ひたすら胸をかりる (鹿児島United戦プレビュウ❶)

萬年式予想によれば、今季3部リーグ最強のライバルは、鹿児島ユナイテッド。

だから、ホーム開幕戦が、そこと当たり、しかも、天候が雨予想、とはなんとも因果な(=不幸な) お話なんであります。

2014年、J加盟をめざし、鹿児島県に在った2つのチームが合体して、船出。

それが2019シーズンには既に、この統合クラブは、2部リーグ初年度を戦っていた。
残念ながら、1年で降格の憂き目をみたのだが、それでも勝ち点は 40(11勝)。

たった7勝しか挙げられず、勝ち点34だったチームが、どうして、先輩風など吹かせられようか。

要は、これだけの急成長株には、みづからの立ち位置を勘違いしないで謙虚な気持ちで立ち向かえ、ということです。

とはいっても、当方も今季それなりの流儀で、過去2戦、キラリと光る戦いを魅せているのも、確か。

特に、前節の、対Ys横浜戦。
ボールを、(僕の期待に反して) 60%も握られ、

かつ、ペナルティエリアには、ほぼ倍の回数を侵入され、

コーナーキックはこちらの3倍で11本、クロスは 16本入れられながらも、

ゲーム総体としては、6割がたを制したという、実に粘り強い姿を披露してみせた。

特に後半、割り切ったサッカーに徹し、それを完遂できるようになったところに、チームとしての成長を読み取る。

僕は、感じる。

好調であるならば、誰にでもレギュラーポジションが与えられる風通しの良さ、や、雰囲気を。

だから、ルーキーたちが物怖じすることなく、自分の強みを発揮する。

ゆえに、今節のテーマは、執着心と清新さで、経験豊かな薩摩隼人の胸をかりる。

これで、決まり。

では、プレビュウ❷に続きます。

『Tupelo Honey』

ヴァン モリソン (1945~ ) が、1971年に発表した曲。

テュペロ ハニーとは、高級な蜂蜜のことらしいが、詳細は知らない。
tupelo、とは、ミズキ属の、落葉高木。

米国では、ブラック ガムとも呼ばれていたようで、ミシシッピ州には、その樹名にちなんだ、tupelo という名の街がある。(日本語では、テューペロと表記される)

同州の北東部に位置していて、ここから国道8号線を北へたどると、メンフィス(テネシー州)に至る。

人口30,000人ちょっとのこの街は、なんといっても、エルヴィス アーロン プレスリー(1935~1977年) の生地として有名だ。(彼の墓地はメンフィスに在る)

市の観光課のホームページも、エルヴィスゆかりの地、一色。

グーグルマップのストリートビュウを使えば、エルヴィスの、白いこじんまりした美しい生家が観られるし、その周辺で、のどかな田舎道をドライヴできますよ。

陶磁器に 茶を淹れよう
僕のために ティーバッグを浸してくれないか
世界中の海の その深い蒼に それを落とすように
君は まるで テュペロハニー のように甘美で
最上級の天使……

曲の発表当時、ヴァンは新婚時代の只中だったから、こんな詩が書けたに違いない、とか言ったら、それこそ、身も蓋もないか。

では。

過度な欲求の 可笑しさ (2022.3.20 Ys横浜戦レビュウ❷)

もうずっと昔、
― 最高のファンサーヴィスは、勝つことだよ。
……と、看破してみせたのは、落合 博満。

今こそ、そのことを実感なさっているのではありませんか?、山雅ファン&サポーター諸氏よ。

❶良い部分を、もっと見よう
3部リーグの他チームに対して、我ら山雅は、フィジカルとテクニックのところでは幾分かは優る。

とは言え、無双、と言えるような圧倒的なチーム力は無いのだから、第2節対Ys横浜戦は、今の、ベストに近いゲームだったように、僕は思っている。

ゲーム入りの数分と、前半30分台は明らかに、Ys横浜がゲームを握っていた。

が、上に書いたような事情からすれば、主導権がシーソーのように互いを行ったり来たりするのが、サッカーというもの。

たしかに、ボールを縦に通しておいて、即、横に入ってくるプレイヤーにボールを渡すYs横浜の攻撃には、かなり手こずった。

が、追走ばかりの守備シーンはなかったし、1対1で執拗にボールを絡めとろうとする執着心は、ゲームを通して衰えなかった。

正面から行って捕まえきれずに、横のスペースへとずいぶん交わされましたけれど、僕はむしろ、自分流の戦法に奉じた Ys横浜イレブンをホメたいですね。

ビクトルの再三のファインセーヴに助けられたとは言え、その前でコースを窮屈にしていたり、ブロックを惜しむこともなし。

あと、失点シーンは、そのビクトルがボールを後逸してしまったため、後方でディファンスの態勢が崩れてしまったところを、ヘディングで被せられたもの。

たしかにミスなんだが、無為の失点でもないのだから、改善を期す、ぐらいでいいんじゃあないか?

欲を言えばキリがなく、新たなサッカースタイルの構築を続けるチームをポジティブに見守るのが肝要だと考えます。

とにかく、今節で、特筆すべきことは、

監督コーチの指示があったにせよ、(おそらく前半の反省とパス多用の相手のやり方から) 4 – 4 – 2 の陣形を、縦横にできるだけリジッドに保持しておいて、相手のボランチに空いたスペースを使わせないような守備に、後半は徹底したこと。

横山 歩夢が不用意に相手のセンターバックを深く追いかけようとすると、すかさずパウリ―ニョからポジションを修正(連動性のこと)するように指示が飛んでいましたから。

守備から攻撃への反転を、自動化させるような構え、というべきでしょうか。

❷守備と攻撃の一体化にこそ注目を
2得点とも、素晴らしいクロスからの得点でありましたが、もともとの起点は、相手ボールを奪取したところから。

特に、2点目(by 小松 蓮)は、ボールを奪った菊井 悠介が、かなり低い位置から小松に通した鋭いパスから始まった、流れるような連動だった。

彼、ボランチでやっていけるんじゃあないか?、と思わせるプレイでしたが、奪って即前へ、というのが、合言葉なんでしょう。

2戦連続先発を獲った米原 秀亮もそこのところは意識していて、随所に攻撃を考えたプレイでしたし、コーナーキック時の守備では高身長を活かしている。
このゲーム、影のMVP推しです。

❸緻密さを織り込んだセットプレイ
後半、ゴールへ向かって、右45°付近からフリーキックが2本あり、両方、佐藤 和弘がキッカーだった。
初回のやつは、ファーに構えた常田 克人めがけて入れて、中へ折り返す策。

で、2回目はですね、蹴る前にわざわざ常田を呼んで、なにかを耳打ちする。
あぁ、なにかのフェイクなんだろう、と思っていたら、案の定。
相手の守備ラインとゴールキーパーの中間に鋭いボールが、蹴り込まれた。
全員がゴールに雪崩れ込む格好のやり方。

あるいは、コーナーキックでは、佐藤から外山 凌へと短く出しておいて、外山が、中央へ走り込んで来る米原に送り、ぺナ外縁から打たす、とか。

要は、細部の仕込みにまで工夫がされてきている、そういうチームの状態を評価したいのであります。

では。

謙虚に 胸を張れ (2022.3.20 Ys横浜戦レビュウ❶)

2 – 1 の勝利。

職場のヴァン氏には、
― フツーにやれば(地力差からいって)  3 – 0 でしょう。
けれど、サッカーはミスもあるし、ひょんなPKも取られるんで、さぁ、どうでしょう?

……、などと不遜な予告をしてあったのですが、それなりの結果なので、メンツも立った、という次第。

マリノスが在って、横浜FCが在って、その同じ街で、Jクラブとして存在すること、これはまぁ、なんと難しい仕事か、とずっと思いながらの観戦でありました。

昨日の入場者数が、1,900人ちょっと。

うち、アウェイの山雅ファン&サポーターが、およそ 1,500人ならば、ホーム側は 400人のご参集であったということ。

それならば、バックスタンドを開放した日には、手数ばかりが増えて非生産的でありましょうし。

ピッチに散水が行なわれなかったのも、結局は、運営上の限界なんでしょう。

かように、3部でやる、ということの現実がだんだんと露わになれば、勝ち切っていくためにも、それに順応しなくてはならないものの、その生活に馴らされてしまってもいけないなぁ、とファンのひとりとして感じております。

要は、これくらいか、という気持ちは一切棄てて、全力応援をやり遂げる。

これが僕らにできる、ブレちゃあいけない原点、ってこと。

さて、ゲーム内容に関するたわごとは、レビュウ❷に続きます。

では。

500マイルも離れて。

君が乗り遅れても 私は この汽車で行こう

何百マイルも離れたところに 君は 汽笛を聞く

100マイルを ひとつ  ふたつ  みっつ よっつ
そして いつつもたどったところへ

遠く 故郷から離れてしまった  この私

着替えのシャツも持たず  お金もなくて
どうして 家路をたどれよう

500マイルも離れてしまったいまは……

では。