It’s Too Late… (2021.11.21レノファ戦レビュウ ❶)

セルジ―ニョの素晴らしいゴールで先制するも、立て続けのコーナーキックに堪え切れずに失点。

1 – 1 のドロー。

ゲーム後、スタジアムを一周するプレイヤーたちの表情には、ここで勝ち点3を逃がしたことの重さが、歴然でした。

終焉は一瞬では訪れず、一週間ごとにじわじわやってくる、って感じでしょうか。

そういうのも、なかなかしんどいですな。

ラスト5ゲーム、勝ち負けの星勘定は、萬年の予想どおりなんで驚きもしないが、こうやって現実化すると、スタジアムには、どうやったって、敗残と諦観の空気が押し寄せます。

しかしながら、ゲーム内容や、チームとしての出来は、いままでにないほどに高まっていた、と診ます。

❶初期システム 3 – 3 – 2 – 2 という最適解への習熟。

❷ほぼ最善と思われるメンツを、その布陣に落とし込めている。
(故障者の復帰を含め)

❸無責任なプレイが姿をほぼ消して、ボールが、湧き出て来るプレイヤーへと前向きに渡る。

❹球際の競り合いでは、執着心と鋭さが倍加した。

❺ファーストディフェンスの、行く行かないのコントロールに意思統一がなされメリハリがあって、相手の出鼻と態勢を崩せていた(チノ氏評)。

ボトムハーフに低迷するチーム同士の、突き詰められていないがゆえの甘さ、ミスが散見されて、順位はウソをつかないわ、といった緩慢なゲーム運びが感じられはした。

けれど、山雅としては、今季最上級の締まったゲームを遂行できた、と評価したいところ。

……、実は、北ゴール裏立見席の僕のすぐ後ろには、青年ふたりが観戦していたのですが、彼等が交わす言葉が、プレイと選手の技量に関する肯定的な内容であったこと、そういったことでも、大いに救われた。

こういう評言がアルウィンに満ちることを、切に願いますね。

誰と一緒に観るか?、でサッカーの価値も決まる、これはホント。

さてと。

いままでの40ゲームを、10試合ごとに区切って、山雅の、勝ち点奪取をみてみると……、
1~10       10
11~20      9
21~30      8
31~40      6

これには多分に、対戦相手次第という要素もある。

が、我らが戦いの出来に関しては、それなりにレヴェルを上げて来ているにかかわらず、勝ち点についちゃあ、尻すぼみ。

その根本的な事情として、すべてのチームが山雅以上に、ゲーム遂行の成熟度を高めていることが在る。

これに尽きますよ、おそらくは。

リーグ戦当初から引き摺ってきた、チームの作り込み不足が、他との比較でも、いかんせん挽回しきれていない。

良くはなっているけれど、滑走路が既に尽きかけている山雅号。

It’s Too Late……か、と心の中、呟やきながら、チノ氏と別れて駐車場に向かったのでありました。

旗振りとタオルぶん廻しが戻ってきたからには、土壇場は見届けないと。

相模原には参戦しますよ。

では。

ひとつになる とは… (レノファ戦プレビュウ)

いまや、ゲームの戦略や戦術について語る時季でもないだろう、と思っているので、それは省略。

ボールを受けに来る味方を探している、とか、パスコースから消えてしまうのを減らす、なんてのは戦い方以前のことでもありますし。

さて。
COVID-19の第6波と、年末の忙しなさの来る前に、というタイミングをみて、一昨日、或る先輩とお会いした。

で、自然、山雅がどうのこうの、という話題になる。

― 最近はねぇ、負けているのはわかってるけど、いくつで負けてるの?、って、女房が聞いてくる始末でね。
一体、この無様な戦果をどう思う?

― リーグ屈指の技量、そこそこの年俸取りの集まりであるはずなんです。
が、ピッチ上でゲームを統率するリーダーシップをあまり感じないんですよね。
悪い流れを断ち切るとか、ひとつのプレイで他のメンツの意欲を引き出す、といった。

― あれだけの大量失点と、得点力の喪失はね、昔の監督、今の監督うんぬんじゃあない。
ふん、どうでもいいや、と腹背して、チームの結束を阻むような個とか勢力。
要は、チームの結束を阻む力学がそこには在るな、どうも。

……かつて同じ職場に在った時、この方の、組織や個人を診る眼と判断力はかなり鋭く、舌を巻くことが多かった。
ゆえに、参考にすべき視点だろうな、と思っている。

その指摘は、甲府からの帰り道で急に胸に来た、これだけゲームを落としまくる不自然な感じ、それと奇しくも合致する。

かと言って、犯人探しをする気にもなれないが、もしも、そういう事態が生じているのならば、どこかでそれを断ち切らないと、来季もまた同じ轍を踏むこと必至でありましょう。

この前は、甲州人のリアリズムに学べ、とか書いた。

が、武田軍団の速やかな壊滅は、指導者(主君)の下に結集できない背信、要は、内部崩壊のゆえだ。

組織は外からの攻撃によってよりも、むしろ、内部から瓦解する―とは、言い得ている。

まるで、どこかのチームがやっている負け試合の様相が浮かんで来てならない。

他方、なかなか一つになれないのも、人の世の現実。

ユダヤ人は、全会一致の評決が出たら、いったんそれを無効にしてしまって、再度議論を尽くすと聞いた。

これ、安易な、主体性なき一致、それもまた組織をそこなう、という信念からだ。

意見の衝突を怖れず、違いを宿しながらも、目的において一致することのむづかしさよ。

となれば、レノファ戦のみどころは、自分とチームメイトに厳しく要求し合いながら、結束によってゲームを崩壊から救えるか?、これですかね。

残り5ゲームの時点で予想した1勝を、そろそろ挙げるもいいのでは?

では。

裏切りを 糧にする。

先日14日、対ヴァンフォーレ敗戦の帰途、甲州街道を辿りながら、考えた。

ここ数年、挫折を味わいながらも、そこそこの成績で戦えていたので、いつか、妙な思い込みにとらわれ、自分のファインダーには曇りと偏狭がヒタヒタと忍び込んでいたんだろうか?

最後まで諦めない、これはこれでいい。

だが、ここまで 39試合消化して、たった 7勝。

最近は、引き分けふたつを含んで、8戦やって凱歌を挙げていないのであるから、 こういうチーム(組織)はやっぱり、顔を洗って出直す、というのがスジだろう、と。

もともと草の根(5部あたり)から成り上がってきたんだから、上昇するにつれて背負いこんできた不要なものをそぎ落とせば、ただ、それでいいだけの話。

この先、いろんな意味での〈裏切り〉や〈離散〉を眼にするんだろうけれど、そんなものは世の常。

甲州の人々は、いまだに尊敬を込めて、信玄公、とその名を呼ぶ。

ところが、織田 信長が、木曽口から信濃/甲斐に侵攻を開始するや、ひとつふたつの例外を除いて、主君 武田 勝頼を早々に見限り、不戦、寝返りに走っている。

武田二十四将、とかよく言ったもんだよ、まったく。

それでも、400年経った今も、いまだ、信玄公なのだ。

甲州人の損得に関する抜け目なさ、リアリズムに学ぶべき時が今。

それまでベンチにも入れていない高崎 寛之を、マッチデイプログラムの全面に掲げるようなヴァンフォーレ甲府の商売上手を、すこしは参考にしてもいいかもな。

で、白州の道の駅で汲んだ名水を、今日で飲み終える僕なんであります。

では。

永遠の ヒロ。

― ねぇ、昨日、京子さんからメールがあって、高崎がゴール裏に来た時、泣いていたって。
どういうことなの?、と思ってたんだけど……。

試合の翌朝、家人が、出し抜けに問うてきた。

ご伴侶のブログを読んでさえいれば、不可解なこともなかったのに、と思いながら、

― この秋、ヴァンフォーレに加入したのよ、ヴェトナムから帰って来て。
昨日のゲームでも、終盤に投入されました。
ゲームの締めを託される格好で。
自分が、なにをしたらいいのかわかっている仕事ぶりです。

ゲーム後、アウェイゴール裏に挨拶に来たんでしょう、そのあたりを歩いていたら、拍手が聞こえてきましたから。

― 高崎が加入したシーズン始まる前の練習で、わたしゃあ、これは別格なプレイヤーだと思ったのよ。その動きが、他と全然違っていて。

彼が在籍当時のゲーム中、自分にボールが出ないと、けっこうな剣幕でチームメイトに要求していた高崎を観て、

― 高崎って、文句ばかり言っているわね!、と文句タラタラだったことも忘れて、いまや、ずいぶんと評価が高いのでありますな。

そりゃあ、そうでしょうとも。

今の山雅では、なんでこっちへボールを寄こさないんだ!、ってチームメイトに強く迫るシーンはほとんど観られませんから。
セルジ―ニョぐらいでしょう、せいぜい。

そこなんですよね、そこ。不満なのは。

相手プレイヤーの陰に入るようにしてボールから逃げている、あるいは、競ってパスコースに入って来ないようじゃあ、山雅のエンブレムが泣いてます。ったく。

……、甲府での背番号が#29。

あくまでストライカーの〈9〉にこだわる男。

ひょっとしたら、ヒロのカムバックはありかもよ、と思いたい、この頃。

では。

キャプテンは誰? (甲府戦レビュウ)

2 – 3 の敗戦。

せっかく2度も追いついたのに、もったいないゲームを落としました。

3失点目は、前に指摘したような一瞬の〈虚〉を衝かれる格好。

デイフェンスの横のラインが乱れてしまうので、ひとりがかわされると、次の対応が遅れ、相手にフリーな状態で入って来られてしまう悪癖。

佐藤 和弘の欠場で、キャプテンマークは誰が巻くのか?、興味があって、
遠目では、フィールドプレイヤーではなさそうだったんで、GK圍 謙太郎だったんでしょうか。
コイントスも見逃してしまいました。

実は、これが僕の中の伏線。

80分からの4分間で、双方が2点づつ、計4点を獲ってしまう展開になれば、観客席は盛り上がりますが、
同点にした側からすると、そこでゲームを落ち着かせたかった。

ピッチ内で、なかなかキャプテンシーが効かないような、今季を象徴する成り行きになってしまったのが残念でした。

3 – 4 – 3。

セルジ―ニョを前線に押し出すように配するスリートップは、ファーストディフェンスにも精力的で、なかなか良し。

やはり前 貴之の復帰で、要所要所に安定が生まれています。

甲府は、ボールを手中にしてからの動き出しで速いプレイヤーが目立ちましたが、連携するボールの速度は山雅が上回っていて、チームとしてのプレイ速度をかなり上げて来たことがうかがえる。

これはひとつの達成として、喜ぶべきでありましょう。

ヴァンフォーレのシャドウ、FW宮崎 純真は、幾度も、こちらの右サイドで脅威になっていて、ドリブルを武器に切り込んでいくタイプ。

彼のプレイをみていて、来季もしも残ってくれるならば、田中パウロ淳一はフォワード登録をして、そのタレントを目いっぱい活かしたらどうか?、などと夢想していました。

全体として、チーム、プレイヤーは奮闘した好ゲームだったと評価。
特に、下川 陽太は良い出来。

さて。

沈みゆくタイタニックにあっては、もはや船底の穴を塞ぐ作業、つまり、ディフェンスの整備をしている時間はなくなって来ているので、この先は、必死に水を掻い出す、要は、点を獲りに向かうしかないのかなぁ?、と思いつつ帰途に就いた、甲斐の晩秋でした。

では。