スポンサーをとるか? 監督をとるか?

時々は、海外サッカー事情に関するニュースを、漁っている。

そしたら、サッカー指導者の、ヴァヒド ハリルホッチ氏 (1952~ )について、興味深い記事を目にした。

ハリル氏は、(異なる) 4か国で代表監督を務め、すべてのチームをワールドカップ予選を突破して本大会に進出させながらも、うち3か国で、大会前に解任されるといった、まことにユニークな経歴。

日本では、2018年ロシア大会の2箇月前にその職を解かれ、今回は、モロッコで同様の憂き目に遭った。

優秀で辣腕、なれど、上層の意思と真っ向から対立して棄てられる、そんな人格のシンボリックな物語。

で、直近のインタビュウで、こんなことを語っている。

― 日本ではスポンサーのせいで問題が生じたんだ。(日本ではモロッコと違い)国家がサッカー協会や代表チームに資金を出すわけではないから。
あるプレイヤーたちを私は代表チームに呼ばなかった。
怪我をしていたり、しかるべきコンディションではないと判断したからだ。
すると、事態が緊張してしまった。

当時、サッカー協会会長(田嶋 幸三)は、その解任理由を〈成績不振など〉、あるいはもっと突っ込んで〈信頼関係の悪化〉と発言していた。

ハリル氏の言っていることが真実だとすれば、
特定のプレイヤをスポンサードしていた企業から、協会に対し、当該選手の選出についてかなり強いプレッシャーがかかった、と診るべきだろう。

選手(と資金)をとるのか?、それとも、代表監督をとるのか?、といった脅しですな。

監督就任に際して、誰々のバックには企業(資金源)が控えているから、そこのところよろしくね、と念を押したはずなのに、メンバーから外すなんて、という意味での〈信頼関係の破綻〉だった、ということか。

資金調達という責務からすれば、その紐づるは、これを大切にしなければならないのは、五輪を始めとして、組織が大きくなれば求められる論理であることは解かる。

スポンサー(および、その仕掛け人である大手広告代理店) からソッポを向かれたら、サッカー協会も経済的に干上がるでしょうからね。

― こうなったら、(時間もないんだから)技術委員長のアンタがやるしかないだろう?、西野よ。

わかりやすいストーリーです。

だから、現監督には、ファンの要望よりはむしろ、そこらへんを大過なくやりくりしてもらうことで、いいんでしょうかね、代表ファンの皆様としては?

ナショナルチームには興味ほとんど皆無な萬年ではありますが、どのレベルでも、お金は大事、ということだけは再認識しています。

では。

悩めるギラヴァンツ と 5バック主義 (北Q戦レビュウ)

(註:1,900字と長いです、家人はきっと途中で放棄だろうなぁ……)

昨日、職場で会うなり、
― シュート20本打って、あれはないわぁ、と同僚のヤナさんは、コボしまくる。

観戦後の感想として、決めきれない仕上げの部分が、強い残像として刻まれたことは確か。

ただ、僕からすると、では、なぜ 20本(をおそらくは超える)のシュートを打つことができたのか?、しかも、相手にわずかなシュートに終わらせて、という点が重要だ。

今後につながる、ひとつの成果、または到達点として。

要は、シュート数は、氷山が海上に現われた部分であって、それを叩き出すことができた背景、これが大切に思われます。

それは、主に何だったんだろうか?

❶悩めるギラヴァンツの、不可解な先発メンバー。
いままでレギュラーだったプレイヤーが、4人ほど先発から外れ、ベンチ要員でゲームに入ったことに、僕は、多少驚いた。

それは、ミッドフィルダーの前川、六平、フォワードでは中山、ディフェンダーの藤原。

思うに、指揮官は、直近2ゲームを、なんらかの停滞ととらえた。
対策として、先発を刷新することによって、チームに強力な推進力を付与しようとしたのではないか?

ただし、これは、ひとつの賭けだった。

たとえ、北Qの攻撃の生命線である活発なサイド(佐藤 亮、乾 貴哉)を、従来どおり先発させたところで、それと絡む最前線、および、中盤(ボランチ)との安定的な連係が不足すれば、当然、攻撃力は乏しくなる。

つまり、左右サイドの孤立が、山雅にかなりの優位性を与えることとなった。

❷貫き通した 5バックへの忠誠。
鹿児島戦の反省によるものかどうか、今節は、3バックをゲームを通して堅持した山雅。

面白かったのは、相手にボール支配が傾いたこともあって、ほとんど 5 – 3 – 2の陣形で戦ったこと。
左右サイドバック(外山、下川)が、敢えて高い位置を採らずに、最終ラインを形成。

これ、要するに、北Qのサイドプレイヤーの侵入を、ゴール前30m付近で、ボランチらと連係してマンツーマンでがっつりと阻止する策だった。

で、このやり方が、北Q側の迫力不足(上記❶) に援けれらたこともあり、かなり奏功。

外へ追い出し、横に逃げさせ、時間を使わせることで、抛り込まれたクロスにも対応できていた。
危険だったのは、#7佐藤のシュート1本くらい。

もちろん、ボール回しのこなれは相手の身上だから、これを追いかけまわすのにかなりの我慢と苦労を要したけれど、手を抜かずに敢行。

ここらへんの覚悟が全プレイヤーに共有されていたのが、今節に込めた決意の表れと、僕は診る。

で、そのサイドのスペース。

そこを、今度は山雅が、ルカオ、横山のフォワードがカウンター攻撃に使うことによって、面白いようにチャンスを創出した。

後半75分、パウリ―ニョと稲福の交代によって、逆三角形の3ボランチは、ダブルボランチ(稲福、佐藤)へと修正されて、5 – 2 – 3 となる。

更に、85分、菊井に替えて宮部(左サイドバックとして)を投入すると、外山を前線に出すことまでして、やはり、5 – 2 – 3 を続けるほどの徹底度でした。

こうみてくると、〈3バックへの回帰〉が勝因の根底に在った。

更に、特記しておきたいのが、次の 2点。

❶佐藤 和弘の復活。
(住田の出場停止が奇貨のようになって) 2列目のボランチみたいな格好で佐藤 が躍動した。
ゴール前へ入ってくる迫力と、可能性を感じるシュートにおいて、佐藤が突出していたのではないか。

プレイスキッカーとしても、ひとつひとつのボールが絶妙でした。

菊井と同様に、かなり広範なスペースで攻守に顔を出すことによって、チームに貢献。(だから、菊井を自由に動かせ、って言っています)

❷センターバック選定における 好采配。
左から、常田、大野、野々村と並んだメンツに込めた意味、これがMVP的な仕掛けとなった。

58分、佐藤のフリーキックを、野々村が頭で折り返し、それをセンターに飛び込んだ常田がヘディングシュートを決める、ってのは、その見事な成就。

北Qが前からガンガン来ないこともあって、センターバックによるボール配球も安定。

ただ、いちばん特筆したいのは、攻撃時、再三にわたり高い位置に走り込む常田がそこに居た、ということ。

それと、前半アディショナルタイム、野々村が、ゴール前まで駆け上がってキーパーと競ることでチャンスを生みだした、あのプレイ。

フォワードが獲れないのなら、ディフェンダーで獲ってやる、といった気概を感じましたし、〈攻める守備〉が露わになるつつあるのは、今後の糧になるはず。

というわけで、萬年目線によるMVPは、やはり、常田 克人、がレビュウの結論であります。

では。

【速報ベース】勝ちは 勝ち (2022.8.21北Q戦レビュウ)

1 – 0 の 勝利。

無失点、そして最少得点で終えたゲーム。

ハイライト動画を観ると、これがまぁ、素晴らしい。

山雅の一方的なゲームであって、再三ゴールに迫りシュートを放つ、我が戦士たち。

このゲームをどう観るかは、けっこう議論があるんだろうけれど、判定による勝ち負けのないサッカーの世界で、間違いなく言えることは、勝ちは勝ち

今は、まづ、このことと、盛大な花火への感謝を述べておいて。

総括は、本論で。

では。

小倉の海に (叙情的 北Q戦プレビュウ)

ミクニスタジアムの対岸あたりで、ジョー氏は生まれた。

だから、彼は生粋の、小倉の男。

『無法松の一生』の主人公、冨島 松五郎 (人力車夫) もまた、小倉っ子。

喧嘩早いが、純情で、侠気に富んだ、憎めない男、という設定だ。

ジョー氏が喧嘩に長けているかは知れないが、純情、という面では松五郎とよく似ている、と思う。
車 寅次郎を愛してやまない、なんてのはその証拠。

さて、本題。

小倉のプロサッカーチーム、ギラヴァンツなんだが、〈無法〉とは、かなり対極的なサッカーをやっているのである。

例えば、反則ポイントではつねに上位にあって、警告(カード)も少ない。
つまり、インテンシティを売りにしたサッカーでない。

コーナーキックの時は、きっちりとゾーンディフェンスを形成する。

自陣ゴール40m付近、角度45°のフリーキックを与えると、ペナルティエリア外縁に、きれいに横一戦の守備ラインをこさえて待ち構える。

とにかく、マジメなんですよね。

なにをやってくるかわかんないのは、#8六平 光成 (元エスパルス)くらいなもんじゃあないか?
だから、そこから供給される気の効いたパスには、要注意だろう。

ところで、家人に送ってきたメールによれば、京子さんは今節、現地参戦らしい。

山雅サポーターの大先輩として、僕は大いにリスペクトしているんだけれど、その批判的な視点だけは、どうしても好きになれない。

京子さんなりの純情、と言ってもいいが。

メディアに全幅の信頼など置けない萬年的思考からすると、京子さんによるチーム論評の根拠が、どこぞの地方紙による論説をトレースしたものなので、やれやれだ。

だいたいが、鹿児島戦で、不運にもPKを与えた大野 佑哉を、キャプテンマークに値しない、などと言っているようでは、お話しにもならない。

いったい、山雅のどこを観ているんだろうか?

大野無くして、現状、山雅の守備はあり得ない、と思うんですがね。

家人曰く、大野はプロとして(山雅に入団して) もっとも成長したプレイヤー。

……と、最後は、やや感情的になってでも大野の肩を持って、今回は終わりです。

では。

輝け!! 海原のように (北Q戦プレビュウ)

こころが沈む時こそ、つとめて明るく振る舞い、快活な曲を聴く。

(順風な時はむしろ、悲恋の歌でもかまわない)

リーグ戦を折り返して、ここ3戦。

山雅は、勝ちから遠ざかって、1分2敗。

苦しい時季だ。

ただし、勝てなかったとは言え、八戸、いわき、鹿児島とやったゲーム、それぞれに見るべき点が多く、チームとして最大振幅で〈特長〉を表現していた。

つまり、次につながるものを感じさせた。

だからこそ今は、玄界灘の奥まったところに建つ、ミクニスタジアムの岸を洗う日本海の輝き、なんかを想像したいところ。

ギラヴァンツは、リーグ第1位のボール保持率を誇るチーム。

ただし、ボールを持つのは自陣で攻撃を組み立てる局面で、が圧倒的に多く、いざ相手陣内に入ると、手数をかけずにゴールを目指す。

つまり、ペナルティエリア付近でチンタラとやりはしない、ってこと。

サイドを巧く使いながら、前線のプレイヤーが、クロスに対しペナルティーエリアに斜めに入って来てシュートを打つ、って感じの攻撃が脅威か。

高さはないけれど、活発に動き回るフォワードを、いかに捕まえて自由を奪うか?

鹿児島戦の反省を活かし、サイドを簡単に割られないことが、特に重要ですかね(対人守備の受け渡しです)。

それと、コーナーキックでは、高身長のディフェンス陣が頭を使って仕事をするから、そこへのマークを厳しく。

中盤でパスワークを駆使する相手ならばこそ、パスカットや奪取の機会も多くなるから、即反転のカウンター攻撃を仕掛けやすい、と考えよう。

となれば、組しやすいタイプ、と考えて中盤を締めて(by ボランチ) コンパクトにやる。

ラインを高く設定した場合、北Qは、それほどロングボールを多用してこない、と診るんですけれどね。

対し、こっちはどんどん、相手ディフェンス裏のスペースを獲りましょう。

なんだ、取り立てて目新しいこともありませんが、山雅の場合、全体で押し上げて分厚い(人数かけて波状的な)攻撃、これができるか、どうか。

それ相当のタレントは豊富なんですから。

相も変わらず言いますが、複数得点、これを念頭にやること。
まづは、フォワードが得点して輝くこと。

そのふたつを、大いに期待します。

では。