石川 啄木による、小説『雲は天才である』は、彼の生前には発表されず、
死後刊行の、啄木全集に収録された(1919年)。
こういうタイトルを案出できるのが、まったく、啄木の才能に思う。
歌集『悲しき玩具』は、これも死後、1912年6月20日に世に出た。
生前から、この第二歌集の発刊は予定されていて、
啄木が、出版社から、前借りの原稿料を受け取ったのが、その年の 4月9日。
その四日後に、啄木は、27歳の病床で亡くなった。
かなしきがんぐ、と読むのがならわしのようだが、
啄木自身は、おもちゃ、と言っていたらしい。
その中から、ふたつほど。
遊びに出て子供かへらず、
取り出して
走らせて見る玩具(おもちゃ)の機関車
人がみな
同じ方角に向いて行く。
それを横より見てゐる心。
……見事な仕事です。
では。