優等生は,嫌いじゃあないが (遠い大阪)

てなわけで、前節は。

リアルタイムも、見逃しも、はたまた、公式ハイライトさえも、観る気にならず、遠い昔のことになった。

でも、まぁ、スタッツでゲームの流れくらいは知っとくか、と読んだら、

ゲーム冒頭の15分。

ボール保持が、〈え?!!〉ってくらい、予想を裏切り、極端に大阪側に傾くと、

立て続きの、2失点。

以降は、こっちが、ボールを握り返し、

クロス、シュートは、相手の3倍くらいを叩き込み、

2分弱に1回は、相手陣内深くまで攻めいったものの、ゲームオーヴァー。

 

……、相手による突貫攻撃の時間、土壇場が、ゲーム中どこにあったにせよ、

その強圧に抗しきれず、ゲームを落とす。

侵入されたら、マジメに、けれど、ついて行く守備のままに、ゴールをゆるしてしまう。

こういう展開を、前に、今季の〈勝負弱さ〉と書いた。

やりたいサッカーがあって、そのためには、技量に基づいて、準備したやり方、手法を積み重ねる、それは否定しない。

が、どうも、優等生の域を出ないのですよ。

(シュート本数を高め、かつ、枠内シュート率も高めているような、優等生的な努力、これは、もちろん評価)

ゲーム様相が、相手に利してグッと流れ出したら、

味方さえも欺くような、ナタの一撃を一閃、

要は、フツーならば〈悪手〉に見えるくらいの捨て球をカマすとか、やられ放題のちゃぶ台をひっくりかえすような捨て身、そういう発想がない。

よく言えば、勝負師的な、(相手からしたら) 憎らしさ。

勘違いしてもらっては困るが、こういうのは精神論ではなくて、

あくまで、方法論の話であります。

明日やってくる琉球戦にしても、

ゲームの〈肝〉を、こっちに手繰り寄せなくちゃあならない時間帯はかならず出現するはず。

見どころは、その時の戦いかた。

では。

緩と,急と (FC大阪戦プレビュウ)

はじめに、リアリズム。

〈勝ち点〉とは、原則減らないもの。

だから、他者の積み上げは無視できないにせよ、
残り14ゲームで、10回勝たなければ(≒勝率 7割)、昇格ステージに浮上できないのが現実。
ここまで高い授業料を払わされた感があるので、せいぜい投資を回収するさ。

さて。

前半戦のホームでは、やっと勝てた、FC大阪のサッカーの特長は、おもにふたつ。

❶全得点の 53%は、セットプレイからあげている。

❷ポゼッションにはこだわらず、とにかく縦に速く攻撃を仕上げる。

……、となれば対応とは、

❶ハーフライン近辺であっても、ムダなファールを犯さずに、しかも自陣深く侵入させない(相手のコーナーキックと、ロングスロウを避ける)

❷どうしたって、ボール保持はこっちに傾く。
なので、なんとか相手のプレスをかいくぐり、デイフェンスラインの裏のところで勝負。

☞ ❶と❷を成就しようとするなら、

攻撃面では、ゆっくりやる時と、急にアクセルを踏み込む時の切り換えについて、チーム意思を統一する。

その上で、縦パスを多用すべき。

クロスは、相手守備の視野を動揺させることができるが、サイドへ展開する時間がかかり、ボール弾道距離が長くボールがイーブンになりやすい。

ゆえに、(大阪は4バックだから)ふたりのセンターバックに対し、数的優位の中で、出来る限りゴールマウス正面からシュート!!
山雅は、3トップだろうが、ペナルティエリア幅における、2~3のプレイヤの連携が、必要。

とにかく、リーグ最少失点!! の相手なんだから、

アシストとなるパスの供給k起点を多彩にして、そのデイフェンス陣を揺さぶるしかありません。

あとは、不幸にして相手にボールが渡った瞬間のケア。
守備の受け渡し、オープンなスペースで自由にやらせない、そんなところか。
つまりは、速く態勢をつくってしまう。

では。

奈良に立ち帰れ (FC大阪戦プレビュウ序)

枕の話として、

長野パルセイロの監督解任と、新監督の就任。

どちらのニュースも、夕方のHNK長野版を観て知った家人が、教えてくれた。

前監督については、えらい剣幕で審判団を罵倒しまくる、が僕の印象。

そういうのは、責任のないファン&サポーターに言わせておけば?

で、次に、そのサッカー論。

2列目にカードを多く並べておいて、敵陣の深い位置までボールを運んだら、大人数で、ペナルティエリアに雪崩れ込んでいくスタイル、と診ていた。

攻撃的で面白いやり方なんだが、
手薄になるボランチ周辺を上手く使われたり、あるいは、(ミスなどから)そこでボールを獲られたら、よほど帰陣が速くないと、相手に得点チャンスが多く生まれるなぁ、と思っていたが、実際はどうだったんだろう?

山雅が 1 – 2 で敗戦した5月のアウェイ長野戦も、そんなサッカーだった、と記憶する。

ただ、レビュウで指摘したとおり、

当時の山雅は、レギュラークラスの左右サイドバック(下川、藤谷) が離脱して、かなり無理したメンツを配した、つまり、こっちには、フツーにやり切る力量を欠いた。

かつ、上から相当な檄が飛んだのか、無駄に多いファール22個で削られたら、とても平常運転ではなかった。

だ、か、ら、
もし、パルセイロ首脳陣が、あのゲームを内容結果ともにオーライ、と評価してしまったら、それは違う、と思っていたが、

そもそも、山雅はそれほど磐石でもないから、買いかぶられても困る。

まぁ、これで10日くらいはメディアの関心は北方に向くから、静かな練習が出来てなにより。

所詮は、他人事。

けれど、長野の不調を、あえて、反面教師とするなら、

今節大阪戦、山雅に必要な要素は、

〈前後に速く展開する〉、もちろん、守功の両面。

キャンプ直後のファーストゲーム、対奈良戦。

あの清新なメンツに、夏の補強を経た面々を上乗せして戦う、そんなココロだ。

その基底には、山雅の、地道な進化がありまして、

たとえば、前節今治戦では、スローインを 21本入れて100%味方に渡せた。

対し、今治のスローイン 28本のうち、50%弱を成功させていない。

今治のスキや、緩いサッカーに助けられてもいたが、

90分間の集中と、些細に思えるプレーを大切にこなす姿勢は、今後、活きるだろう。

では。

さて,ここから,これから (FC今治戦レビュウ❷)

〈ゲーム、そのおおざっぱな実相〉
ドローに終わった、今節。

ゲームプランの成就、という意味では、今治がより、それを達成した。

前半を堪えて、スコアレスで凌ぎ切り、

後半に #10ヴィ二シウスを投入して、阪野とのツートップで強圧をかける、といったプランは、

ともかくも、#10のアシスト、#99阪野の先制点として、結実したからだ。

ただ、正直いうと、#9 近藤 高虎の左サイドにおける突破のほうが、山雅にとってはよほど脅威だった。

だから、近藤、阪野を引っ込めた 78分と、

山雅が3バックにシフトした 80分の、交代とシステムの交錯が、

それ以降は、山雅が、ゲームを有利に運べたキッカケのひとつ、だと思う。

今回の山雅ベンチワークは、そこそこ機能したわけか。

樋口 大輔が、左サイドバックとして活きる予感も得られたし。

〈今後の課題〉
あれ?、こんなにやらせてくれるの、といった今治の緩さがある中で、

山雅の十八番とも言える、前後半それぞれの冒頭における、猛ラッシュ、あるいはフルスロットルの時間帯。

ここで得点できなかったことが、勝ち切れなかった根本要因。

センターバック、サイドバック、そこへボランチが絡んで、相手を崩しながらボールを動かす技量は進歩しつつある。

それによって、相手の守備態勢を横方向に拡げられれば、空いたスペースへ安永 玲央、米原 秀亮が顔を出して、ボールを左右に自在に配球できる。

敢闘賞が安永に贈られたのは、アルウィンにおけるボランチ安永の、公式的な認知宣言。

ただし、そこからなんですよ。

両サイドから、サイドバックなどがクロスを入れまくる、これは否定しないけれど、

ピッチ中央へボールを持って来て、そこから、前を向いた、より最適な体勢でシュートを打たせる、そういう工夫が織り込まれてもいい。

今治戦の前半は、そういう意図がけっこう在ったように思うけれど、

後半はクロス一辺倒となり(それによってコーナーキックは獲られたが)、ゴール正面からのシュートに関しては寂しかった。

〈まだまだ追い詰めよう、みづからを〉
割って入ってもらいたいメンツはあるが、おおよその先発と交代要員が固まってきつつあり、

緩急の攻撃手法が、だんだんと板についてきて、

あと残り 14ゲーム。

(経験的に) 上位チームに迫るにおいて、勝ち点1を縮めるに 1ゲームを要す、とするなら、

現在、首位から 14差、2位から 7差の現実は、

厳しいけれど、上位が万全、磐石でもあらずして。

ゆえに、旗をおさめる状況でも、まったくなし。

大丈夫。

これからもっと追い詰められる修羅場は、ここ数年のならわしからすれば、いくつもあるはず。

3箇月を、苦しむ覚悟で。

ここまで築いたきた地点を見すえ、山雅自身がそれを信頼してやり切るしかありますまい。

というわけで、次節は、東大阪花園ラグビー場へと、向かわざるを得ませんな。

では。

かなり感動している件 (2023.8.26今治戦レビュウ❶)

先制されるも、

85分、コーナーキックからの跳ね返りを、村越 凱光が押し込んで、同点。

終盤は攻め続けたが、1 – 1 のドローで、タイムアップ。

勝てなくて半ば残念、でも、敗けなくて半ば安堵、そんなゲームでした。

スタジアムに入ってから、スタメンを知り、

そこに、山口 一真の名がなかったので少々がっかりしたのが真情。

ですが、楽しみに、次なる機会を待つ、といたしましょう。

さて。

阪野 豊史に先制弾をくらった直後、

― (ディフェンダーの) 常田が、シュートコースの左を切っているのに、どうして、村山は、左方へ体重移動するのよ、あれ、ニア(右) をケアすべき。
右に重心を傾けて待てば、阻止できたのに!!,、と僕。

すると、横で観戦していた家人は、

― あれ、完全にオフサイドでしょう!!、と声を上げた。

阪野にアシストしたのはヴィ二シウスだったけれど、

そのヴィ二シウスの、(ボールが出た瞬間の) 位置がオフサイド、というご指摘。

あとで、ハイライト動画をみると、

ボールがヴィ二シウスに入る前後の瞬間が、ストップモーションで編集してある。

過ちをば、無言で(露骨に) 訴えるために、メディアがよくやる趣向です。

でも、村山の位置取り(ミス)にせよ、オフサイドとジャッジされなかった事案(誤審)にせよ、

要は、もう一点獲れなかったことが、勝敗を決定づけた、とすべきであって、

たとえ、不都合が明らかであっても、それを、未練タラタラこだわっていてどうする。

誤審に苦しむ、と言ったところで、VARで取り沙汰されないリーグでやっているのは、

自分で蒔いたタネを刈っているに過ぎないのだから。

(誤審については、ビジネスライクに、クラブがJリーグに抗議すべきではありましょう、今後、少なくともアルウィンで、おかしな笛が吹かれないためにも)

……、僕が感動しているのは、

アルウィンに通うこと10年にもなると、

市井に、フツーにお住まいのご婦人がですよ、

瞬時にオフサイドを直感するようになること、

その淡々なる事実でありまして、

街にサッカーが根づくとは、こういった感想や発言が日常茶飯となることだろうな。

と、妙に感慨深いゲーム翌日なんです。

では。