2022シーズンへの戒め,オマケ。

― 名波さん、続投になりましたね。
と、ソネさんが、僕の感想を訊きたげに声をかけてくれたもんだから、

―もしも、これで退任だったら、論外よ。
続けてやってこそはじめて、山雅で仕事をしたことになるよね、と答えておいたおととい。

日頃から、戦力(選手)がずいぶんと流動的な、つまりは、移籍の頻繁なリーグだよなぁ、と思っている。

(だから、昨年コンサドーレ札幌が全プレイヤーとの契約更新という手法を打ったことは、かなりの異例で新鮮だった)

 

レンタル組の、星、平川。J3で修行させるほど悠長なこともしないだろうし、
高木(愛媛)、山本(パルセイロ)、吉田(栃木)、三ツ田(岐阜)の去就は?

要は、今年のオフも相当の出入りがあることを覚悟せよ、ということかいな。

リリースを待つ身が辛いか、はたまた、待たせる身のほうが辛いのか。

更にですよ、ここのところ、指揮官(監督、コーチ)も使いまわしされるんだ、という印象が強い。

これがフツー、と言われればそうなんだろうけれど、有能(実績が有る)だから引く手あまたなのか、それとも、呼ばれる人材が限られているのか?、どうなんでしょう。

名波、と言えば山雅、山雅と言えば、名波。

来季からは、そんなキャッチコピーで呼ばれるほどの戦績でありたい。

で、暇に飽かして、時間帯別得失点のデータを拾ってみた。

15分ごとに区分した点数を、線状に並べると、
()内はアディショナルタイムの点。

〈2018年〉
得点
8  –  5  –  13(1)  –  8  –  9  –  11(2)  計 54
失点
2  –  2  –  9(1)  –  2  –  7  –  12(5)         計 34

〈2021年〉
得点
6  –  1  –  4(0)  –  5  –  8  –  12(3)         計 36
失点
5  –  10  –  11(1)  –  15  –  13  –  17(2)  計71

データからは、いろいろ読み取れるんだろうけれど、得失点の多寡はひとまづ脇に置いといて……、

失点 ➡  2018年は、前後半とも、30分過ぎに多く失点していた。
堅い守備が、30分経過すると耐えきれなかった姿が浮かぶ。
2021年は、すべての15分刻みの中で、まんべんなく失点。
あえて言うと、ゲーム開始15分まではなんとか持ちこたえているけれど、その後は、ほとんど歯止めがかからなかった。

得点 ➡  2021年、ゲーム開始15分までと、後半の後ろに行くほど得点が高まる。

……、ここから、来シーズンは、
漫然とゲームの時間を刻んではダメで、ゲームの主導権をこちらに持ってくる、流れを変えられる、チームとしての手法を確立。

❷その上で、ゲーム開始から、様子見などせずに飛ばすスタイルで。

❸さらに、5人までの交代枠を使い、攻撃をリフレッシュ、ギアアップできるメンバー構成を、できるだけ早期に見極める。

❹失点の形態、セットプレイからは2018年同様に今季も割合として断トツの1位で、30%弱。
2021年の特徴は、クロスからの失点割合が、やはり高かったこと。
サイド侵入をゆるし過ぎました。
5バックで守ることの旨味がほとんどなかったわけで、ここらへん重要な決断が必要です。

ざっと、こんなところを、乞う、ご期待、と受けて立ってもらいたいですね、名波さんには。

では。

2022シーズンをいましめておく。

ひとつふたつみっつ、感慨っぽくまとめてみた。(よっつめは、次回にでも)

❶今季の不調は、降格救済金の消滅や、COVID-19下の入場料収入減によって、クラブ経営が不安定化になることへ、先手を打って緊縮財政路線へと転換した事情が、いちばんの根底に在ったんだろうな、と強く感じている。

戦力的には、2020季主力メンバーの5~6人が、ごっそりと流出。

大量に入れ替わったメンツによるサッカーの構築、これがなかなか成果を出せなかった、ということか。

そんなでもって、在籍プレイヤーの平均年齢は、25歳とちょっと。

5年前の、2016年実働平均年齢が 28.6歳であったことからすると、世代交代を意識的に仕込んで来た結果だろう。

その金銭的な裏付けのチーム人件費では、リーグ4位。

もっと突っ込んで、在籍プレイヤーの市場価値の合計をみると、(某調査では) リーグ9位、とかあるから、まぁまぁリーグ平均だった。

で、いよいよ契約満了リリースが出始め、おそらくはより厳しくなった財政統制をバックに、どういうチーム編成になるのか、注目。

❷終わってみれば、予想したとおり、リーグ残留勝ち点めやすは、ゲーム平均で 1 だった。(18位 群馬➡41点)

山雅はそれに、2勝1分に相当して、勝ち点で及ばない(勝ち点34、得失点差は別)。

たった7点とはいうが、この差が実は大きいんですよね、戦い終われば。

逆に、昇格のメドは、やはり、ゲーム平均勝ち点 2 。

J2復帰を決めたロアッソ熊本(J3優勝)の勝ち点は、28試合消化して、54点だったから。

来季のJ3は、全18チームで争われるので、34ゲームを戦う。

したがって、目標にすべき勝ち点は、68 。

ま、山雅は勝ち点勘定よりも、まづは、失点数の低減を目標にすえるべきかも知れない。
リーグ独特なサッカースタイルとなれば、対策も変わってくるとは思うけれど。

❸そして、今や、18チームのうち 半数の 9つが J2リーグ経験チームとなり、このリーグも確実に変容しつつある。

― でね、再来年には、J3リーグの底に、穴が開くんですよ。

― ?!

―  どうも、JFL(ジャパンフットボールリーグ) との間に、昇降格制度が導入されるらしい。
JFLにはJリーグを目指さないチームも混在するから、そこらへんは整合性なきシステムなんだけれどね。

要は、たかをくくって参戦しようものなら、今季以上の辛酸をなめるだろう、って話。

ルノワール氏など、ここ数日、オレンジのTシャツを着てきて、しかも、長野ダービーとか言って、煽るわ煽るわ。

― そこは信州ダービー、でなくっちゃあ、と丁重に訂正させてもらっているんだけれど、松本市民にそんな関心が芽生えていることをも、この際、追い風にしてしまわないと。

話題性と注目度こそ、プロクラブの命、です。

では。

小林コーチと話したこと。

長崎戦(12/5) 開始前のピッチ。

山雅U -15 の、JFA U – 15 全国大会に向けた壮行会が催された。

須藤 右介監督の下、北信越大会4ゲームすべてをPK戦で勝ち抜いた、そのしぶとさが強調されていました。

夏のクラブユース(全国)大会では、グループステージで敗退してるから、身につけたそのネヴァーギブアップ精神でもって、雪辱をも期して、躍動してもらいたい。

ゲーム後。

今度は、U – 15 レディースの、小林 陽介コーチと立ち話。

シーズンの区切り、日頃ユースの世話をみてもらっている感謝を申し上げる、
それと、JFA北信越のサイトでは、ユース世代の日程や結果、順位がわかりにくく、かつ更新も遅いので、直接に確かめたいこともあった。

山雅レディースは、全日程を終了。
前半戦 2位で、おそらく通期でも、2位だろう、とのこと。

結成2年で、着実に力をつけている。
今季は観戦ならなかったけれど、昨年観た限りでも、ベーシックなことを教えている、という印象だった。

さて、来季に向けては?

卒業していく年代には、今季のくやしさを次世代に引き継いでもらって、
サッカーの楽しさを教えて行きたい、とのことだった。

前日もご紹介した、Jリーグ全クラブの 2021~2022移籍などの情報(☞Jリーグサイトはここから)をみていただくといいが、力有するクラブでは、ユース組織から着々と昇格させている。

山雅も、RAZUSOといった支援手法を使いながら、そういう分野で追い込みを始めたけれど、この動きは、たとえ、トップチームがどのリーグに居ようとも止めてはならない。

だって、Jリーグ参入後、すでにひと昔が経過しているんですぜ。

長崎戦、稲福 卓のデビュウ戦での奮闘を目撃したアルウィンは、ユース組織の重要さを痛感できたはず。

ところで、2020年Jクラブの決算から、
主にサッカースクールの月謝からなる〈アカデミー関連収入〉をみてみると…、

我が山雅は、1,400万円。

これに対し、大宮、新潟、東京ヴェルディは、その約10倍、つまり、1億数千万の収入がある。

ファジアーノ岡山でも、山雅の 4倍程度。

FC東京FCに至っては、4億2,000万円弱。

人口が密集したホームタウンを持っていれば、スクール生も多い、と言ってしまえば、それまで。

アカデミー関連収入が億円規模になると、将来の昇格候補を多数擁すのはもちろんのこと、営業収益の柱として無視できない分野に違いない。

東京ヴェルディなど、優秀な若手を他クラブに移籍させる際に先方のクラブから移籍金 (=契約違約金) 収入を得ているはずだから、ひとつのビジネスモデルにもなっているだろう。

そこで、これからが、萬年式ビジョン。(以前からの主張ですが)

こうなったら、山雅は、スクール生から月謝なしとする、日本初の Jクラブを目指したら?、と思う。

口で言うほど簡単ではないだろうが、現状の、少ない収入のうちに無料化を導入し、地域に向かって、少年少女の育成、鍛錬の機会をば大胆に開放する。

たかが、降格だなんだで浮足立つのではなく、将来への投資こそが大切。

名波氏が更新挨拶でいうとおり、来季は来季でこれまで以上の困難にぶつかるやも知れません。

いまが最悪、とかの保証などないのだから、継続すべきことに手を抜かず耽々とやる。

より良い明日のために、今日はなにをする、この姿勢で行きましょうよ。

註: アカデミー関連収入が0円のクラブがあって、それは、山形、群馬、町田なんですが、おそらくは決算上、別会社の収入として計上していると思われる。

では。

だから前を向く(長崎戦レビュウ 後編)

自分で撮った画像を、改めて見ていて気づく。

ゲーム当日の北ゴール裏には、急ごしらえの横断幕が在ったことを。

ホンネを包み隠さず話してほしい、
2年で3回の監督交代、3年の急降下の検証を、
松本への熱いハートを表現できる人々と共に戦いたい……。

なるほど。
気持ちがわからないでもないな、って感じでしょうか。

プロスポーツにとって最大のファンサーヴィスは、勝つこと。

だから、勝ち抜くための構想や手順など、非公開でもかまわない。

結果は、ゲームであからさまになり、ファン&サポーターは、それをどうこう言って過ごせばいいんだから。

ただ、ひとつ。

松本への愛と執着を求めるのであれば、そう仕向けることこそが、ファン&サポーターの仕事、とは思いますね。

模範は、求めるのではなく、まづは示せ。

チーム一同がスタジアムを一周する際、メインスタンドからは怒声が数回(おそらく同一人物) が湧き起こった。

ああいうの、少なくとも僕と少年らの居るアルウィンでは、やめてもらいたい。

で、北ゴール裏の前方で掲げられた或るゲートフラッグを見たとき、その発想と姿勢には、ずいぶんと同感を覚えてしまった。

〈待ってろ J2〉……。

前をむかなきゃな。

では。

宣言と反省と (長崎戦レビュウ 中編)

― もう、(降格が)決まったのに、(アルウィンに)行くの?、
とか、軽くイジメられ、

― いやいや、明日の最終戦にこそ。
登録メンバーとその戦う姿勢の中に、来季へのヒントがあるのか、それを確かめるんですよ!、
と返したんだが、まんざらジョークでもなかった。

先発、交代出場のメンツには、それなりに魅了されるところもあり、僕なりの着想も浮かび上がってきているので、これからそれをもてあそんでは、ストーブリーグを過そうと思っている。

少なくとも、現監督続行という、迅速なスタートは切れているんだし。

……セレモニーを待つ間、チノ氏に、今季(の低調)に関して、総括的に三つ挙げたらどうなる?、と提案された。

僕が答えたのは、ふたつだった(と記憶)。

❶あっさり失点、攻撃時の迫力不足、の根本的要因として、
前後に繰り返し走る力を存分に身につけないまま、シーズンインしてしまったこと。
それを、結局は、挽回できないで引きずった。

これに対し、壊滅的な失点数について、チノ氏見解では、ディフェンス時、視野の確保が可能になるような体勢ができていない。

ただでさえ、前方向から横へ首振りをせざるを得ない守備は不安定であるのに、身体的な準備体勢を採れなければ、自在に前後に入ってくる相手を捕まえられずに、被弾をゆるす。

この際、飯田 真輝をデイフェンスコーチにどうか、というのが、チノ氏。

❷昨季途中で、佐藤、前を補強。
これが奏功して中盤が安定し、後半戦を、5位の戦績で終えた。

ところが、今季は、その中盤がなかなか機能しなかった。
チノ氏によれば、佐藤は以前、もっとシンプルにボールをさばいていたのに、ボールをどこに出そうか、と躊躇する場面が目についた。

怪我などで、ダブルボランチで臨むにしても、最適な組み合わせをセットするのに苦労した感はありましたね。

シャドウを加えた逆三角のトライアングルが、漸くここへ来て、3 – 3 – 2 – 2 のシステムとして織り込まれるようになったが、来季これが標準装備となるかどうか?

どんなシステムであってもいいが、攻撃時、ボールが外へばかり逃げるのではなく、やはり、どこかで瞬殺の縦パスがピシャリと、インサイドハーフ(ボランチ)から前線のスペースへと供給されるのを観たい!

❸(これはチノ氏に水を向けられたけれど) たしかに、サイド攻撃は、多大なる武器。
けれど、例えば、田中パウロをサイドに限定して活用し続けることには、少々疑問を持つ。
もっとインサイドで起用する、つまり、真ん中の三角形の頂点のひとつ、でもよかないか?

そもそも、その才能にはもっと存分に時間を与えるべきで、クローザー的な分業ばかりでは勿体ない。

……、こんな感じの論点三つは、おのずから次なる関心へと向かう。

それは、社長挨拶にあった反省として、
〈強化と育成〉の要求が、現場に対して過大な負担を押し付けることになったのかも知れず、見直しの要あり、という文言。

強化と育成、の定義がなんだったのか?
具体的に、現場にどういう注文をつけたのか?
それがどんな足かせになったのか?

それが不明でわかりづらい。

けれど、いかなるチームといえども、戦力を継続して保持するためには、その新陳代謝が当たり前、なんでは?

若手を登用、実戦で鍛えながら、かつ、熟練のタレントには率先とリーダーシップを託す。
そうしたサイクルを、いかに途切れずに回していくかは、サッカーチームすべての命題だと思うんだがなぁ。

松田 直樹とか、キム ボギョンとか、鈴木 武蔵とか、突拍子もない補強をやってみせる山雅は好きな反面、急成長したツケだったのか、学卒を一定年限で次々と切りまくってきたことについては、残念感が深かったことも事実。

そういう意味では、ここ2年の若手登用にはそれだけの成果があった、と思う。

まぁ、それなりの授業料も払っているんで、これからそれを回収しましょう。

さて、各クラブではすでに契約満了が出まくり始めていて、それにも目配りしなくては……。

では、後編に続きます。