご紹介する動画では、ライ クーダ―一座の、 お馴染みの面々が、『Get Rhythm』を演っている。1987年に、カヴァーをリリース。

オリジナルは、ジョニー キャッシュが、1956年に発表した。

ここで、場末のホール支配人として登場するのが、ハリイ。
(残念ながら、歌唱には加わらない)

蒸し暑い夏の昼下がりか。

こんな風にリネン(麻)スーツを、よれっと着こなすのは、かなり上級の技。

僕なら、薄いピンクのレギュラーカラー(芯なし)のシャツに、モスグリーンのポケットチーフ、そして、足元はグレーのコンバースで仕上げたいな、とつい夢想したくなるけれど、今や、そんな格好で出かけていく処もあるでなし……。

リズムで行こう!

汚れた街で まるで地面を嘗めるような、ダーティーな仕事さ

けれど あの若い靴磨きには 落ち込んでいる風などありゃしない

磨いてもらいながら 訊いてみた   

どうやって憂鬱な気分を紛らすのかい? 

そしたら、やおら頭を上げると、にやり。

ロックンロールのリズムを 骨の髄まで叩き込むんだ、ってね。

では。