みづから川を背にするために (2022.6.18 愛媛戦レビュウ)

アウェイのナイトゲームは、2 – 3 の敗戦。

遠地に出向いたファン&サポーターの皆様、共闘、まことにお疲れ様でした。

〈素直に 相手を褒めるしかない〉
愛媛の2点目(フリーキック直接ゴール)と、3点目(30m内外のミドルシュート)。

これがもう、文句のつけようがない、ファインゴール。

で、1点目は、対山雅のために!、石丸清隆氏が精根込めた、ディフェンス裏狙い戦術がピッタリ当たったクロスへの飛び込み。

キレイに揃う山雅最終ラインへの攻略法、だったんですな。

まさに、プレビュウで警戒していた、松田、茂木、佐々木の、トリプル揃い踏みゴールなので、あっさり脱帽です、あたしは。

だから、深刻に反省ぶるのは、この際止しにして、せいぜいヤバい位置での不要不急なファールは慎む、それから、オフサイドをセルフジャッジしてプレイを絶つな、というくらいの修正を加えよう。

〈収穫に 目を向ける〉
今季、これで、2敗目。
だが、いづれも、一旦は同点に持ち込み、かつ、最後の最後まで粘って最少得点差に持ち込んだ。
これこそが、チーム変貌を表す象徴的な有り様、と思います。

1 – 3 になって、プレイヤーに平常心で闘え、といってもメンタル的には無理な話、と考えたい。

けれど、それでもなお、アディショナルタイムを含め、終了の笛が吹かれるまで諦めない姿勢、それは示してもらえた、と感じています。

天皇杯の対磐田戦レビュウにも書きましたが、こっちが撮った最後のたった1点。

こういうのは、必ずや、次の勝負を手繰り寄せる。

小松の2得点(@藤枝戦)にしたって、そういった伏線があってこその仕事だったのではないか。(プラス、鳥取戦の不出来の猛省かな)

で、敗戦における途中の同点劇には、いづれも横山 歩夢が主役になっている。

このことは、采配の妙と、横山のセルフイメージの高まりを示していて、

昨夜のシュートにしても、外山 凌からのマイナスのクロスを、さも簡単そうに決めるところが、非凡。

サイドを侵して中へ供給するにしても、ああいう感じで、入って来るプレイヤーがカウンター気味の無理のない態勢で打てるような、スペースと時間を創ってあげること、これは今後のポイント。

佐々木 巧(愛媛)は、個人技(フェイント) で大野 佑哉のタックルを外すと、もっとも打ちやすい態勢とボールとの位置を創り出してから、スーパーシュートを放った(3点目)。

こういうことを、山雅の場合は連携の中でやる、ってことでしょうね。

あとは、けっこう鋭いクサビとなる縦パスの使用が、今節は目だった。

これを倦まず敢行することで、相手ディフェンスの間隙を切り裂いていく。
それを、武器にしましょう。

今後、どうみったって技量における(当方の)優位性からすると、相手が守備的に堅いゲームに持ち込んでくるシーンが増えるだろう。

とすれば、狭い、密集した壁(=相手の守備網) を貫いていく業に熟達しとかないと、ゲームを勝ちに持っていくのが難しいでありましょうから。

……というわけで、昼間、周囲の人々には、

― 次節の、2位、3位対決となるいわきFC戦。
これ、実質的な 6ポイントを縮めるゲーム。
今日、おそらく、少なくとも、いわきに勝ちはないでしょうから、これと勝ち点差3以内、での対戦になるはず。

これを見越してですね、みづからを川を背にした境遇に追い込んだのが、昨日の敗戦だったわけです。
10,000人を容れるためのキャンペーンも、煽ってるんです、きっと。

……、と吹聴しておく。

そして、帰宅してJリーグ公式ページを見ると、なんとまぁ、リードされたギラヴァンツが、後半のアディショナルタイムに同点に持ち込んでいるではありませんか!

これこそが、サッカーの神様からのギフトでなくて、一体なんなんだ……。

背水の陣はともかく、次節のコピーは、

山雅よ、走れ、うさぎ(脱兎)のように、で決まり。

では。

草むしりの空に。

(時候の憶え、6/17 マルバハギの咲く)

数日前のこと、うちの畑をみた義姉に、

― 馬鈴薯に花がついたよ、と教えられる。

きっと来るともっぱら評判の、世界的な食糧難に備え、今年初めてジャガイモを植え付けてみた、というのは、真っ赤なウソ。

昨日は、ほとんどプロ級な菜園主が、上の畑からからこっちの庭を見下ろすと、

― 今年は優秀じゃん、とのご託宣。

いろいろとそれなりに作ってるね、というお褒めの言葉だろう。

― いやぁ、相方が凝り出しましてね。
けれど、あまり育ちが芳しくないやつもありますよ。

というわけで、僕がやってることは、せいぜいそこの草むしりなんですがね。

馬鈴薯の
花に 啄木思ふ雨
遠き宇国に降るは 砲弾   萬年

では。

強く,あくまで 強く (愛媛FC戦プレビュウ)

今や 3部での対戦にはなったけれど、やぁ、懐かしの愛媛FCとできるんだ、って感じです。

最後に対戦したのは、昨年8月。

セルジ―ニョも戻って来て、シュートは相手の倍を打ち、決定機も多かったものの、川村 拓夢のたった一発にやられた、アルウィンでのゲーム。

で、結局、昨季は 2戦2敗。

それまでは、14戦して負けがたった1回の上得意さん、だったのにねぇ……。

〈チーム創りと スタートにおける明暗〉
対山雅、昨季の2勝に貢献した川村も今は、広島に復帰したが、今季の愛媛は……、
レンタルを含めて、新加入は、16名 (内、新卒とユースからの昇格が、計3名)

他方、退団は、16名で、レンタル元への復帰が 5名、後は完全移籍 9名、レンタル1名など。

要は、(おそらく例年と比較しても) かなり大きくプレイヤーの顔ぶれが変わった。

例えば、前節の長野戦なんかだと、後半から交代で、横谷 繁(昨季加入)、松田 力、佐々木 匠、茂木 駿佑が次々に投入されるなんて、おや、まぁ、これが、3部チームなの?

愛媛の、よどみない流麗なパスワークは、長野の何枚か上をいっていたから、このぶんだと、1点リードしている長野は、かなり守備的にやらないと失点は時間の問題だよなぁ。

……、と観ていたら、案の定、87分にセットプレイから、負けに等しいドローに持ち込まれてしまう。(by 森下 怜也のゴール)

だから、攻撃が巧くハマったら、一気にシュートまでやり遂げる。

愛媛は、それはそれは、怖いチームなのだ。

けれど、僕の観方だと、守護神(GK)の、秋元 陽太(引退)と、岡本 昌弘(鳥栖へ移籍)を失ったことが、守備の弱体には、けっこう効いている。

(その岡本も、それと守田 達弥も、鳥栖ではレギュラーを奪えていないから、なんともなぁ)

また、4 – 4 – 2の、インサイドハーフ(ダブルボランチ) の選定が、ゲーム毎に違っていて、試行錯誤感が否めない。

たとえば、今治戦(6/5)では、森下 怜也と横谷 繁のセット。

このふたり、本来が、センターバックであったり、もっと前め中央で起用したいプレイヤーなことを考えると、リーグ戦3分の1を消化してもなお、中盤の要がキッチリ決まらない、そんな様相。

……それと、新任の指揮官(石丸 清隆氏) による方向性の浸透に時間を要することもあってなのか、現在、12位。

ようやく、勝ち分け負けを、4 – 4 – 4 のゾロ目にまで挽回した、という現在地。

〈2部の匂いに惑わされるな〉

対照的に、山雅の場合はと言うと。

新加入 7名 (うち、新卒が 4名)
あとは、レンタル移籍組をできるだけ復帰させて戦力化を図る。

かつ、流出も極力抑え込んで、完全移籍による退団は、5名にとどめ、保有権を手放さないレンタル移籍が、3名。

つまりは、リーグ陥落の憂き目を、できる限り戦力を落とさずに乗り切ろう、という戦略。
(もちろん、その前提には、監督続投があったはず)

(あくまで)現状の戦績からすると、このチーム創造の志向性と、世代交代の思想が奏功した、と言えましょうか。

ですから、テクニカルでクオリティ高い愛媛とやるにしたところで、

強く、速く、聡くのスタイルは、もちろん不変。

そこへ持ってきて、今節は、〈強く〉のトーンを、全面に押し出すべき。

あの華麗なパスワークに飛び込むことを恐れず、人数をかけて挟撃して奪取をひたすら繰り返し、奪ったら、枚数多くペナルティエリアを目指す、これでいきましょう。

特に中盤で後手を踏まずに、そのエリアを制して、前へ前へ。

肉を切らせて骨を断つ、とか言いますが、そんなやり方で。

愛媛さんには申し訳ないけれど、ここでどれだけ自己スタイルでやり切れるか?が、次節 (いわき戦) につながります。

お叱りを受けるかも知れませんので、これはあくまで内緒のココロですが、アウェイ引き分けでも、構わないと思いますよ、戦略的には。

では。

草いきれ に久女を。

タチアオイが咲き出したら、もうすぐ、炎暑の夏。

草むらに踏み込むと、ムッとまつわりつく、あの熱気を、〈草いきれ〉と呼ぶ。

補虫網を持って山野に入って行く少年。

彼は、その草いきれの中で、虫たちの喧騒と夏の静寂に、ふと立ち止まる。

やがて、少年は大人に成った、その或る日。

夏の炎天下、路上に落ちた自分の影に、もはやこの世を去った人々を想い出すだろう。

杉田 久女 (すぎた ひさじょ、本名 杉田 久、1890 ~ 1946年) は、近代最初期の俳人。

いままでは、先駆的な、才ある女性の苦悩と人生、みたいな切り口で多く語られて来たが、もうそんな時代でもなかろう、と思う。

だから、僕の好む久女の作品も、世が代表作として拾ったものでもなくて、次のようなやつ。

草いきれ 鉄材さびて 積まれけり

この句、大正から昭和初期にかけての頃に詠まれていますが、こういう景色を採り上げる感覚は鋭くて、懐かしみさえ覚えます。

そこで、 萬年がよめる、返歌のようなものひとつ。

虫取りの 少年黙す(もだす) 草いきれ

ところで、久女が亡くなって数年後。

1952年、実父の故郷である松本市の赤堀家墓地に、分骨がおこなわれた。

今は、蟻ケ崎市営墓地に眠る久女。

で、ほんの、おまけの話ですが、

そのすぐ近くには、川島 芳子 (1906 ~ 1948年) の墓所が在ります。

では。

チュニジア戦(2022.6.14) に思うこと。

(時候の憶え、6/15 夏椿、開花する)

ナショナルチームのゲームが、昨夜あったなんて、知らずにいた。

朝食をしながらの、TVニュース。

― チュニジアに完敗、って言ってるよ、おい。

― なんでも吉田が、失点のほとんどに絡んみたいよ、と家人。

なんだ、萬年よりも詳しいではありませんか。

そこで、仕事から帰宅すると、JFAによるハイライト動画(3分30秒)を、ようやく観たんです。

そして、思ったこと。

緩慢な守備はいただけないけれど、主将の吉田を、ここぞとばかり責めるのもなんだかなぁ~。

むしろ、〈完敗〉の根本原因は、得点できなかった攻撃に在る、のでは?

0 – 3、のゼロ点のほうです。

このゲーム守備に追われまくっていたのかどうか知らないが、シュートは互いに8本づつで同数……か。

となれば、やっぱり、課題は攻撃ですよ。

右サイドからの、伊東の突破ばかりが、これでもかと目立つハイライト。

ならば、徹底的に右方のクロス攻撃を組織化、深化させれば良いのに。

誰がどうやって入ってくるとか、詳細を詰めているのか、いないのか?

伊東がクロスを上げている限りは、彼がシュートを打てないわけで、じゃあ誰が中で受けて、シュートを打つのさ。

チュニジアの3点目のミドルシュートは素晴らしかったけれど、ああいうフォワードの存在感を、いまのナショナルチームは持てていない。

どんと構えていて、ボールを呼び込んだらひと仕事して魅せるフォワードの名前が、今、とんと思い当たらないもんな。

要は、普段一緒にやっていないからこそ、決まり事をキチンとしておかないといけませんよ、代表チームは。

まぁ、当事者からすれば、そんなことはわかってます!、なんだろうけれど、ナショナルチームのことは、それぐらいでいいや。

とりあえず、憶えとして書いておきます。

では。