……1920年に発表された詩がある。
草の 一本橋
あお空 高い
太鼓 たたいて
てんとうむし 渡れ。 ( by 都築 益世)
益世(1898~1983年)は、KO大学医学部卒のドクターだった詩人。
しかし、〈続きますよ〉とは、ずいぶんと人を食ったペンネームではありませんか。
てんとうむしが、葉の先までつたっていって、ついに行き場所がなくなると舞い立つ習性を観察して、はじめて生まれる視点。
ずいぶんと前に、日本の詩人は〈詠う〉ことをやめてしまったので、最近は、詩というものから力がなくなってしまった。
ところで、ここ10日ほど、ニジュウボシテントウムシを相手に、あまり勝ち目のない戦いを続けているのが、我が家。
ナスやトマトの葉を喰いつくす草食性の害虫として、目の仇となっている。
哀れにも葉脈ばかりが残るまでに、葉っぱをなめ尽くす。
家人などは午後ばかりでなく、朝昼晩と畑に出ると、一回で数十匹はひねりつぶしまくるのが、日課。
―この野郎、この野郎、とあまりお上品でない言葉を発しながら、この仕事に精を出す、殺戮の天使として生きている毎日、というわけ。
で、ナナツボシテントウのほうは、肉食性だからと見逃している、これまた、まことに勝手な、人間本位のお話。
こうなると、詩的な気分など微塵もないことです。
では。