シンプルと淡泊 沈着と緩慢 (2022.6.5 鳥取戦レビュウ)

今日6日は、絵文字遊びのとおりで、雨の日で……。

0 – 0 スコアレスドロー。
勝てた試合だったよなぁ……、とゲーム後感も湿りがち。

だから、梅雨のはしりが余計堪えるのかも知れない。

〈単純に、先に向かって切り替える〉
今節みたいなゲームは、決定的シーンを 3度まで外したのが、引き分けに終わった原因のすべて、と考えてしまおう。

仏の顔も三度まで (撫でたら、そりゃあ腹を立てる)、と言うではないか。

比較的イージーなシュートミスを何度も犯せば、勝機にも逃げられますわ。

ただただ、ゴールを逸したプレイヤーに反省してもらえば、それで良し。

〈ゲームを支配するために〉
❶コイントスに勝って、わざわざ風下を獲り、かつ、ゲームの入りとしては悪くなかったんだから、前半に畳みかけたかったですな。

中盤までのボールの運び方はまぁいいとして、ゴール30m以内に侵入して、さぁ!、という、シュートのひとつ手前の仕事が、なんとも淡泊、というか。

そこのところは、もっと自信を持って自分流を貫いて、時に応じて時間と〈遊び〉をかまして、相手を崩せば?、と思いました。
(もちろん、ミドルシュートの意識は持ち続ける)

落ち着いてやれば、3部リーグではそれなりの技量を、皆持っているんだから。

また、クロスがけっこう雑で、打った先には誰あれもいなかったり、真正面過ぎたり。
要は、中で受けるべきプレイヤーと意思が合致していなかったのは、残念。

こっちは練習を観ていないので、こういう連携の拙さは、果たして出し手と受け手のどちらの過失、不足か? は判断できませぬ。

攻撃面では、シンプルと 淡泊(工夫しない)、沈着とゆっくり(緩慢)、これが違うことを、次節以降はプレイに表現してもらいたいものです。

❷無失点は、グッジョブ。
センターバックの並べ方は、個ごとのアジリティの有無、対人強度を上手く組み合わせていたのではないか。

ただ、例えば、前 貴之をサイドへ配置すると、インサイドでボールを回収する能力が弱くなるので、特に、ラスト20分の攻守反転をこちらに優位に進めるのに手こずった。

布陣的には、住田 将を欠いたのも響いているけれど、パウリ―ニョの復帰まで策もなく我慢し続けることもできず。

今節の場合だと、佐藤 和弘がより中央に入ってくるのか?
あるいは、
山本 龍平が、もっと横方向を縫うようなプレイに徹底するか?

❸ツートップはいい。
けれど、小松 蓮と榎本 樹が互いに、どういう立ち位置と責務を背負うべきなんでしょうか?

どっちが競るのか?、どっちが衛星的に動くのか?、もっと明確かつ補完的なアサイメント(割当て)が、必要に思います。
ルカオとの組み合わせの場合も含めて。

前線で動くもうひとり、菊井 悠介の自由度を殺さないでおきながら、最前線の3人がもっと巧く絡まないと、攻撃がどうしても単発で、か細い。

……、と、萬年的な今節のテーマ、強く、速く、聡くのうち、聡く、つまり、狡智(工夫)の部分が不足したのかな?、を総括といたします。

で、MIP(もっとも印象に残ったプレイヤー)は、宮部 大己、ということで。

では。

『Searching For June』

デヴィッド べノア (1953~ ) のことは、現在は広島市に住んでいる友人W君が、紹介してくれた。

かれこれ、30年くらい前のことだった、と思う。

このピアニストの手による楽曲の中では、日本人の奥さんに捧げられた『Kei’s Song』を推したいが、今回は、この時候ゆえに(敢えて裏切って)、記事タイトルの曲のほうを選んだ。

June、というのは、6月(水無月)のことなのか、はたまた、女性の名前なのか?

前者、としたほうが日本人的な情感にはハマるし、そもそも、曲の起こりについて、余計な詮索をしないで済む。

僕なんかだと、調布から八王子あたりの、ライトに浮かび上がった、夜の中央高速を走っている、そんな親しみを感じてしまう。

いつかふたたび、味の素スタジアムへでも出向くことがあれば、その帰途、アルバムを準備しておいて、車中に流すんだ……。

では。

強く、速く、聡く (鳥取戦プレビュウ)

どうしてそのゲームを選んだのかは忘れたけれど、2018年、南長野へ、ガイナーレを観に行った。

当時、得点王を獲ったレオナルド(→新潟→浦和) や、フェルナンジーニョが居て、なかなか剛毅な容貌のチームだった記憶がある。

このふたりも去って、それから、チームもずいぶんと様変わりしているに違いないけれど、

かつて、河合 秀人はプロキャリアをここで始めている、橋内 優也や鈴木 国友を在籍させた、なんてこともあるから、ガイナーレのサッカーは、攻撃志向のスタイルに違いない 、と独り決めしているのだ。

ならば、前節の、FC今治に対してと同じような処方箋を用いる、ということか。

前節対いわき戦のハイライト動画を観たけれど、いわき流ボールを落ち着かせない式跳躍サッカーに、ガイナーレが手こずっている様子がうかがえる。

変にはぐらかされれば、誰だって調子が出ないけれど、今節の山雅、

ひとことで言うと、ゲームの流れをひっくり返ってしまおう、それがテーマ。

前後から厳しく追い込んで、ボールを奪ったら、即、反転攻撃。

あるいは、攻撃に出てくる相手Dフェンスラインの裏を狙って、ロングボール、あるいは、スルーパスを通して、仕上げまで持ち込む。

今治戦における得点シーンのデジャヴ、みたいな感じです。

あとは、前節はなかなか活用できなかったセットプレイを巧く使いたい。

そのためには、こちらが先手先手でボールを動かしてファールを誘う、または、相手陣内深く侵入することで、コーナーキックを沢山いただく。

― 強く、速く、聡く。 (強度、スピード、狡智)

切望的なスローガン、ではありますが。

予報だと、天気は下り坂らしい。

願わくば、準備した戦法が無に帰するほどの悪天候にだけはなりませんように。

では。

ここから先へ (天皇杯ジュビロ戦レビュウ❷)

双方が保有する戦力を総テストするような、有料の、高級なトレーニングマッチを観るため、磐田の地まででかけて行った。大量点を背景に相手がゲームを締めにかかってくる終盤20分間を、こちらへと手繰り寄せたのは大きな収穫だった。― これが、レビュウ❶の要旨。

それをまぁ、長く、クドクド書きました。

申し訳もないことですが、やがて、ハイライト動画も公開されるでありましょうから、とにかく、全体の雰囲気だけはお伝えしたかった。

で、今や、これからも続く、残り24ゲームのリーグ戦をのみ照準に入れようではないか、読者諸氏よ。

そのために、天皇杯二回戦で感じたいくつかを。

❶山田 真夏斗
思うに、彼の魅力は、気の効いたラストパスであるから、ボランチ(インサイドハーフ)に配す、というのは肯ける。

ただ、当夜、ピッチ練習やゲームでの動きを観ていて思ったのは、彼、トップ下あたりのほうが、その攻撃的な部分のタレントが活きるのではないか?、と感じた次第。

❷篠原 弘次郎
昨季の対ジュビロ戦、山雅の、なけなしの1点。

それは、アウェイヤマハスタで、篠原が左から入れたクロスに、鈴木 国友が頭から飛び込んで決めたもの。

あの現場には僕もいて、ほぉ、これくらい攻撃的なセンタバックはいいよな~、と思ったもんだ。
その篠原が、同じヤマハスタで復帰とは、感慨も深く、ディフェンス陣の競争激化は望ましい。

❸安田 理大
きっと、僕がそういう眼で見てしまうんでしょうが、インサイドワークと、ゲーム局面に活を入れるプレイは貴重。
また、対戦相手をいろいろと制するにおいて巧いし、長けている感がある。

こういうのが、いろんな修羅場をくぐって来たことがうかがえる、ってやつだ。ヴェテランの重みを体現していて、リーグを勝ち抜くには、その存在は必要。

❹橋内 優也
ジュビロなんかとやると、何気なく前方スペースに出されたボールが、すんなり相手フォワードの手中に落ちる。

あれれ、うちのディフェンスむざむざとボールを渡しちゃうの?、って感じで。

こういった競り合いで、より速くボールに到達して遮断するのは、橋内の真骨頂。

斜め前で観戦のご婦人、
― まぁ!、速い。誰よ、今カットしたのは?、とつぶやく。

チーム内で競走すれば、横山 歩夢に次いで速いのは(おそらくは)橋内、というのは案外知られていない事実ではないか?

そこらへん、もっとアピールしてもらいたいもんだ、メディアとチームには。

❺ジュビロを越えてゆけ
このレビュウを書くについては、ゲーム後(無料配信の)プレイヤーインタビュウのみを確認していますが、そこには、やっぱりトップでやってるチームだった……、みたいな感想が読み取れる。

たしかに、ジュビロは巧い。
けれど、あの程度のインテンシティ(強度)と線の細さでは、やはり、トップリーグで戦うには限界もあるはず。
そこに定着するため、かなり苦悩、苦闘している、と思う。

やがてはそこへ駆け上がるためには、(テクニックと連携はともかく) 山雅は、もっと上、横浜FMくらいの強靭さを見すえて鍛錬ですかね。

……と、今回もまた、くどくなってしまった観戦記の最後に。

アウェイチームの監督が、場内にコールされた時、

この夜、最大にして最長の拍手が起きたことだけは、ジュビロファン&サポーターの義理堅さを称えるために、ここに記します。

では。

双子のゲーム思想 と光明 (2022.6.1天皇杯2回戦レビュウ❶)

時間をさかのぼって、当日は 午後2時過ぎ頃のこと。

阿南町(下伊那郡) のあたり、国道151号を南下していると、携帯に電話が入る。

― 〇〇君はね、本日のメンバーではありません !
さっき、〇〇付近で犬の散歩しているのを見かけたの、と家人が、親切なご注進。

― なるほどね。用意してきたゲーフラは、車に置いていくよ。

……こんなやりとりが、ゲームの伏線になるわけです、天皇杯は。

〈登録メンツの、相似性〉
ジュビロの登録メンツは、萬年予想が全く外れ、そのため、天皇杯へのアプローチが、両者でほとんどそっくりになってしまう。

磐田陣営はどうも、最少の労力投下で、三回戦への切符を獲ようとしたんですかね?

〈松本山雅〉
リーグ戦(5/29)の先発で、当夜も先発したのが、ひとり(常田)。
リーグ戦のサブ7人のうち、当夜の先発に、5人を採用。
リーグ戦の先発ふたり(住田、小松)が、このゲーム、後半に投入される。

〈ジュビロ磐田〉
リーグ戦(5/29)の先発で、当夜に先発したのが、ひとり(#28)。
リーグ戦のサブ7人のうち、当夜の先発には、6人を採用。
リーグ戦の先発ふたり(#2、#14)が、途中投入された。

……結果、レッキとした公式戦でありながら、

まるで、トレーニングマッチを、45分 × 3本やって、そのうちの、ラスト2本を、3,700人強の観衆にみせた、といった現象が起きたヤマハスタジアム。

つまり、2 – 5 のスコア(敗戦)とは、1 – 2、1 – 3 の 2回戦やっての合計、と分解できる。

これ、皮肉でもなんでもなくて、三回戦進出を賭けるように表層には見えているが、プレイヤーからしてみれば、自己価値の訴求と、定位置確保におけるハードワークをした90分であったと、僕は強く感じる。

別の言い方をすれば、チームの総合力の対戦、とも言えた。

〈このゲームを糧とするならば〉
テンポ良くサイドを割られ、クロスに対してひとり余った格好で飛び込まれての連続失点。
手馴れたテクニックの前に、相手をなかなか捕まえきれずに、反撃のチャンスがつかめず、その芽も巧くかわされて。

と、いわば、翻弄された60分が先行したけれど、5点獲って相手が手を緩めがちになったこともあるが、だんだんと、そのスピードに馴れてくると、ラスト 20分は、けっこう、こっちがボールを握れるような展開が生まれた。

特に、交代投入された、小松 蓮 と 村越 凱旋のコンビネーションが効いて、そこへ持って来て、中盤(住田 将)が落ち着いてさばけるようになったから、ゴールに迫るシーンが、連続するようになる。

狭いエリアで最後のラストパスを狙うのもいいが、思い切ってそこで打っちゃえ、なんて場面もあったりで、さらに、1、2 点入ってもおかしくない様相に。

ですから、80分台の追加点(by 小松)。

でもね、このたった 1点は、けっこう意味が重い。

振り返っても御覧なさい。

昨季、メンツはそれぞれに違うにせよ、2回やって、1 – 4、0 – 4 で殺られている相手なのだ。

それも、ゲームの最後の最後まで、押しまくられた。

ホームでは、金子 翔太に、96分に1点献上とか……。

それが、ココロを折らず、最後まで相手を追い詰め続けたのは、今回は、こっちだったわけ。

ここに、チームの成長と、新しい姿への脱皮を観ずして、なんのために遠州くんだりまでやって来たんだ。

……というのが、この遠征記のオチ。

ですから、ゲームが終わって帰り際、お隣で観戦のご夫婦に、

― このゲームによってきっと、リーグ戦での底上げができたんじゃあないですかね。今季いちばんのテーマは、あくまで一年での2部復帰ですから、

と申し上げたのは、もちろん、僕の本心。

では、あと少しの補足を、プレビュウ❷で。