行き当たりばったりの悦楽。

古道具屋、古書店、中古家具屋を、たまに観てまわるのが好きでして。

といっても、地方の街には、わずかな軒数ゆえ、

それも、年々減っているから、いつまでそんな楽しみが残るのやら、と思う。

新品を扱う店舗と違い、

中古を商うお店をひやかす愉しみは、なんといっても、

或る時、其処に行ってはじめて、おっ、これは、というブツにお目にかかれること。

こんなの喜ぶの、俺以外にいやしないだろう、という気分でする買い物こそ嬉しけれ、だ。

先日、中古CD屋さんで、

フィル スペクターが制作にかかわった(プロデュース)作品を集めた 2枚組を見つけた。

1958~1963年の、キャリア初期のやつを集める。

ノート(解説)も無し、そっけない装幀の輸入盤。

Be My Baby (ロネッツ)が見当たらないのが、玉にキズだが、

To Know Him Is To Love Him は、収まっているから、十分楽しめる。

で、萬年式ノートを添えておこう。

…… 2021年1月16日、カリフォルニア州の病院で、

第2級殺人罪(禁固19年)で収監されていた、ひとりの受刑者が、

COVID-19の合併症でこの世を去った。

享年 81。

かつて、ポピュラー音楽のプロデューサーとして、ひとつの時代を代表したこの老人の名は、ハーヴェイ フィル スペクター ……。

アルバム『Let It Be』(1970発表) の制作をフィルに頼んでおきながら、

自作『The Long And Winding Road』に施された編曲が気に食わないばかりに、

後年、ビートルズのメンバーに同意させて、

『Let It Be … Naked』(2003年)を発表したのが、ポール マッカートニー とか

 

……このCDでは、ルース ブラウン歌唱の Anyone But You が好きだ。

では。